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輝く女性事例

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「お客様にも、会社にも期待に応えたい。
だから、自己啓発は欠かさない」

寺岡有機醸造株式会社

  • 製造業
  • 福山市
  • 31〜100
所在地 広島県福山市神村町3685-1
URL http://www.teraokake.jp/
所属・役職 品質管理課 課長代理
ご本人氏名 森本 紗知 さん

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2002年~
寺岡有機醸造株式会社(以下、寺岡醸造)に入社。品質管理課に配属され、商品の検査業務を担当。年々業務の幅が広がり、効率化を図るシステム作りや商品開発、有機JAS(※1)の申請業務等の対応にも当たった。

2006年
係長に昇進。

2008年~
同社で初めて産休・育休を取得。会社と相談しながら1年間の育休を取得。

2009年~
育休復帰後、上司が退社した関係で品質管理業務の責任者に。プレッシャーと家庭との両立は大変であったが、大きなトラブルなく、業務を遂行。

2011年
第二子を出産。産休・育休を1年間取得。

2016年~現在
同課の課長代理に昇進。子育て中の女性部下を持つことから、互いに助け合いながら家庭と仕事の両立を図っている。

※1 同社は、登録認定機関JONA(特定非営利活動法人日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会)により、有機JASの認証を取得した。

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商品検査から商品開発まで幅広い業務を担当

大学では農学部で小麦の研究をし、「将来は小麦関係の仕事に就きたい」と志し、実家がある福山市を拠点とする寺岡有機醸造株式会社に入社した森本さん。社歴が増すごとに業務内容は幅広く展開してきたが、配属は入社以降ずっと、大学で学んだ専門分野を生かすことができる品質管理課で、入社直後は、出荷前の商品からサンプルを抜き出し、規格値に適合しているか、菌の汚染状況はどうか等の検査業務を行った。
入社当時は日々の仕事に追われていたが、後輩が2名入社して業務にも余裕が生まれたことをきっかけに、帳票を整備するなど業務の効率化を図るシステム作りに、入社3年目には、先輩の退職をきっかけに商品企画課と共同(※2)で商品開発にも携わるようになった。すぐに腐敗しないような商品設計や法律に則った表示方法等、ミスをするとクレームや法令違反につながりかねないデリケートな業務であるため、商品の表示や味、成分値についても独学で知識を習得し、それまで以上の正確さと迅速さで必要な業務に当たった。そして入社4年目には、早くも同課の係長に就任。それまでの業務に加え、有機JASの承認に必要な申請業務も兼任する等、着実に業務の幅を広げていった。

※2 同社では、「商品企画課」が商品のコンセプトや材料を決め、それを元に「品質管理課」が味や成分値を決める等、共同で商品開発を実施している。

社内初の産休・育休取得から女性管理職に就任

そうした中、第一子を出産し、同社初の産休育休を取得。会社内で初めてのことから、会社も森本さん自身も戸惑いながらではあったが、1年間の育休を取得した。当時を振り返って「会社には、前例がなかったのに産休育休の対応をきちんとしてもらえたことに対して感謝しています。また出産、子育てを経て良かったことは、物事に対する考え方が幅広くなったことです。以前は仕事一本でやってきましたが、子どもを連れて散歩に出ると、『あっ飛行機雲があるな』とか季節を改めて感じるようになって、感情が豊かになり、心に余裕が出てきたと思います」と語る。
家族のサポートというバックアップがあったことから、時短勤務制度は利用せずに職場復帰を果たしたが、直属の上司が退職したことをきっかけに、急遽、森本さんが同課の業務の実質的な責任者となることに。これまでは上司がいたことで教えてもらえていた情報や法律、業界等の外部情報・知識などもすべて自分で収集しなければならなくなり、非常に大きなプレッシャーを感じたという。しかし、森本さんはそんな状況に屈することなく、自分で情報を入手すべく商品の表示に関する講習会に参加したり、全国マヨネーズ・ドレッシング類協会の会員になってメーリングリストに登録したりする等、積極的に外部情報の収集活動を行った。そういった努力する姿勢が評価され、平成28年、仕事と子育てを両立しながら女性課長代理に就任。現在は、これまでの業務に加えて部下の育成や管理体制強化等にも従事し、日々やりがいを感じながら仕事を続けている。

家庭と仕事との両立に周りのサポートは必須

現在は小学校3年生と1年生の子どもを育てる森本さん。家庭との両立について「家族と部署内のサポートは必須」と語る。「育休復帰後も時短勤務制度を利用しなかったので、夫の実家で子どもを見てもらっていました。今でも帰りが18時を過ぎる時は、義理の母に学童のお迎えをお願いしています。平日の夕食は主人の実家で食べさせてもらったり、熱が出た時に看護してもらったりしているので非常に助かっています。また、働き方を柔軟に対応できる部署なので、月1回の参観日には有給休暇を充てて参加できるのがありがたいですね。部署内に育児中の同世代の後輩がいるので、休んで負担が増える部分はカバーし合う等助け合えて非常に働きやすいです」と話す。
同社の経営幹部は、有給休暇、産休育休の取得を「従業員の当然の権利」だと考え、そういった社風もワーキングマザーの働きやすさを後押ししている。(寺岡醸造の取組についてはこちら
後進へのアドバイスをお願いすると、「子どもがいると、どうしても仕事最優先にできない状況が多くなります。それでも会社に働いてほしいと思ってもらえるような人材になることができれば、会社としてもできる範囲で対応してくれると思うし、また会社からのサポートがあれば、働く側も仕事への意欲も湧くものと思います。そのためにも常に自己啓発はしっかりやっていくことが重要だと思います」とメッセージをくれた。

お客様、会社に求められていることを1つずつクリアする

管理職になったきっかけは「上司に評価されたから」。管理職に対する不安もあったが、上司から「やってみて」と言われた以上は「やろう」と決めた。幸い、役職こそ変わるものの、部署異動はなく、そこまでの抵抗感は感じなかったという。「私はどちらかというと商品の中身を作る開発業務よりは、検査や申請等の品質管理業務の方が好きなのですが、本来、どちらの仕事もリンクしているので、管理職になってからはその両面を意識するようになりました。責任の重さを感じる反面、視野も広がってやりがいやおもしろさも感じています。部署として『自己啓発』をするよう勧められているので、必要な知識を得るための研修等は自分で探し、積極的に参加するようにしています。自分で決めたことを前向きに実行するのは楽しいですよ。品質管理の仕事は情報収集をしないと気が付かないうちに法令違反をしてしまう可能性もあるので、業務としても非常に重要です」と語る。
今後のキャリア目標について尋ねると、「会社に任せられている品質管理という部署に求められる役割を、確実に果たしていくことが当面の目標です。近年は食品に対するお客様の要求事項もどんどん厳しくなっていますし、法律も目まぐるしく変わっていくので、情報収集と新規の取組の両方を継続して行っていきたいと思っています。お客様から言われたことを1つずつクリアすることを今は最優先に考えています」と話す。前向きで積極的な森本さんの挑戦はこれからも続いていく。