輝く女性事例

「みんなに背中を押されて
知ることができた管理職のやりがい、楽しさ」

呉信用金庫

  • 金融業・保険業
  • 呉市
  • 301以上
所在地 広島県呉市本通2丁目2番15号
URL http://www.kure-shinkin.jp/index.shtml
所属・役職 本通支店 支店長
ご本人氏名 久保 由里恵 さん

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1996年~
呉信用金庫入庫、3つの支店で預金担当として後方事務、受付業務を担当。結婚・出産を経験。

2002年~
1年間の育児休業を取得。

2003年~
復帰後、本店営業部に配属される。預金担当としての業務に加え、顧客との折衝、特殊事務への対応、他部署との連携、人脈づくり等今後のキャリアアップの土台となる経験を積む。

2007年~
支店に異動。この頃女性で関わる人が比較的少なかった融資業務を担当。融資に対する会社の基本方針や事務規定・商品規定の勉強、顧客情報の活用やニーズの発掘等顧客との取引深耕につながるセールスを学ぶ。

2009年~
支店・本店営業部での預金担当役席を経て、支店長代理に昇格。管理職の補佐として営業推進管理、検証業務および事務統括、人材育成を行う。

2016年~現在
本通支店の支店長に就任、店舗運営を任されている。

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結婚・出産しても、働き続けることはごく自然な流れだった

呉信用金庫の本通支店で支店長として店舗運営を担当している久保さん。今の会社を選んだ理由は、地元で長く働ける企業だと感じたから。自身の母親がワーキングマザーであった影響から、入庫当初より「仕事を途中で辞めることは考えていなかった」という。実際、結婚・出産を機に同期が次々と辞めていく中、その当時、周囲では数人の女性しか取得していなかった「育児休業と職場復帰」を選択した。その理由を「仕事が好きだったこと」と、同じ会社で働く夫から「育児休業で1年休みをとるのだから、復帰して最低でも1年間は続けなさい」とのアドバイスがあったからと振り返る。

仕事と家庭の両立のコツは素直さと信念

育児休業明け直後は、「仕事と子育ての両立は生半可なことではなかったです」という久保さん。子どもの病気や入院、保育所からの呼び出しなどで、仕事を途中で抜けたり、休むことが頻繁にあった。久保さんと夫、それぞれの両親も含め6人の協力体制のもと、育児をしたと話す。育休復帰から1年経った頃、当時の上司(課長)から上位職への資格取得試験を受けるよう勧められた。その頃、育児と仕事の生活リズムにやっと慣れ、日々の生活が軌道にのってきた頃で、自身の挑戦やステップアップを考える余裕はまだなかったという。また、子育てしながら働いている女性も周りにほとんどいなかったことから、「仕事最優先の働き方」ができない自分はキャリアアップを考えてはいけないのではないかとも感じていたという。そんな消極的な姿勢の久保さんに「まずは1年間で資格を取りなさい。そして必要以上に同僚に遠慮する必要はない」という上司からの言葉が背中を押してくれたと話す。「自分が期待され、評価されていると思えたその一言で、仕事に対する覚悟が生まれ、前に進んでみようと思うきっかけとなりました」と当時を振り返る。夫の協力のもと、早朝と休日に勉強時間を確保し、必須試験に無事合格した久保さん。「仕事と家庭を両立させるためには優先順位をつけ、手を抜ける部分は抜くことがコツ。自分の欠点や弱さを受け入れ、家族に上手に甘えることも大事。また、周囲の協力と同時に自分自身の決意と覚悟も必要です。周囲への感謝と気遣いの気持ちを忘れず、同僚がどんな働き方をしているか理解し、お互いに気持ち良く仕事を進められるように積極的にコミュニケーションを図ることを忘れずに」と自身が苦労したことで導き出されたアドバイスをくれた。

両立支援制度は「子育て」支援であり、「キャリア」支援ではない

子どもが一番多感な時期と仕事が一番おもしろいと思った時期が重なった。悩んだが、夫の「今後、キャリアアップをする上で預金業務だけでなく融資業務も経験しておいた方が良い」というアドバイスもあって、当時女性の従事者が比較的少なかった融資業務に自ら希望を出し、2年間の経験を積んだ。融資業務の習得に懸命に励んだことから周囲からの評価も上がり、入庫14年目で一般職からより責任の強い役席に昇進。その3年後にはスピード出世で支店長代理に昇格した。苦労は絶えなかったが、育児を理由に仕事をおろそかにはしたくないという意地もあった。忙しい毎日を、音を上げずに続けた。外部研修を受講するため、子どもと5日間も離れなければならなかった時は、新幹線のホームで泣きながら別れたエピソードも教えてくれた。何もかもうまくいかず失敗が重なることもあったが、「もうだめだ、限界だ」と思うと、いつも必ず周囲にいる誰かがサポートしてくれた。感謝の気持ちが絶えることはなかったという。
多少落ち着きいてきた今、当時を振り返って「あの時がむしゃらにがんばったからこそ今の自分があると感じる」と語る。
今、後輩を指導する立場になった久保さんは「育児休業制度や短時間労働制度等は『子育て中』には必要な支援でありますが、女性も制度に甘えず、組織の一員として貢献していく覚悟や気持ちが非常に重要だと感じます。立場が上がると職責が重くなる一方で、やりがいが大きくなり、視野も広がります。1人でも多くの後輩に、自分と同じような“心に残る経験”を味わってほしい」と願っていた。

みんなに背中を押されて知ることができた管理職のやりがい、楽しさ

入庫して21年、「まだ適齢期ではないと思っていた自分の名前が、支店長候補欄に載っていることに非常にビックリした」と語る久保さん。支店長という大きなチャレンジ、勇気のいる決断を前に、自分には能力や経験値が不足しているのではないかとためらった。しかし、支店長からの勧めや夫の「がんばれ」という言葉、部下からの応援に背中を押され、昇進面接を受験。見事合格し、支店長に就任した。
支店長になった後、一番変わったことは「周りの見る目」だった。肩書がつき、他の従業員と同じ制服を着用しないことで、顧客は「長」として自分を見る。地域の顧客に信頼され、支持され、当庫を利用してもらうためにはどうすれば良いのか、今求められている金融機関の役割とは何かを日々考えながら仕事に臨んでいる。様々な質問、相談が寄せられる中、自分自身で判断・決断していくためには、視野を広く持ち、常にアンテナを張って多くのことを吸収し、課題に沿う解決策をスピーディーに実践するように心掛ける。また、組織内の人事管理も支店長の重要な役割だ。性別や世代、考えの異なる人をどうマネジメントするか、どうやって組織の目標を達成するかを考えながら実行していくことで、部下とともに成長できていると感じられ、やりがいを覚えるのだという。
ストレス発散法は、家では仕事のことをなるべく考えないようにON/OFFの切り替えをしっかりすること、また家族と過ごす時間をしっかりと楽しむことだそうだ。

女性を男性より早期に育成する必要性を痛感

かつての久保さんと同じように、仕事と育児の両立の不安から、昇進をためらい、管理職に就きたくないという意識を持つ女性従業員が少なくない。「能力のある人には重要な仕事を経験させ、キャリアアップやマネジメントのおもしろさを少しでも伝え、部下の成長をサポートしたい」と語る久保さん。出産・育児により仕事に制約が生まれがちな女性は「男性より早期に育成する必要がある」と考える。自信を持って働こうと考えている女性であれば長く勤めてくれるはず。ライフイベントを迎える前の時間を無駄にせず、プランを早めに立てさせる、早期に多くの経験を積ませて能力を高め、やりがいを感じてもらい、仕事を続けたいと思ってもらう、といったことが女性活躍において非常に重要だという。また、久保さん自身は育児休業中の従業員のサポートや育休復帰後の社内ネットワークをさらに充実させる等、制度や仕組みづくりができればと考えているそうだ。これからも、業務の効率化・共有化により時間外労働を減らし、有給休暇の取得を進めていくなど、「働き方への意識を変え、女性だけでなくすべての職員のワークライフバランスをより良くしていく努力が必要」と管理職としての今後の目標をしっかり持った姿が印象的だ。