女性活躍事例

「トップがリードし、男女区別・年齢差なく、
働きやすいフラットな環境を構築」

株式会社合人社計画研究所

  • その他産業
  • 広島市
  • 301以上
  • 方針・取組体制
  • 登用
  • 職場風土
所在地 広島県広島市中区袋町4番31号 合人社広島袋町ビル
URL http://www.gojin.co.jp/
業務内容 株式会社合人社計画研究所は、分譲マンション、リゾートマンション、プール、アスレチックジム、コンドミニアム、市街地再開発ビル等区分所有建物の企画立案及び管理受託、PPP/PFI事業における公共建築物の企画・立案と管理・運営受託、建築設計・監理、公園緑地設計、地域環境計画と幅広く業務を展開。広島本社の他、東京・大阪本店、全国に21の支店、31の営業所を構える。
従業員数 1,358名
女性従業員比率 42.4%
女性管理職比率 20.0%

(2018年1月現在)

代表取締役所長 福井 滋 氏

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  • 男女の待遇見直しにより、女性の平均勤続年数が男性よりも2.2年長く
  • 「係長制度」の導入で、女性管理職数が大幅増加
  • 「フレックスタイム」「朝残業」等の取組で、男女問わず働きやすい職場へ

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1 男女の待遇見直しにより、女性の平均勤続年数が男性よりも2.2年長く

株式会社合人社計画研究所(以下、合人社)は、分譲マンション総合管理業で国内トップクラスの規模を誇る。合人社では、基本的に男性は総合職、女性は事務業務を中心に一般職として働いている。両者の大きな違いは転勤の有無であるが、約10年前から一般職であってもキャリアアップできる制度が整備されている。また、女性の継続就業は当たり前という風土が醸成されていることから、結婚・出産を理由に退職する女性従業員は少なく、優秀な人材は男女や年齢等の区別なく責任のある仕事を任せている。「能力がある人は上に引き上げる」という実力主義のもと、勤続年数に関係なく登用を実施する。実際、合人社の平均勤続年数は、男性より女性が2.2年長い9.4年であり、女性が長く働きやすい職場環境であることがうかがえる。

2 「係長制度」の導入で、女性管理職数が大幅増加

一般職のキャリアアップが本格化し始めたのは、2007年。
type2_gojin_2.jpgOAシステム課において、統括(いわゆる課長)の下に「係長」を敷く制度をトライアルで整備したことがきっかけであった。整備の背景には、社内で重要視されている「報・連・相」について、従業員と統括の間に「係長」を挟むことによって、より細やかなコミュニケーションを取ることが狙いだったという。優秀な人材が「係長」として選抜された結果、初めて同課において役職付きの女性が誕生した。女性で初の係長になった細迫氏(現OAシステム課統括)は、当時、まだ入社して3年目という若手であったが、同社の実力主義の方針のもと、勤続年数に関係なく登用された(細迫氏の記事はこちら)。


OAシステム課でのトライアルを皮切りに、他の課にも係長制度を普及させた結果、若くして女性管理職(同社では、係長から「管理職」扱い)になる事例が増えていった。それ以前にも部長クラスの女性はいたが、係長という役職を作ったことで、管理職になるまでの道のりが近くなり、人数も増えた。このロールモデルの存在が女性のキャリアアップを後押しすることとなり、新卒社員でも「管理職を目指そう」と考える人が増え、意識改革につながったという。


type2_gojin_3.jpg平成18年に入社した津村氏(現マンション経理一課統括)も、「私が入社した頃も、管理職として活躍する女性が多かったので、いずれは自分も同じ道を歩むのだろうなという気持ちが当たり前にありました。そして今は、若手の部下に『いずれあなた達も管理職になるから、そのために成長してほしい』と伝えています」と話す(津村氏の記事はこちら)。


社内で活躍する多くの先輩ロールモデルが、いかに女性のキャリア意識に影響を与えているかがわかる。

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3 「フレックスタイム」「朝残業」等の取組で、男女問わず働きやすい職場へ

合人社では10年前からフレックスタイム制度を導入している。各事業所のフロント担当(マンション管理組合との担当窓口)が、お客様の都合に合わせて土日祝や夕方以降の時間帯での対応となることが多いため、柔軟に勤務時間を変更できるようにしたことがきっかけであるが、その後、フロントだけでなく全従業員にフレックスタイム制度を導入した。結果、個々人の事情に合わせて柔軟に勤務時間を変更できるようになり、その延長で休みも取りやすいという職場環境に変わったという。管理職自らが、積極的に有給休暇を取得している事例もあるそうだ。

また、福井所長の方針のもと、業務の効率化と残業時間の削減にも積極的に取り組んでいる。「残業するなら夜ではなく朝残業」と、残業が必要なときでも「朝残業」の定着が図られている。さらに、夜残業については、「業務の都合上、どうしても18時以降に残業をする必要が生じた場合でも一人だけで仕事を片付けてはいけない。複数人で分担・並行して仕事をし、誰か特定の人だけに偏りを出さないように」という方針が実行されているという。
業務で使用するパソコンについても管理職以外は18:00、管理職は20:00に強制的に利用不可とする等、徹底した取組が行われている。

加えて、今年度(平成29年度)からは年始に半強制的に有給休暇を取得させる「奨励休」を会社で定めた。その結果、最初の年末年始は多くの従業員が10連休となったという。今後も盆や年末年始には、積極的に奨励休を設定していく予定だそう。

こういった様々な取組により、従業員のライフワークバランスは確実に改善されたようで、津村氏(マンション経理一課統括)は、「夜間残業禁止になったことによって、時間を効率的に使えるようになり、仕事にメリハリが出ました。さらに、業務終了後に自由な時間が増えたのはうれしいです」と話す。

合人社は次なる取組として、ジョブローテーション、複数担当制や多能工化を進めている。その目的は、人材育成とともに安定した組織運営を図ることにある。福井所長の「偏りが出てはいけない」という考えは「組織内において突出して能力が高い人ばかりに仕事を任せてはいけない」ということ。特定の人がいないと「仕事が回らない」という状況ではなく、誰かが代わって業務を行える状況にすることで、業務の透明性を確保するとともに、効率化を促したり、質の高いサービスを安定的に提供したりできるようにする。
そのため、これまで各管理職に裁量を任せてきた「ジョブローテーション」を、今年から全社的に統一して実施することを決定。現在、各支店や事業所に運用の指示を出しているという。

男女問わず長く働き続けられる職場環境の構築に向けて、合人社の挑戦はこれからも続いていく。


取材担当者からの一言

女性の管理職登用における企業が抱える課題の1つとして、「登用に前向きでない女性の意識」があげられる(※)。
この打開策として、合人社は「係長制度」を導入し、社内に女性管理職のロールモデルを増加させた。社内で女性管理職が当たり前に活躍しているということが、若い世代のキャリア意識に大きな影響を与え、女性のキャリアアップが当たり前の風土として醸成されている。まさに、女性の能力を十分に発揮させ、会社の業績にも大きく貢献している好事例といえる。また、同時に労務環境を改善し、管理職でも長時間労働を前提にしない職場にしたことで、「管理職は大変そう」といった負のイメージを従業員に与えることなく、結果的に「管理職になりたい」と思う人材を増やすことにつながったのではないか。
こういった取組をトップ主導で進めてきたことが、改革のスピードをより一層早めているのだろう。

※出典:H28広島県女性活躍推進実態調査 


type2_gojin_5.jpg●取材日 2018年1月
●取材ご対応者
人事部 統括 辻 治行 氏