女性活躍優良事例

「トップと女性管理職の信頼関係が生んだ人材を大切にする風土」

株式会社エコー・システム

  • その他産業
  • 西部
  • 101〜300
  • 両立・継続支援
  • 評価・処遇
  • 職場風土
社名 株式会社エコー・システム
本社所在地 広島県広島市南区金屋町3-13 タミヤビル5F
URL https://www.echosystem.co.jp/
業種 情報通信業
事業概要 1989年の創業以来、どのメーカー系列にも属さない完全独立型系のシステム開発会社としてあらゆる業種・業態に応じたコンピューターソフトウエア、アプリケーションソフト、クラウドサービス、業務管理システムなどを開発し、案件は1,000を超える。創業時からの「広くお客様の声を聞き、力になれる会社になりたい」という会社の原点は変わらず、広島本社を含め全国に9営業所から、全国大小さまざまな企業へ向け、幅広い事業展開を行っている。
従業員数 106名
女性従業員比率 17.9%
女性管理職比率 21.4%

(2018年4月現在)

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代表取締役社長 宇郷 亮氏

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  • 全国平均を上回る女性管理職比率。経営者と同じ目線で会社を牽引する女性従業員
  • 安定した勤続年数は、企業の“宝“である従業員の希望に応じた支援や環境づくりから
  • “女性だから”という特別な意識はない。男女区別のない平等な仕事の割り当てと評価
  • 若手の横のつながりを強める同世代コミュニケーション教育、「人づくり」を徹底する理由

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1.全国平均を上回る女性管理職比率。経営者と同じ目線で会社を牽引する女性従業員

株式会社エコー・システム(以下、エコー・システム)は、コンピューターソフトウエアの受託開発、パッケージソフト、基幹業務システムなどの情報処理サービスを提供する会社である。

1989年に宇郷社長が広島で立ち上げた会社は、今では従業員数106名となり、広島本社および全国に営業所を8カ所構えるなど、拠点数も増えた。女性従業員は19名、全体の17.9%と少ないながら、部長相当職1名、課長相当職2名、所長相当職が1名と女性管理職比率は21.4%。情報通信業界における女性管理職比率10.0%(※1)と比べて倍以上となっている。

図1 エコー・システムと情報通信業(全国平均)、女性管理職比率の比較

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※1 出所:厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査 図11 産業別女性管理職割合 課長相当職以上(役員含む)(企業規模10 人以上)」

2015年は女性管理職が2名であったが、2018年度に2名増えた。女性管理職を増やすべく特別な対策を取ったのではなく、続けてきた仕事が評価された結果だそうだ。女性管理職の内訳は、管理事業部に部長と課長それぞれ1名、広島事業所に所長1名、システム部に課長1名が配属されている。会社組織図を見ても分かるように会社全体に女性が配置されている。

図2 エコー・システムの組織図と女性管理職配置状況

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05.jpgこのように、エコー・システムにおいて女性が活躍している背景には「今は、社長が自由にさせてくれるのでやりやすいです。でも、過去にはいろいろありましたよ」と、笑いながら答える馬場美津子管理統括部長(以下、馬場部長)の存在がある。

馬場部長は創業間もない頃から同社に勤務し、現在は役員も務めるなど、長く経営陣の一人として事業拡大を支えてきた。「仕事を長く続けてもらえるように、従業員には〝自分がここにいていいんだ″という安心感をもって勤務してほしいと思っています。そのためには個人に合った業務内容で、自分の力を思う存分発揮できる環境づくりが大切だと考えています。意見の擦れ違いもあり、昔から何度も社長とぶつかりながら、現場の声を拾い上げ、社長へ伝えていくのも管理職の役割だと思っています。時間がかかっても正しいと思うことは諦めず、伝え続けるよう意識してきました」と馬場部長は語る。

社長と一緒に馬場部長が経営を支えるキーパーソンの一人として活躍し、会社を大きくしてきた。女性が経営陣として事業をけん引してきたことが、エコー・システムで女性がごく自然に活躍している理由の一つといえるだろう。

2.安定した勤続年数は、企業の“宝“である従業員の希望に応じた支援や環境づくりから

「苦労して身に付けた技術を長く生かしてほしい。従業員が結婚、育児、介護などの家庭の事情を原因に仕事を辞めてほしくない」というのが、馬場部長の思いだ。エコー・システムは19名の女性従業員のうち、14名がプログラマーやシステムエンジニアといった技術者として活躍しているが、20年ほど前から結婚・妊娠後も仕事を続ける傾向にあったという。この理由として、勤務地と自宅が近い従業員が多いことや、育児休業等の利用を勧めてきたことなどが挙げられる。

従業員のワーク・ライフ・バランスを支援する制度について、大まかな社内ルールはあるものの、基本的には本人の事情や業務により相談して決めているという。具体的には、6時間~7時間以内の短時間勤務制度を設けているが、注目したいのは同制度の取得期間だ。「育児・介護休業法」では3歳未満の子を養育する期間と定められているが、エコー・システムでは、第一子が小学校を卒業するまで取得できる制度となっている。ある女性従業員は、第一子が小学校を卒業するまで短時間労働制度を取得。第一子が中学校に上がった今年度4月からフルタイムに復帰したという。

社内で細かな制度を設けずとも、従業員一人一人の働きやすさに寄り添う姿勢が、休職から復帰しやすいアットホームな空気作り出し、ひいては安定した勤続年数につながっているようだ。今後はさらに、女性に限らず、両親の介護が必要で転勤先から地元へ戻りたい従業員への配慮も行っていきたいと考えている。

3.“女性だから”という特別な意識はない。男女区別のない平等な仕事の割り当てと評価

「〝女性活躍″ということはあまり意識していません」、取材の冒頭でそう答えたのは1994年、エコー・システムの5人目の従業員として入社した齊藤恭子第二事業部副事業部長(齊藤さんの記事はこちら)。

エコー・システムでは、年齢・性別・学歴等に関係なく、実力で評価され、昇格できる文化が昔から根付いているという。入社後、学歴に関係なく待遇は同等で、仕事の内容も皆平等にスタートする。つまり完全な実力主義である。仕事に対して努力すればきちんと評価され、給与や昇給に反映されるという。従業員の約2割が女性、中でも技術職の従業員が多い中、仕事の割り当てで「女性だから」「男性だから」という差はないそうだ。齊藤副事業部長は続けてこう語る。「男女共に、諦めずに努力し技術を身に付ければ必ずキャリアアップしていける会社。女性だからといって特別仕事の仕方を意識したことはない。社内全体には女性への配慮はあっても仕事上での区別を感じたことはない」。

例えば、新入社員は男女区別なく、電話担当、訪問者の受付対応、お茶出しなどを行う。取材当日、受付に現れたのは20代前半の男性従業員であり、麦茶を出してくれた。お茶出しは女性といった固定概念はなく、「男性だから」「女性だから」という区別がないことがうかがえた。

現在はシステムの保守や運用サービスにおいて、ネットワークを利用した遠隔対応が多くなってきているが、エコー・システムではトラブル時や困っているお客様の元へ足を運ぶことを大切にしているそうだ。このため、数日間の出張はもちろん、時には2カ月の長期出張もあるという。そこで、育児や介護等の家庭の事情等で出張が難しい従業員が同じプロジェクトチームの中にいる場合は、メンバー間で役割分担を行い、柔軟に対応しているという。

また、エコー・システムでは、システム開発プロジェクトごとの原価、必要工数、期間などを全て「見える化」している。プロジェクトごとに社内評価を行い、効率や品質が悪い場合は改善を促す。また、プロジェクトチーム一人一人の役割に対してもきちんと振り返りを行い、評価をしている。このように実績の積み重ねで個人の評価が行われるため、そこに男女の差や時短勤務とフルタイム勤務の差は生まれにくくなっている。現在は各事業所に任せている従業員の評価も、拠点数が増えて会社が大きくなってきたため、今後は、従業員をより正確に評価できる全社統一的な人事評価ポリシーを導入していきたいという。

4.若手の横のつながりを強める同世代コミュニケーション教育、「人づくり」を徹底する理由

エコー・システムは、1999年より本格的に新卒採用を開始した。採用人数は少数でありながらも、従業員一人一人を大切に育てようとする気持ちは熱い。「人を育てるのは時間がかかることではあるが、今後も時間と努力を惜しまず、お客様に寄り添える人材を育てていきたい」と話す馬場部長は、社内の採用・教育担当も務めている。従業員からは母親のように慕われる存在で、馬場部長もまた採用した若手社員を「わが子のように大切な存在」と語る。他の企業でも、若手従業員の離職防止が課題であるが、エコー・システムも3年前まで同様に頭を悩ませていた。入社前までは学校や家庭で横のつながりを中心に生活していた若者が、入社後、縦のつながりを求められ、精神的な心のよりどころがなくなってしまう。その結果、仕事や会社という組織に楽しさを見いだせないことが主な原因ではないかと分析していた。「このままではいけない」と課題に向き合った結果、現在では新卒者の定着率が年々アップしているという。

その対策の一つとして、近年始めた若手同士でのコミュニケーション強化が功を奏しているようだ。1年目の新人社員2名に対して、1~2つ上の先輩4名がメンターとなり、身近な相談や教育を行う取組だ。新入社員へ面談を行った際には「早く先輩のようになりたい!」「一人前になってさすがだねと言われたい」という先を見据えた前向きな言葉が聞けたという。また、そういった新入社員の前向きな言葉を、メンターである先輩社員に伝えることで、先輩社員もさらにモチベーションが向上するなど、相乗効果が起きている。年齢の近い先輩社員に頼れるという安心感と、新入社員への教育でモチベーションが上がる先輩とが二人三脚で日々過ごす。これにより、横のつながりを強めるだけでなく、仕事で苦しい時期を互いに支え合えるような仲間意識をつくり出すきっかけにもなっている。

エコー・システムでは「人材が宝」「人づくりが何よりも大切」であるとの考えから、目先の「人材確保」のためではなく、業界全体を支えていける人材の育成に力を入れていく方針であるという。

取材担当者からの一言

情報通信業界の女性管理職比率は、全業界の平均11.5%(※1)と比べて、1.5ポイント低い。その理由として、結婚・子育てとの両立が難しいことや、働く時間が定まらない、残業の多さや出張や緊急対応が多いことなどが挙げられる。エコー・システムではそういった業界特有の働きにくさを先読みした取組が実施されており、苦労して身に付けた技術を長く生かせる職場環境づくりを目指す姿勢があった。

取材中、「女性・男性と意識することはない」という言葉が何度も登場した。エコー・システムには女性が活躍する文化が長く根付いており、その背景には、経営者が男女区別なく役割を与えてきたことと、その中で生まれた女性管理職(部長)の存在が大きいのではないかと感じた。当事者たちはその役割に関して「自然とそうなった」と謙遜するが、経営者と女性管理職との間に信頼関係があるからこそ構築された風土だと感じた。

女性管理職の方が人事関連を取り仕切る中で、「見て学ぶ」教育から「長所を伸ばし、褒めて育てる」教育へと、時代の流れに沿った変化を遂げた。従業員の横のつながりの強化を重視する取組は、現在少しずつ成功体験を重ねながら試行している最中であるが、今後さらに「エコー・システムブランド」を担った人材を生み出す大きな第一歩となるだろう。

今後重要となるのは、馬場管理統括部長が話すように「従業員を平等に評価できる人事評価制度の構築」と考えられる。情報通信業における最大の経営資源は人材であり、社会貢献度の高いソフトウエアを開発するにも、大小さまざまなプロジェクトをまとめるにも一人一人の努力が企業の力となる。今後のエコー・システムの鍵となるのは、従業員の評価が社内全体でうまく機能することではないだろうか。

●取材日 2018年7月

●取材ご対応者
株式会社エコー・システム
管理統括部 部長 馬場 美津子 氏
第二事業部 副事業部長 齊藤 恭子 氏