女性活躍優良事例

「経営にも女性視点を入れ、事務も製造も組織全体での効率化を実現」

日鐵鋼業株式会社

  • 製造業
  • 福山市
  • 31〜100
  • 人材活用
  • 職場風土
社名 日鐵鋼業株式会社
所在地 福山市曙町4-16-14
URL http://nittetu.jp
業務内容 広島県を中心とした中四国地域に対し、鋼材の切断加工や販売を行う鉄鋼業者である。国内メーカー製作の鋼板・丸鋼・平鋼・角鋼などの鋼材を取り扱うほか、レーザー切断、ガス溶断、鋸切断、溶接・機械加工などの二次的加工も行う。高品質な鋼材販売と確かな切断加工技術を軸に広島県のモノづくりを支えている。2011年より、徹底した3S活動を通して安全で快適な職場環境の実現を図っている。
従業員数 39名
女性従業員比率 17.9%
女性管理職比率 20.0%

(2018年10月現在)

1日鐵鋼業.jpg代表取締役社長 能登伸一氏

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  • 他社からも「女性が頼もしい」と評されるほど女性が活躍
  • 専務が女性従業員のロールモデルとなり、組織をけん引
  • 製造現場では3S活動、事務も効率化を図り、休日も増加

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1.他社からも「女性が頼もしい」と評されるほど女性が活躍

日鐵鋼業株式会社(以下、日鐵鋼業)は、福山市曙町に本社を置き、広島県を中心とした中四国地域に向けて、鋼材の販売をしている。また、販売だけでなく、工作機器や産業機械等の材料として利用される鋼材の溶接・機械加工といった二次的加工も行う。高品質な鋼材の販売と確かな切断加工技術を軸に広島県のモノづくりを支えている。

日鐵鋼業の女性従業員は、39名中7名と人数は少ないながら、他企業から「日鐵鋼業は女性が頼もしい」と言われるほど、活躍していることが特長の1つである。

女性従業員は総務・経理グループと営業グループに配属されている(図1参照)。営業グループは、いくつかのチームに分かれ、そのチーム単位で、受注から納品、請求まで一貫して対応している。女性従業員を含め、全員が図面を理解し、顧客との仕様についてのやり取りや、生産部門との調整、納品、請求までの一切を行う。総務・経理グループの女性従業員も、営業職を兼務するため、同様に対応できるそうだ。また、女性従業員も担当する顧客を月に1度は必ず訪問し、顧客と積極的にコミュニケーションをとることで、顧客との結びつきを強くしているという。これが、顧客から「女性が活躍している」と言われる理由の一つになっているようだ。

さらに、「鉄の製造現場は男社会」というイメージがあるかもしれないが、同社においては事務担当の女性も、繁忙期には製造現場に入ることがあるそうだ。

図1 日鐵鋼業の組織図と女性管理職・女性従業員配置状況

図1組織図_日鐵鋼業.jpg

なぜ、日鐵鋼業では女性従業員が活躍できているのだろうか。そこには代表取締役社長の能登伸一氏の考えや、女性が製造の現場で働く風土を醸成した専務取締役の三谷薫氏の存在、会社全体で3S活動(整理・整頓・清掃)を徹底して効率性を向上させた背景がある。

日鐵鋼業では、自ら責任を持って創意工夫をし、従業員として主体的に行動することを推奨している。そのため、やる気があり、能力のある従業員に対しては、男女問わず裁量を与え、仕事を任せる社風であるという。「わが社は、女性だから特別扱いをするということはありません。基本は多様な人材が生き生きと働いてくれる柔軟な会社にしたいと考えています。おのおのの個人的な事情についても配慮し、会社として、大きな家族として、受け入れていくつもりです」と能登社長は語る。そこには、経営者と従業員という違いはあれど、人としては対等である、という考えがある。

2.専務が女性従業員のロールモデルとなり、組織をけん引

2日鐵鋼業.jpg経理・総務グループの課長として活躍している坂田さんも会社から裁量を与えられて能力を発揮している一人だ。

坂田さんは、中途採用で営業事務として日鐵鋼業に入社。前職とは畑違いの業種と職種ではあったが、新しい業務を覚えるたびに、柔軟性と適応力が身に付いていることを実感したという。「能登社長が何でも任せてくれることもあり、責任を持って業務に取り組むことができるため、日々の業務が楽しい」と、生き生きとした笑顔で話してくれた。

経理・総務グループの課長ではあるが、営業も担当するため、定期的な顧客訪問を計画し、コミュニケーションを深めるとともに、生きた営業情報を収集し、売上につなげるように努めているという。

そんな坂田さんのロールモデルとなっているのは、社長の姉である三谷薫専務だ。

3日鐵鋼業.jpg三谷専務は高校卒業後に、地元の金融機関に就職したが、家業を手伝うために事務職として日鐵鋼業へ入社。次第に製造現場にも興味を持ち、金属の丸棒を切るなど、作業を行うようになったそうだ。

「何にでも興味を持って手を出す性分だった私が製造現場で働くことを心配した母から、赤いジャンパーを与えられました。私がどこにいるのかすぐに分かるようにするためで、私が働く様子を遠くから見守っていたそうです。これまでレーザー切断機やコンピューターによるプログラムの導入など、さまざまな業務を経験してきました」と三谷専務は語る。

現在でも、受注から納品までをこなし、第一線で活躍する三谷専務。営業やお客様のこともよく知っている三谷専務のもとには、事務や製造を問わず、さまざまな従業員が相談に来るそうだ。「社長の私に言いにくいことは、全て専務に相談しているようです」と能登社長は話す。人が好き、顧客が好き、仕事が好きだからこそ、仕事にも従業員にも常に全力で向き合ってきた。そういった三谷専務の姿を、他の従業員が見ており、特に女性が責任感と使命感を持ち、仕事に取り組む姿勢につながっているようだ。

3.製造現場では3S活動、事務も効率化を図り、休日も増加

日鐵鋼業は2011年から品質マネジメントシステム(以下、QMS)の導入を目指し、本格的に3S活動(整理・整頓・清掃)を通じた職場環境の改善を開始した。エリアごとに責任者を定め、工場・事務所において徹底的な3S活動を行った。

長年、工場に保管されてきた在庫なども思い切って廃棄。自分たちの業務や作業工程を見直し、生産に必要な材料のみを在庫とする体制に整えた。不要物がなくなって工場全体にスペースが生まれたため、新規に通行エリアを設置した。さらに、通行エリアや作業エリア別に床面を塗装し、明確な区分けを実施。このことで作業者と通行者双方の安全が確保された。従業員が中心となって活動し、周囲から「そこまでよく変われた」と言われるほど、3S活動を行ったそうだ。

4日鐵鋼業.jpg日鐵鋼業では、いわゆるジャストインタイム生産方式(※)を実現するため、生産現場だけでなく、それをサポートする事務においても同様に3S活動を実行した。受注から出荷、入金に至る事務作業をリストアップし、その作業の必要性や最善の方法、プロセスを一から見直した。その上で、自社仕様の生産管理システムを導入。

以前は、受注のたびに事務職が製造現場に向かい、在庫状況などを確認していたが、その動きが不要となった。

今後もさらなる業務効率化のため、社員全員にタブレットを配布し、営業と事務の双方が必要な情報をリアルタイムで共有することで引き続き、ジャストインタイム生産方式の実現を目指すという。

また、全員が大型のディスプレーを2台利用し、PC画面を見やすくするとともに、書類の印刷を極小化し、事務作業を効率化。全員揃いのペン立てをつくり、机上に置く文房具も必要最低限にとどめるようにルール化、文房具や書類の在庫の状況が一目で分かるように、戸棚の扉も取り払うなどし、全般的に改善した。

このような活動の結果、製造現場だけでなく、事務の効率も向上した。その結果、営業を担当しつつも、時間的な制約でお客様訪問ができず、電話越しのやり取りを行うのみであった女性従業員が、3年前から月1回は訪問することができるようになった。

「ライバル企業も高品質の素晴らしい製品を取り扱っています。品質そのものや価格で差別化を図るのが難しいなら、お客様が『日鐵鋼業に頼みたい』と思える顧客対応力で勝負をすることになる。営業力を高める上で、個人の能力と特長を生かした営業が必要不可欠です」と能登社長は語る。

さらに、日鐵鋼業では従業員の休日の増加を目指している。年間休日を97日から103日へと増加させ、休みを取りやすいように年6日の休日希望を全員に聞き、事前にスケジュールに組み込むことで遠慮なく休むことができるようにしている。

※ 経済効率を高めるための技術体系(生産技術)で、“必要な物を、必要な時に、必要な量だけ生産する”こと。

取材担当者からの一言

日鐵鋼業における事務面を含めて徹底した3S活動(整理・整頓・清掃)は、他の企業も参考にできる点が多いのではないか。これぞ、働き方改革であると感じた。作業の無駄を省き、空いた時間で、女性従業員が顧客訪問するという「日鐵ブランド」の構築へつながる業務にシフトしたり、休日を増やすという成果も出している。

同社における今後の課題は、「人づくり」につながる人事制度の整備であるという。2018年から、QMSを用いた人材開発が行われ始めた。過去は営業職の従業員のみ、営業成績だけを踏まえて評価していたというが、2018年からは勤務態度を加味するようになったそうだ。さらに従業員一人一人がスキルマップを作成するとともに、年間の個人目標を明確に設定し、それを基に個人面談を行い、評価することとした。従業員が何を考えながら、何を目標に業務に従事しているかを見える化したという。

また近年、新卒者の採用に熱心に取り組んでいる。就職活動の際に同社のサイトを見て、会社の雰囲気の良さに惚れ込んだ女性が来春入社するそうだ(日鐵鋼業のHPはこちら)。日鐵鋼業に、また新たな力が加わり、さらに活気づくことだろう。

●取材日 2018年10月

●取材ご対応者
日鐵鋼業株式会社
代表取締役社長 能登 伸一 氏
専務取締役 三谷 薫 氏
経理総務グループ 坂田 幸恵 氏