女性活躍優良事例

「経営者の強い思いでダイバーシティ経営を推進、店長の半数は女性に。」

株式会社アンフィニ広島

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 301以上
  • 方針・取組体制
  • 登用
社名 株式会社アンフィニ広島
所在地 広島市南区大州5-5-37
URL https://www.efh.co.jp/
業務内容 株式会社アンフィニ広島は、デミオ・アクセラ・ロードスター・アテンザ・CX-5・CX-8といったマツダ車の新車販売や中古車販売、アフターフォロー、各種メンテナンス等の事業を、広島県内の18店舗で行っている。“チーム・アンフィニ”と呼ばれる、複数人のスタッフによるチーム制営業を行い、お客様満足のために力を尽くし、お客様に「選ばれる」ことを目指している。
従業員数 409名
女性従業員比率 26.7%
女性管理職比率 12.6%

(2018年10月現在)

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  • 営業担当者の半数近くは女性、3名の女性店長も活躍中
  • 経営者の強い思いが女性活躍をけん引
  • 女性の強みを生かせる環境を整え、「わが子を入れたい」企業を目指す
  • 今後の課題は管理部門の女性管理職

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1.営業担当者の半数近くは女性、3名の女性店長も活躍中

株式会社アンフィニ広島(以下、アンフィニ広島)は、マツダ車の新車販売や中古車販売、アフターフォロー、各種メンテナンス等の事業を行う、いわゆる独立系のディーラーだ。現在、広島県内に18ある店舗のうち、3店舗は女性が店長である。「将来的には、半数の店舗を女性店長にしたい」と、土田和正代表取締役社長は話す。

アンフィニ広島の女性従業員比率は26.7%で109名いるが、うち36名が営業を担当する。過去10年間で採用した営業担当者の半数以上、54.7%が女性であるという。また、現在の職種別男女比をみると、女性の割合は営業職で41.9%、事務職で57.1%とバランスよく配置されているのが分かる(図1参照)。整備職については、全国の国家資格を取得している自動車整備士の女性比率3.3%(※1)より1.7ポイント高い5.0%となっており、比較的、女性が活躍しているといえる。

図1 アンフィニ広島の職種別男女比

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この背景には、「優秀であれば、男女区別なく採用する」という前社長・松田弘氏の考えがあるという。世の中の半分が女性であるのだから、自然に採用した結果、約半数が女性になったということだそう。

アンフィニ広島_1.jpgまた、営業職の半数近くが女性従業員である理由として、20年以上前から、“チーム・アンフィニ”と呼ばれる、3名ほどのスタッフによるチーム制営業を行っていたことがあげられる。

男女ともに強みを発揮しながら、チームで営業を行う中で、お客様に対して細やかな配慮で対応し、チームの輪を大切にしながら成果を上げる女性従業員の存在が際立っていった。その結果、女性の力が発揮できる風土ができ、また営業を行う女性先輩従業員がいたことで、それに追従する新卒者の採用がコンスタントにできたそうだ。

※1 出典:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会「平成28年度自動車分解整備業実態調査結果の概要について」

2.経営者の強い思いが女性活躍をけん引

アンフィニ広島_2.jpg2016年、前社長の急逝に伴い、経営者としてのバトンを受け取った土田社長は「営業を担当する約半数は女性で、優秀な成績を上げている従業員もいる。その従業員が結婚などのライフイベントで退職してしまうのは、会社として損失。また、店長としてもっと活躍してもらうほうが、良いのではないか。」と考えたそうだ。それは「アンフィニ広島」が、今後もカーディーラーとして存続するために不可欠であり、経営戦略上も重要な存在であるとの考えからだ。

これには、マーケットの変化も関係しているという。日本における自動車販売台数は、ピーク時だった1990年の770万台から2017年には500万台(※2)と、3割以上減っているが、カーディーラーの店舗はそれ程減っておらず、競争が激しくなっているという。

「他社でも全く同じ車を買うことができるので、当社が提供するのは車そのもの以外のサービスです。お客様から選ばれ続ける店舗であるために、多様化するニーズに即・確実にお応えすべく、対応力を上げ、顧客満足度を高めることは必須。そのために、女性の力が必要です。数年前から女性店長を誕生させようとしていましたが、ようやく2017年4月に実現しました」と土田社長は話す。

その結果、お客様からも「店舗の雰囲気が明るくなった、よく話を聞いてくれる」など、評判も上々。売上としても成果を上げたため、2017年にもう1店舗、2018年にはさらに1店舗増やし、現在は3人の女性店長が活躍している(女性店長の1人、末角裕美さんの記事はこちら)。

※2 出典:一般社団法人日本自動車工業会「四輪車新車販売台数」より

3.女性の強みを生かせる環境を整え、「わが子を入れたい」企業を目指す

土田社長は他の自動車販売会社でトップを務めた後、前社長に声を掛けられて、2010年に同社に入社。当時は、営業職の女性従業員が結婚などを機に早く退職する傾向にあり、前社長が頭を痛めているのを見た。また、営業職の半数は女性と、人数は多いのに、会社として人材を育てておらず、本来の力を生かし切れていないとも感じたそうだ。そこで、自主参加型の研修等を実施した結果、少しずつ女性従業員の営業力がアップし、数字としても結果が出たため、手応えを感じたという。

同社は女性活躍推進法の施行に伴い、2016年に「女性活躍推進法に基づく行動計画」を策定したが、「管理職(課長職以上)に占める女性割合10%以上」を一番目の行動目標とした。女性従業員の昇進昇格に向けて、就労意欲と能力を向上させるため、階層別社内研修の女性参加者増加を図るなどの取組を続け、会社としても女性の活躍を本気で推進するというメッセージを伝えた結果、2018年10月1日現在、部長相当である女性店長が3名(2016年は0名)、女性管理職の割合は12.8 %(2016年比+4.7%)となり、目標を達成した。また、その下の係長職の女性比率は43.8%(2016年比+0.7%)となり、同社における女性活躍の場は確実に広がっている。

さらに女性管理職の登用を進めるために、子育て中の女性従業員のキャリア形成をサポートする業務体制や働き方の見直し等に関する管理職研修を2018年10月より開始した。同時に、女性従業員の活躍支援の円滑化には、配偶者・パートナーの子育て参加が不可欠であり、フルタイムの共働き世帯が増える中、男性従業員が子育てや家事を担い、男性自身の生活改革や働き方改革を行う契機とすべく、「男性の育児休業の取得促進」を2018年6月から実施した。また「妻産休特別休暇」についても実施を検討している。

また、就業継続や職場環境の整備についても継続的に取り組んでいる。

10年ほど前までは、結婚や出産などのライフイベントで女性従業員が退職する傾向にあったが、会社として奨励した結果、9年間で43名が産休育休を取得し、取得率は89.6%となった。休業期間中は、“チーム・アンフィニ”の他のメンバーでカバーしたり、新卒採用者や派遣従業員の配置で対応してきたそうだ。しかし、若手の従業員が次々とライフイベントを迎える昨今、社内的に人手不足となっており、派遣従業員の確保も難しく、社内のリソースでの対応に苦慮し、効率的な業務推進の必要性を感じているという。

働き方改革にも取り組んでおり、基本的に20時~翌朝8時までは、各建物のセキュリティをセットして入退出ができないようにしたり、社内システムで出退勤時刻を分単位で管理し、時間外手当も分単位で支払うなど、時間外勤務の抑制を実施中だ。カーディーラーは土日祝日に来客が多いこともあり、年間休日も少なくなりがちだが、2017年から従来の火曜日に加え、第2水曜日も定休日にし、年末年始は12/29~1/3までと従来より1日増やすなど、少しずつ改善を進めている。土田社長は、「従業員が、自分の子供をアンフィニ広島に入れたい、と思うような会社にしたいが、まだまだ」と言い、今後も働きやすい職場環境を整備するための取組を進めていく予定だ。

4.今後の課題は管理部門の女性管理職

収益が安定してきた今、平均年齢32歳という若い従業員をしっかり育て、会社全体としてレベルアップするためには、管理部門に女性管理職が必要と土田社長は考えている。営業部門においては、部長相当職である女性店長は増えつつあるが、管理部門に部長相当職の女性がいないからだ。

「若手は伸びしろがあり、しっかり育てることは当社の重要な課題です。現在は営業成績を重視した評価となっていますが、マネジメント能力、コンプライアンスなどといった、他の評価要素も大切だと考えます。多面的に考え、当社にあった評価制度を整備するためにも、女性の目線、つまり女性管理職が必要です。営業部門では売上数値で評価されるので、男女区別なく昇進・昇格しやすくなっていますが、管理部門はそうではないといった、現状があります」。

さらに、女性役員を育てて、経営層においても多様性を持たせることが必要と、土田社長は話す。アンフィニ広島は、今後もトップダウンで女性活躍を推進し、カーディーラーとしての生き残りをかける。

取材担当者からの一言

ダイバーシティ経営とは、“多様な属性の違いを生かし、個々の人材の能力を最大限引き出すことにより、付加価値を生み出し続ける企業を目指して、全社的かつ継続的に進めていく経営上の取組”のことをいう(※3)。取材を終えて、アンフィニ広島では、まさに経営戦略上「女性活躍」が重要な要素であることをトップが理解し、「ダイバーシティ経営」を熱心に進めている様子が見て取れた。トップの思いが女性従業員に伝わり、前例を打ち破った1人の女性従業員が「店長」を引き受け、それが社内に伝播して、女性店長が増えつつある。女性店長は、自分で抱え込まず、個々の能力を引き出して、チームマネジメントで成果を出すことを目指しているようで「店長の私がいなくても、店がきちんと回るようにすることが、店長としての仕事」と話す、女性店長の1人、末角裕美さんの言葉が印象的だった。

また、営業だけでなく、管理部門にも女性管理職が必要、さらに役員にも女性がいるべきと考える、土田社長のリーダーシップの下、確実にダイバーシティが進んでいくだろう。

※3 出典:経済産業省、ダイバーシティ2.0検討会報告書~競争戦略としてのダイバーシティの実践に向けて(平成29年3月)

●取材日 2018年11月
●取材ご対応者
株式会社アンフィニ広島
代表取締役社長 土田 和正 氏
総務部部長 橋岡 学 氏