女性活躍優良事例

「トップの導きで女性活躍推進に取り組み、10年強で大きな成果を」

オタフクソース株式会社

  • 製造業
  • 広島市
  • 301以上
  • 方針・取組体制
  • 両立・継続支援
  • 能力開発・キャリアアップ支援
  • 評価・処遇
  • 登用
  • 職場風土
認定マーク
社名 オタフクソース株式会社
所在地 広島市西区商工センター7-4-27
URL http://www.otafuku.co.jp/
業務内容 ソース、酢、たれ、その他調味料の開発・製造・販売を行う。「食を通じて『健康と豊かさと和』をもたらし、笑顔あふれる社会に寄与する」という使命の下、お客様の笑顔と幸せを広める「お多福の心」を常に持ち続け、商品の開発・改良を行ってきた。2017年に創業95周年を迎えた。
従業員数 577名
女性従業員比率 40.4%
女性管理職比率 11.0%

(2018年10月現在)

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代表取締役社長 佐々木 直義氏

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  • 2005年から早くも女性活躍推進へと舵を切る
  • 「オタフクエンゼルプラン」を策定し、女性の就業継続を目指す(2005年~)
  • ワークライフバランスと多様な働き方を推進(2011年~)
  • 働きやすい環境が整った後は、人事制度改革で活気あふれる組織へ(2016年~)

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1.2005年から早くも女性活躍推進へと舵を切る

広島っ子が大好きなお好み焼き、そのソースでおなじみのオタフクソース株式会社(以下、オタフクソース)。
2018年4月現在において、同社の女性従業員比率は40.4%となっており、製造業の全国平均である30.3%(※1)を上回る。また、女性管理職比率は11.0%と全国平均7.3%(※2)の約1.5倍であり、女性管理職の登用が比較的進んでいる企業である。

図1 オタフクソースと製造業(全国平均)の比較

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※1 出典:「労働力調査 第12・13回改定日本標準産業分類別就業者数」(製造業)
※2 出典:「平成29年雇用均等基本調査 第5表 役職別管理職割合」(製造業)

オタフクソースが本格的な女性活躍推進へと舵を切ったのは2005年であり、その理由について、代表取締役社長の佐々木直義氏は、次のように話す。 「1998年にOTAFUKU USA, Inc. を設立した当初、私はアメリカでトップとして活動していました。アメリカでは、ジェンダー、宗教、国籍など関係なく、さまざまな方が活躍している。それが当然の風土でした。また、お多福グループでは、かねてより男女区別なく活躍してもらうこととしており、女性を全て総合職として採用していました。しかし、結婚や出産などで退職する女性社員が多かったため、アメリカでの経験から、女性にもっと活躍してもらう必要があると考え、対策を始めました」。

オタフクソースにおける、13年におよぶ女性活躍についての歩みと、これからについて話を聞いた。

2.「オタフクエンゼルプラン」を策定し、女性の就業継続を目指す(2005年~)

「子育て支援を推進し、女性社員の就業継続を支援したい」と考え、経営幹部の一人である白根取締役(当時)のリーダーシップの下、2005年に人事部門にてアクションプラン「オタフクエンゼルプラン」を策定した。これをもとにしたものが、次世代育成支援対策推進法に基づき作成した「一般事業主行動計画(第1回)」(※3)である(表1)。

当時の女性社員の平均勤続年数は5.5年で、男性社員の10.6年の約半分。結婚や出産といったライフイベントで退職する傾向にあった。このため、アクションプランにおける目標は、就業継続を促す制度の整備と利用の促進であった。

表1 オタフクソースの一般事業主行動計画(第1回)

一般事業主行動計画(第1回)
期間:2005年4月1日~2007年3月31日
目標1 育児休業の取得率アップ
     男性社員…期間内に1人以上取得
     女性社員…取得率70%以上
目標2 小学生未満の子を持つ社員向けの短時間勤務制度の導入
目標3 出産や子育てによる退職者向け再雇用制度の導入
目標4 有給休暇の取得促進

育児中は、保育所送迎が可能な時間帯での出退勤が必要不可欠で、幼児期は一緒に過ごし、その時期を過ぎてから活躍したいという社員の希望に応える仕組を整え、全社的に有給休暇の取得率の低さも改善すべきという理由から、これらを目標にしたという。

制度等は社内報、社内LANで周知するとともに、人事担当者が全国の事業所を回り、説明した。実際の育児休業や時短勤務の利用に際しては、職場ごとの上司が相談を受け、休業中の業務の調整を行い、職場に迷惑が掛からないという安心感を本人に与えるなどしたという。

その後の第2回、第3回の一般事業主行動計画においては、引き続き就業継続を促す様々な制度の運用を開始した(表2)。また、2009年10月には、かねてより社員から要望が上がっており、オタフクエンゼルプランにて計画していた事業所内託児施設を開設した。また、子の育児・介護・本人の傷病・配偶者との別居が困難などのライフイベントと、仕事の両立を後押しするために、勤務地を限定できる仕組として、2010年に「一般職」を導入した。

表2 オタフクソースが導入した主な制度等

制度

2005    

・育児休業期間を1歳6カ月までに延長
・短時間勤務期間を小学校就学開始まで延長(法律では当時、子が3歳まで)
・再雇用制度の新設(制度対象の退職理由:妊娠、出産、育児、介護)

2007

・在宅育児手当(1歳6カ月未満の子供を持つ社員や配偶者が育児に専念する場合、月2万円を支給)
・配偶者出産休暇(配偶者の出産時に有給休暇1日付与)

2009

・事業所内託児施設開設
・子の看護休暇の対象年齢の拡大(中学校就学の始期に達するまで)
・積立有給休暇の取得事由の拡大(育児の追加:中学校就学の始期に達するまで)
・介護休業の対象期間の延長(対象家族1人につき通算6カ月)

2010

・「一般職」導入(出産・育児、介護時期における住居の変更を伴う転勤を一時的に免除し、転勤しない働き方が選択可能、一般職の職種は限定しないが、課長職までの昇格制限あり)

2014

・ノーリーズン休暇導入(年次有給休暇連続3日取得義務)
・一般職廃止(転勤の可否による昇格の制限廃止、総合職に転勤のない働き方を選べるよう変更)
・パート社員の無期雇用制度導入

2015

・育児参画支援のため、育児休業期間の一部について賃金を支援
・短時間勤務期間を小学1年生の9月までに延長
・年次有給休暇連続取得義務を5日に延長

2016

・時差勤務の活用
・再雇用制度の対象拡充(制度対象の退職理由:妊娠、出産、育児、介護に加えて、配偶者の転勤、不妊治療を追加)
・時間単位の有給休暇導入(年5日)
・人事制度改革(役割と成果を重視した制度へ変更)



※3 次世代育成支援対策推進法に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるもの。従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられている(従業員100人以下の企業は努力義務)。

3.ワークライフバランスと多様な働き方を推進(2011年~)

取組開始から7年目となった2011年段階で、女性社員の平均勤続年数は7.3年(2005年比+1.8年)で、男性社員は13.0年(同年比+2.4年)となった。

一般事業主行動計画(第5回)においては、「当社で働く全ての社員が、持てる力を存分に発揮するための環境づくりを、仕事と家庭のバランスに考慮し、推進していく」ことを目指し、多様な働き方の推進、ワークライフバランスの促進に取り組んだ(表3)。

表3 オタフクソースの一般事業主行動計画(第5回)

一般事業主行動計画(第5回)
期間:2013年4月1日~2015年3月31日
目標1 育児休業の取得
   男性社員… 計画期間内1人以上取得
   女性社員… 取得率100%の維持
目標2 子供が生まれる際の父親の休暇取得促進
   2007年に制定の「配偶者出産休暇」取得率の向上
目標3 育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備
目標4 所定外労働時間の削減



男性社員のワークライフバランスのために、有給休暇や、子供が生まれる際の父親の休暇取得促進、所定外労働時間の削減を目標としており、今でいう「働き方改革」に着手し始めた(オタフクソースの「働き方改革」についての記事はこちら)。

また、多様な働き方を推進するために、2010年に導入し、主に女性社員が利用していた「一般職」を2014年に廃止した。理由は、「一般職の昇格は課長まで。であれば、重要な役割は期待されていない」というような誤解を与え、家庭の事情等で転勤ができず、一般職を選ばざるを得ない社員のやる気をそいでいるのでは、とオタフクソースは考えたからだそうだ。そこで、全員を総合職に戻し、転勤の可否による昇格の制限を廃止した。

4.働きやすい環境が整った後は、人事制度改革で活気あふれる組織へ(2016年~)

これまで「働きやすい職場づくり」に注力した結果、男女共に平均勤続年数が伸び、2018年における女性社員の平均勤続年数は10.8年と、2005年の5.5年に比べ、ほぼ倍増した。

図2 オタフクソースの平均勤続年数の推移(※4)

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※4 2011年以降はオタフクホールディングス株式会社、2013年以降はお多福グループ各社の社員含む

そして、次なる課題として見えたのは、「公正な処遇と評価」により、頑張っている社員が報われる環境づくりと、「女性管理職の登用」である。個々人が最大限能力を発揮し、活気あふれる組織をつくっていくことが必要であると、オタフクソースは考えた。

そこで、人事制度を改革し、年功序列的な運用に陥っていたものから、「役割」の重さと生み出した「成果」を重視した制度へ変更し、2016年10月から運用を開始した。各部署で評価指標を決め、役職によって達成すべき目標値をそれぞれ設定。従来のプロセス評価だけでなく、売上高などの生産性の指標によって評価し、メリハリのある処遇を実現し、より高い成果を目指すことを促す。そして、挑戦することが尊重され、意欲や能力のある人材が活躍するような組織にしたいという。

図3 オタフクソースの人事制度改革概要

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また、2016年には女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、女性管理職の割合を当時の9.1%から2019年に15.0%にアップさせることを目標とした。女性社員の増加に伴い、2005年の女性管理職比率3.7%から徐々に増えてきたが、まだ十分でないとオタフクソースは考えたからだ。

図4 オタフクソースの女性従業員比率・女性管理職比率の推移

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取組開始から13年たち、女性社員が就業継続することにより、仕事の経験を重ねて成長し、管理職へと登用されるといった流れができてきた。今後も男女区別なく、人材開発会議で管理職候補となる社員のための個別の育成計画を立てたり、社員が主体的に参画するワークショップの開催などにより、人材育成を行っていくという。

そして、「女性社員が役員へと育つこと、外国人の活躍も必要」と、佐々木社長は言う。もうすぐ創業100年を迎えるオタフクソースは、新たなフェーズへと移りながら、人材の多様化を進めていく。

取材担当者からの一言

時代を先読みして行動する、オタフクソースの13年に及ぶ女性活躍推進についての歩みと、これからについては、他の企業が参考となることが多いだろう。

まず、早い時期から女性活躍を経営課題として捉え、佐々木社長をはじめとする経営層が強いリーダーシップを発揮していることにより、着実に女性の就業継続についての成果を出している。また、女性が働きやすい職場づくりをした結果、男性にとっても働きやすい職場となり、男女とも人材が定着していることにも注目したい。そして最後に、働き方改革が進んだその先は、社員のやる気を引き出す仕組づくりが必要になってきている。労働時間を短くするだけでは、会社全体のパフォーマンスは上がらないため、従業員個々の能力を最大限に発揮させ、成果につなげるマネジメントを重視する企業が増えてくるのではと感じた。

●取材日 2018年10月

●取材ご対応者
オタフクソース株式会社
代表取締役社長 佐々木 直義 氏
執行役員人事部部長 島原 由里子 氏
人事部 吉廣 景世 氏