女性活躍優良事例

「男性が多い土木業界でも女性の強みを生かし、管理職への道を1歩1歩」

中電技術コンサルタント株式会社

  • その他産業
  • 広島市
  • 301以上
  • 両立・継続支援
  • 人材活用
  • 職場風土
社名 中電技術コンサルタント株式会社
所在地 広島市南区出汐2-3-30
URL http://www.cecnet.co.jp/
業務内容 中電技術コンサルタント株式会社は、国や県、市町村のパートナーとして、道路・橋・ダム・堤防・防波堤・上下水道などの社会資本を整備・管理するための計画・調査・設計・維持管理サービスを行う。マネジメント・高度情報化・防災・維持管理・環境エネルギー・地域整備などの分野で地域づくりを展開している。
従業員数 476名
女性従業員比率 21.6%
女性管理職比率 3.5%

(2018年4月現在)

3.中電技術コンサル_取締役社長.JPG

取締役社長 末國 光彦 氏

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  • 多様な働き方に対応した法定以上の仕組みが功を奏し、女性の就業継続支援に成功
  • 経営層も従業員育成に積極的に関わり、近年女性管理職も増加
  • 輝く女性事例~男性社会で自分の強みを生かすには?模索し、開いた女性管理職への道の先~

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1.多様な働き方に対応した法定以上の仕組みが功を奏し、女性の就業継続支援に成功

中電技術コンサルタント株式会社(以下、中電技術コンサルタント)は、道路・上下水道・砂防・防波堤などの社会資本を整備・管理するべく、専門技術による支援を行う会社である。

建設コンサルタント、特に技術職は現地での調査活動などもあることから、出張や時間外労働が多くなりがちだという。そのため同社では、従業員の時間外労働の縮減や効率的な業務遂行等を目的として1996年からフレックス勤務制度を導入している。当初はフレックス勤務制度を採用している会社が少なかったため、取引先などからの理解を得ることが難しいのでは、という意見もあったそうだが、取引先とスケジュール調整を行うなどして徐々に定着した。また、現在は、導入当初の目的のみならず、遅めの出社や早めの退社を利用することで子育て中の従業員を支える制度としても活用されている。

図1 中電技術コンサルタントのフレックス勤務制度

図1_中電技術コンサルタント_フレックス.jpg

その他にも、女性従業員の就業を支援する制度が充実している(図2参照)。中でも特徴的なのは、2008年に整備した育児退職者再雇用制度で、妊娠〜子が小学4年生になるまでの間に退職し、その後復職した場合、休職前と同等の等級で同じ部署への配属が可能というものであり、現在までに2名の利用実績がある。産前産後休業・育児休業を取得することに不安を持つ女性も多い中、ブランクがあっても再びキャリアアップを継続していく道を開いた心強い制度といえる。

図2 中電技術コンサルタントの就業支援制度

グラフィック_中電技術コンサルタントの就業支援制度例.jpg

また、基本的にプロジェクトチームで業務を行っていることから、育児や介護等の事情で出張や残業ができない従業員に対して、チームメンバー間でフォローするなど、柔軟に対応する風土が浸透しているという。

従業員が自分のライフプランに合わせた働き方を選択できる制度や、利用しやすい環境があることから、直近10年における出産・育児による離職率は0%を誇る。また、女性従業員の平均勤続年数は18年となっており、これは同業界の女性従業員平均勤続年数9.9年(※1)と比べても従業員が定着していることがわかる。

これらの取組は外部からも評価されており、過去に「ファミリー・フレンドリー企業表彰 広島労働局長賞(平成18年度)」や「広島市子育てに優しい事業所表彰受賞(平成23年度)」など、働き方に関連する数々の受賞歴を持っている。

※1 出典:厚生労働省(平成29年)「賃金構造基本統計調査 女性従業員平均継続年数 (L74 技術サービス業(他に分類されないもの)/企業規模計10人以上)」

2.経営層も従業員育成に積極的に関わり、近年女性管理職も増加

中電技術コンサルタントの女性従業員比率は、非正規従業員を含め21.6%と、全産業の全体平均43.8%(※2)と比べて低い。これは、技術職の主な採用対象となる土木建築工学を大学で学ぶ女子学生の割合が約20%(※3)と、少ないことが背景にあるという。また、公共投資に関する政策の波も影響し、採用自体が難しい年もある。しかし、少数でも毎年継続して女性を採用し、入社後は男女の差なく育成に力を注いできたという。現在は女性正規従業員の半数以上が技術職として活躍している。

その成果として、女性従業員たちが成長し、これまでに10名の女性管理職が誕生した。その女性管理職は、管理、営業、技術職と幅広い部署に配属されていることが特徴である。これは、どの分野においても女性を配置し、活躍してきたことを示す。

「一人一人が活躍できる土壌をつくるとともに、従業員を育成する役割を、経営者をはじめとする幹部自らも担っている」と、末國光彦取締役社長はいう。社長室は、末國取締役社長の在室時は扉を開けたままにするなど工夫し、積極的に従業員とのコミュニケーションをとるようにしているそうだ。

また、「コンサルタントとしてプロジェクトを完遂するには、取引先の考えを理解し、要請を具現化しなければならない。それは社内で普段からやっておかないと社外で突然できるものではない」という考えから、経営層や幹部と若手従業員、若手従業員同士など、コミュニケーションを強化する場を積極的に設けている。定期的に「社長と語ろう会」を末國取締役社長が主催し、年間100人もの従業員と話をしたり、新入社員歓迎会等の場で、料理を振る舞うこともあるそうだ。

「目標はダイバーシティだけではなくインクルージョン。従業員の多様性を受け入れ、個々の能力を生かす組織としたい」と、末國取締役社長はトップの思いを語る。

※2 出典:総務省統計局(2017年)「労働力調査 長期時系列データ 表5 第12回・第13回改定日本標準産業分類別就業者数」
※3 出典:文部科学省 平成30年度「学校基本調査」

3. 輝く女性事例~男性社会で自分の強みを生かすには?模索し、開いた女性管理職への道の先~

同社で女性管理職として活躍中のひとり、情報事業部防災情報グループ担当課長の桑田志保さんに話を聞いた。桑田さんは現在、防災系のシステム開発を行っているが、公共事業の調査・計画業務、東京にある関連団体への出向、事業戦略の立案や新入社員への教育担当など、これまでの業務は多岐にわたり、同社を支える女性技術者の一人だ。

大学院で研究していた土砂災害分野の知識を仕事でも生かしたいと思い、建設コンサルタント会社を志望した桑田さん。入社後は、河川砂防に関わる調査や計画業務などから基礎を身に付けた。大学時代の専攻が土木系の学部ではなかったため、働きながら技術士(※4)の勉強を始め、入社6年目に、難関試験に合格した。

※4 技術士は建設コンサルタントの業務を行うには必要な国家資格。

4.中電技術コンサル_桑田様個人.JPG「入社間もないころは、発注者より男性従業員の補助的な役割と誤解されたり、女性だからと心ない言葉を掛けられたり、悔しい思いもありました。ですが、“逃げずに努力してみよう”と前向きに考え、目の前の仕事を丁寧に行い、地道に実績を積み重ねるうちに状況は変わっていきました。社外で『女性だから』という扱いを受けたことはあっても、社内では一度も区別をされなかったので、それもあって大きくくじけることがなかったのかもしれません」と、桑田さんは、仕事の取り組み方に関する考えについて教えてくれた。

建設コンサルタント業務では「コミュニケーション」が特に重要だという。発注者や住民とのコミュニケーションがうまくいくことで、プロジェクトも円滑に進む。特に住民説明会では、相手への配慮を行うことで住民が受ける印象が違い、より話を聞いてもらえると、桑田さんは言う。「自分に技術や知識があっても、それを専門家ではない方々に対して説明し、きちんと理解していただき、納得してもらえなければ意味がありません。相手の立場を考えてコミュニケーションをとっていく必要があるので、女性の強みが生かせると思っています」。

5.中電技術コンサル_桑田様個人作業着.PNG「環境の整備や周りからのサポートも大切ですが、何より自分がその仕事を楽しいと思えるように努力することも重要だと思います。社会人である間、約3分の1は職場で過ごすので、私は働くなら楽しんで働きたいです。現在携わっている職務も、管理職という立場にも責任があり、特に災害の後には、難しい、重要な仕事と思うこともありましたが、乗り越えた経験が自身を成長させると考え、何事も前向きに捉えています。いずれは“女性活躍”という言葉が世の中からなくなり、当たり前になってほしいです」と、働く女性へのメッセージをいただいた。

最後に仕事の原動力についてお伺いすると、「私たちの仕事は人々の安全を守ること。災害が起きたらきちんと調査し、復興に向けた計画を立て、住民の方へ伝え、そしてまた同じような災害が起きた際、前回よりも正確な情報を発信し、一人でも多くの人が逃げて、助かるように伝えていくことが重要になります。こういった仕事を通じて、社会に貢献できる・人様のお役に立てていると感じることがやりがいであり、頑張れる原動力です」と、力強い言葉が返ってきた。

担当者からの一言

中電技術コンサルタントでは、男性が多い業界だからといって区別をせず、努力している女性にはきちんと責任のある仕事を任せてきた結果、女性管理職が増え、それぞれがきちんと成長している。男女問わず、働きやすい制度や環境も整っている同社では、女性の活躍は当たり前の風土となっているようだ。さらに、同社にはいわゆる総合職・一般職の区分がなく、入社時にその後のキャリアについて区別されることもない。これが、技術職だけでなく、事務職でも女性管理職としてキャリアアップし、活躍することにつながっていると思われた。

トップが目指す「従業員の多様性を受け入れ、個々の能力を生かす組織」へと、今後の進展がますます期待される。

●取材日 2018年11月
●取材ご対応者
中電技術コンサルタント株式会社
取締役社長 末國 光彦 氏
総務部長 丸田 賢悟 氏
情報事業部 防災情報グループ 担当課長/技術士 桑田 志保 氏