女性活躍優良事例

「必要とあらば前例がなくてもやる。その姿勢で組織や人が明るく変化」

株式会社アースフード

  • サービス産業
  • 広島市
  • 301以上
  • 両立・継続支援
  • 職場風土
社名 株式会社アースフード
所在地 広島市西区三篠町3-10-2 米村ビル2F
URL http://www.gaba-2000.com/
業務内容 株式会社アースフードは2000年に地元広島で創業して以来、「ラーメン我馬」「麺屋台我馬」をはじめとした飲食店を県内外で11店舗経営する企業である。ラーメン事業・飲食事業に関するコンサルティング、食材・商品の開発・製造および販売、2016年にはハワイのホノルルに出店するなど幅広い事業展開を行い、食の魅力発信だけに限らず、従業員の人材育成・教育に尽力するなど、「外食企業ナンバーワンの社員満足度」を目指している。
従業員数 337名
女性従業員比率 51.6%
女性管理職比率 33.3%

(2018年4月現在)

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  • 男女の区別なく実力で評価したことで女性比率が高く
  • 勤務日・勤務時間を選べる制度を新設し、多様な人材が活躍可能に
  • 定休日の運用、同じ思いを共有できる「人づくり」を進め、より良い結果へ

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1.男女の区別なく実力で評価したことで女性比率が高く

3.earth-food_女性1.JPG「ラーメンでお客様を笑顔にする、もっといいお店を目指す、伝統の味を守り続ける、従業員みんなで幸せになるという、アースフードの考え方や魂に共感した従業員が集まり、全員が本気で成し遂げようとする風土が社内に根付いていると思います。役職や性別による区別もなく、正面から向き合い、意見を交わし合うことができる。そんな、家族のような距離感で同じ志を持って働けるこの会社だからこそ、私もライフイベントと両立しながら続けてこられたのだと思います」。

家事や子育て等、さまざまなライフイベントと並行しながら働き続けられた理由について話すのは、広島県内外に11店舗の飲食店を経営する株式会社アースフード(以下、アースフード)の「ラーメン我馬」三篠本店で副店長を務める小田希世香さんだ。

アースフードでは女性従業員比率は51.6%と全体の半数を占めており、また、女性管理職比率は33.3%と業界平均の19.2%(※2)より14.1ポイント高く(図1参照)、小田さんの力強い言葉からも分かるように、男女区別なく女性が活躍している企業だといえる。

現在は、店長が1名、副店長が2名、時間帯責任者として副店長と共に店舗管理に携わるチーフ2名の計5名が女性管理職として活躍している。ラーメン店と聞くと男性店長のイメージが強いかもしれないが、アースフードには女性の店長、副店長がいるのが特徴的だ。

図1 業種別の女性従業員比率・女性管理職比率、アースフードとの比較

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※1 出典:総務省統計局(2017年)「労働力調査 長期時系列データ 表5 第12回・13回改定日本標準産業分類別就業者数」
※2 出典:厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査 図11 産業別女性管理職割合 課長相当職以上(役員含む)企業規模10人以上」

また、アースフードで女性が多く活躍する背景として、代表取締役兼大将(※3)の山﨑智太郎氏が、従業員を大切にし、男女の区別なく役割を与えてきたからでは、と専務取締役兼COOの小林史和氏は言う。創業時は男性従業員の方が多かったが、性別に関係なく採用・配置をし、個々に合った勤務を選択できる制度(後述の「A社員制度」)を導入した結果、次第に女性従業員が増えてきたという。

また、創業初期からアースフードを支え続ける常務取締役の山本浩子氏(以下、山本常務取締役)の存在もアースフードの女性活躍を大きく後押ししている。山本常務取締役は店舗従業員として入社後、「ラーメン我馬」中町店(現紙屋町店)と西条店で店長として活躍後、我馬の根幹をなす製造工場の設立に携わり、その後も製造部長として我馬の味を支えてきた。その優れた味覚や手腕から、ホノルル店立ち上げの際は中心メンバーに抜擢され、2019年現在もハワイと日本を往復しながら、アースフードの中枢を担っている。

このように、アースフードでは経営層で活躍している女性がいることもあり、男女問わず活躍できる風土が定着しているようだ。

※3 アースフードでは、従業員との距離を縮めるために、「社長」ではなく「大将」という呼び名にしている。

2.勤務日・勤務時間を選べる制度を新設し、多様な人材が活躍可能に

5.earth-food_女性後ろ姿.jpgまた、アースフードでは、多様な人材に活躍してもらうため、個々のライフスタイルに合った働きやすい環境づくりを行うための制度を整備している。

2017年から導入した「A社員制度」は、正規従業員向けの短時間勤務制度で、出勤時間や出勤日を個々のライフスタイルに合わせて自由に選択することができる。そのため、営業時間が長い店舗営業であっても、同制度を利用して、家庭と仕事を両立させながら正規従業員として勤めている従業員がいる。

また正規従業員だけでなく、アルバイトスタッフへも個々のスキルに沿った評価制度を設け、給与に反映している。アルバイトスタッフにも階級別の役割や報酬を与えることで、やる気を引き出すとともに、正規従業員登用への道を開く。

表1 アースフードの通常の勤務条件とA社員制度の勤務条件の比較

通常 A社員制度
勤務日 週5日 週3~4日以上
勤務時間 ・9:00~翌日0時の間 
・実働8時間(休憩60分)
・出勤時間・実働時間、選択可能
・実働6~8時間(休憩:45分~60分)
(休憩時間は労働基準法に沿い労働時間により異なる)
勤務地 店舗異動あり 店舗異動なし

前述の「ラーメン我馬」三篠本店副店長・小田希世香さんも、「A社員制度」を利用している一人だ。

小田さんは、「ラーメン我馬」の味と、明るく気持ちの良い接客態度に惹かれ、勤めていた洋菓子店から一転、ラーメンの世界に飛び込んだ。入社後は2人の子供を育てながらランチタイムのアルバイト従業員として勤務していたが、入社から8年ほど経ったころ、「このままずっとアルバイトでは、自分の頑張りを形に残せないのではないか」と考え始め、正規従業員として働ける会社への転職を視野に入れるようになった。

当時の店長に相談すると、導入されようとしていた「A社員制度」を利用し、正規従業員として働く提案を受けたという。

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「A社員制度が導入されることを聞き、すぐにでも利用したいと思った半面、お店が大好きなので、正規従業員になることで責任感が増し、家庭がおろそかになってしまうのではないかという不安がよぎり、半年近く悩みました。最終的に当時の店長や他の従業員に背中を押され、正規従業員になりました。アルバイトから正規従業員になると制服が変わり、自分の立ち振る舞いや気持ちが自然と『凛』としました。3年後には副店長になりましたが、引き続き短時間勤務で残業をしなくても、管理職として責任ある仕事を任せてもらえるので、やりがいを感じています。当社は子育てと仕事を両立させて働く方が多いので、共感し、助け合って働くことができています」とアルバイトから正規従業員、そして管理職へと、活躍の幅を徐々に広げていった様子を教えてくれた。

「これからも大好きな仲間と楽しみながら頑張っていきたい」と、小田さんは力強く話す。

3. 定休日の運用、同じ思いを共有できる「人づくり」を進め、より良い結果へ

「ラーメン我馬」などの各店舗では、キッチンやホールから威勢の良い声と笑顔が飛び交っており、味はもちろん、接客サービスにも重点を置いているという。

7.earth-food_研修風景.jpg同社では、経営の基本は「人づくり」と考え、能力開発を重視している。中でも「Ism研修」は、入社後、アルバイト・正規従業員問わず、全員が最初に実施する研修で、理念(Ism)や QSC基準(品質・サービス・清潔性)などの共有、企業として目指すべきビジョンを、社長自らが講師となり直接伝えることで、アースフードが大切にしている「人間力」の基盤を身に付ける。

年4回開催している研修の「アスラボ」では、外部講師を招いての自己分析や、リーダーシップ論などの講義を実施しており、仕事を通じて人生を豊かにするような多くの研修プログラムがある。

8.earth-food_定休日.PNGまた、飲食業界では、土日祝日も含め深夜まで営業する場合が多く、長時間労働が課題になることがあるが、同社では2016年11月から毎週火曜日を定休日(複合型施設内の3店舗は除く)とした。

飲食業にとって定休日を設けるということは、売上減に直結するため、同業他社からは大変驚かれたという。

小林専務取締役は定休日を設けたことについてこう話す。「当社は提供するメニューの味や品質だけでなく、従業員の接客も大切にしていきたいと考えています。より良い仕事をしてもらうためにも休暇が大切だと考えました」。

9.earth-food_男性個人.JPG定休日を設けた結果、当然のように月当たりの売上は減ったが、その後、各店舗1日当たりの平均売上が上がったという。また、店長らからは、「自分が休暇中でも営業していると店が気になって心が休まらない」という声もあったが、定休日を設けることで状況は改善された。

小林専務取締役は、「『定休日があっても、それ以外の日に絶対行きたい!』と思っていただけるお店にしたい」と意気込む。

取材担当者からの一言

広島県が実施した女性管理職が増えるに当たって必要な制度や支援についての調査の結果(※4)によると、女性からの要望で最も高くなったのは「労働時間の長さではなく、仕事の成果をきちんと評価すること」という意見だった。

「同じ思いで頑張り合える仲間がいるから続けられた。性別や役職に関係なく、やる気のある人がきちんと評価してもらえる会社」という小田さんの言葉からもアースフードが熱心に人づくりを進めてきたことがうかがえる。一杯のラーメンから幸せを提供するという理念、苦労しても乗り越えていけるような「仕事の面白さ」「良好な人間関係」「同じ思いを共有できる人づくり」こそが、アースフードの強みであり、広島を代表するラーメン店へと成長した理由ではないかと感じた。

※4 平成29年3月広島県女性活躍推進企業実態調査報告書/図表80 男女・職位別 女性管理職が増えるために必要な制度や支援

●取材日 2018年11月

●取材ご対応者
株式会社アースフード
専務取締役 兼COO 小林 史和 氏
我馬 三篠本店 副店長 小田 希世香 氏