女性活躍優良事例

「総合的なインテリアの提案販売を重視し、女性活躍に向けて変革期」

小田億株式会社

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 方針・取組体制
  • 登用
社名 小田億株式会社
所在地 広島市西区横川町1-4-34
URL http://www.odaokufinds.com
業務内容 地元広島県に密着し、家具&ホームファッション専門店として創業105周年を迎えた小田億株式会社。現在は広島県内に2店舗を運営、中四国最大級の売り場面積を持つ店舗として、地元のお客様を中心に【Finds(ファインズ)】というブランド名で親しまれている。家具・インテリアの接客販売はもちろん、企業向けの店舗や事務所のコーディネートなど、幅広い事業を展開する。
従業員数 80名
女性従業員比率 33.8%
女性管理職比率 7.7%

(2019年1月現在)

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  • 「家庭生活の体験もスキル」と考え、多様な人材を雇用&育成
  • 非正規から管理職への道を開き、家庭での視点を仕事に生かす
  • 女性活躍推進の目標を掲げ、変革へと舵をきる

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1.「家庭生活の体験もスキル」と考え、多様な人材を雇用&育成

小田億株式会社(以下、小田億)は、家具&ホームファッション専門店2店舗を広島県内で運営している。

家具・インテリア業界においては、SPA(企画から製造、小売までを一貫して行う)を中心とした低価格で幅広い品ぞろえを持つ店舗の台頭、インターネット通販の増加、少子化による需要の低迷など、厳しい市場環境となっている。そんな中、小田億では直接お客様に商品を見て、触れていただき、販売員の接客力やサポート力で、ライフスタイルに合わせたインテリアを総合的に提案することで、差別化を図ろうとしている。そこで、ニーズを汲み取るコミュニケーション力と、お客様が望むライフスタイルを理解し提案するスキルが販売員には求められるため、人材育成が重要となっている。

type2_odaoku_1.jpg代表取締役社長の小田眞理子氏は、「研修に特に力を入れ、入社後は座学だけでなく、東京での大規模な展示会や、家具メーカーの工場見学などにも積極的に行かせています。男女問わずスキルアップして活躍してもらうことを期待しています」と、社長自ら若手従業員の育成を行っているという。

小田社長は、子供3人を育てながら仕事に関わってきた自身の経験からも、同社において33.8%を占める女性従業員の活躍に期待を寄せる。

小田社長は、大学の工芸デザイン学部で家具の設計・製作を専攻し、卒業後は船舶家具や店舗、住宅などの設計事務所に勤務した。結婚後、子育て中に仕事から離れたこともあったが、小田億でパート従業員として販売業務を行うようになった。

「家具を販売する中で、どうして日常生活において使いにくい設計になっているのか、疑問に思うことが多々ありました。家具メーカーに尋ねると、当時の設計者は全て男性で、家庭内で家事をほとんど担っていない方が多いことに気が付きました。今は、女性の設計者も増えつつあるようです。家具業界においては、家庭生活における体験が1つのスキルになると思います。当社は、主婦を経験した販売員も多くいます。例えば、お子様がいらっしゃるお客様が家具を選ぶ時、子供の行動や思わぬ使い方について、自分の経験を踏まえて説得力のある説明ができます。幅広い年齢層、さまざまなニーズをお持ちのお客様に、豊富な品ぞろえの中からご提案するために、多様な体験やスキルを持つ従業員に力を発揮してもらいたいと考えています」と話し、女性をはじめ多様な人材を雇用するとともに、仕事以外でのさまざまな体験を促すため、ライフイベント等への対応は柔軟に行い、従業員の就業継続や育成を行っている。

2.非正規から管理職への道を開き、家庭での視点を仕事に生かす

小田億における、女性従業員のうち59.3%は非正規の従業員だ。未経験で契約・パート従業員として入社しても、優秀な販売成績などを上げる場合は、正規従業員、さらに管理職への登用を行い、経験や社歴に関係なく、優秀な人材には活躍してもらう方針であると、小田社長は言う。

odaoku_2.JPG横川本店の課長として活躍中の川口美智子さんもそのような一人で、約20年間、3人の子育てに専念した後、小田億に入社した。

「『小田億ファインズギガモール店』がオープンした2000年から、家から近いからという理由でパート従業員として働き始めました。リビング・ダイニング売場担当となりましたが、最初はお客様から質問を受けても分からないことばかりで、大変心苦しく感じました。他の従業員も忙しく、指導を受ける時間もなかったため、自分で資料を読み、メーカーに直接電話をしたりして、家具の特徴や作り方、考え方などを聞き、帰宅後にまとめる作業をしながら覚えていきました。次第にお客様からのご指名が増え、売上も伸びていきました。お客様から感謝のお言葉をいただくことで、大きな感動を覚えるとともに、知識と経験を深めることで自信へとつながりました」。

入社から1年後、優秀な成績を上げていたため、契約従業員となった。会社からは正規従業員を勧められたが、そこまでの覚悟はなく、一度は断った。しかし、次第にやりがいを感じ、いろいろな経験を積んで自信も出てきたため、2004年からは正規従業員となった。川口さんはパートから正規従業員へ登用された初めてのケースで、その後も同様の登用が続いた。

入社7年目には、同店の副店長(係長)となり、リビング・ダイニング売場を取り仕切る責任者となった。「俯瞰的に物事を見ることができるようになりました。店舗全体と自分自身の所属部門の関係性を理解したうえで、業務に取り組む姿勢が身に付いたと思います」と、川口さんは言う。

その後、本店に異動し、2012年に課長代理、2017年には課長へと昇進して管理職となった。

「未経験でパートとして入社したにもかかわらず、役職を与えていただき、会社には感謝しています。管理職としては、個々のメンバーの特性を見極め、良いところを伸ばし、その人にしかできない販売方法を見出していけるようにしたいと考えています。また、私がそうであったように、主婦の経験者にも、もっと当社に入ってもらいたい。家庭生活における経験を生かして、お客様へ『見た目』だけでなく、『暮らし方』の提案を行うことができるのが強みです」と、管理職としての意気込みと、女性活躍への期待を話す。

3.女性活躍推進の目標を掲げ、変革へと舵をきる

女性活躍推進は経営課題の一つと捉え、小田社長のリーダーシップのもと、小田億は変革へと舵を切った。

新卒採用者の約半数は女性であり、結婚等のライフイベントを迎えた女性従業員の就業継続が課題の1つである。土日祝日に休暇を取りにくいといった小売店舗ならではの特徴から、20代の若手従業員の中には、家族等のサポートを得て出産後も職場復帰する者がいる一方、退職してしまった者もいるという。

「本人の希望を聞き、子育てとの両立が行えるように、出産後の勤務時間帯や曜日などを配慮しています。現在は、2名の女性従業員が仕事と育児を両立しながら、時短勤務中です。せっかく採用した新卒従業員が、スキルが上がる前に退職してしまうのは、会社として損失であるため、対応していきたい」と、総務財務部部長の丸山誠氏は話す。今後は、会社として多様な人材が必要である、長く勤務してもらいたい、というメッセージをもっと従業員に伝え、個人の状況等に応じた柔軟な対応で、就業継続を促す。また、小田社長は、退職する従業員に「働けるようになったら、いつでも戻ってきてほしい」とも伝えているという。

さらに、年間休日については、今年度102日であるが、来年度は105日とし、有給休暇の取得も促進するなど、男女共に働きやすい職場づくりに向けて、取り組む予定とのことだ。

取材担当者からの一言

「当社は、女性活躍についてはこれから」と、丸山総務財務部長が話す通り、小田億は課題解決に向けてスタートしたところだ。経営上、女性を含む多様な人材に活躍してもらうことが重要であると、トップが認識することから始まっている。若手の女性従業員を中心とする就業継続を促す施策や、未経験者の採用と育成・登用などを行い、多様な人材の能力を発揮させて販売力などをつけることで、業績アップにもつながることが期待される。

●取材日 2019年1月

●取材ご対応者
小田億株式会社
代表取締役社長 小田眞理子氏
執行役員 総務財務部 部長 丸山 誠 氏
小田億ファインズ 横川本店 課長 川口 美智子 氏