働き方改革事例

継続的な改革で多様な働き方を応援!

デリカウイング株式会社

  • 製造業
  • 廿日市市
  • 301以上
  • entrydatajireikaikaku2-01
  • entrydatajireikaikaku2-03
  • entrydatajireikaikaku2-04
  • entrydatajireikaikaku2-06
  • entrydatajireikaikaku2-08
  • entrydatajireikaikaku2-11
認定マーク
所在地 〒738-0039 広島県廿日市市宮内工業団地2-5
企業URL http://dwing.co.jp/
事業内容 コンビニエンスストアの弁当、おむすび、調理パン、惣菜、軽食、デザート等の商品開発と製造
従業員数 1,651名(男性544名、女性1,107名)

seika_header.png

  • コーポレートスローガン“Happy Together”が企業風土に定着
  • 経営トップと従業員一人一人との「ダイレクト・コミュニケーション」
  • 取組の結果だけでなく過程を、現場と本社でチェックし評価する制度の導入
  • 休日を取ることが目的ではなく、業務の効率化あっての働き方改革
  • 多様な人材・多様な働き方を見据えた、継続的な取組
  • 新卒採用も好調をキープ

seika_footer.png

改革以前から醸成されていた、働きやすい風土

もともとの企業理念が改革の趣旨と合致

type1_delicawing_2.jpg「そもそも弊社では“働き方改革”という言葉が注目される以前から、“Happy Together”というコーポレートスローガンのもと、独自の取組を行ってまいりました」
総務部長の抜口氏がそう語るように、これまでデリカウイングでは、従業員への旅行プレゼント(勤続7年目の従業員対象)をはじめ、託児所との提携や従業員のための誕生会や夏祭りの実施、さらにはマッサージ室の設置など、独自のさまざまな視点から福利厚生を充実させてきている。


type1_delicawing_3.jpg

それらは全て、“Happy Together”(取引先や消費者、地域の方、そして働く従業員全ての幸せを願う同社の企業哲学)というスローガンを出発点としており、その上で「広島県仕事と家庭の両立支援企業登録(平成18年)」や「イクボス同盟ひろしま加盟(平成26年)」といった昨今の新しい活動にも取り組んできた。ずっと以前から、「働き方」に対する会社としての考え方が確立されており、時流を見据えて、その時々で必要な改革がなされてきたわけである。もちろんその背景には、今般の人手不足を解消するための採用および定着率向上といった狙いがあるが、それ以上に丹念に従業員の声に耳を傾けるトップの姿勢が、同社の改革推進の原動力になっているようにも感じられる。
例えば前述の従業員の誕生会には、経営トップ自身も参加し、従業員の肉声をじかに耳にしているというが、この距離感の近さこそが、デリカウイングの改革の大きな強みではないか。

真剣に向き合い、改革の意義を丁寧に説明

従業員の納得感を高め、意識を徐々に改革

type1_delicawing_4.jpgいくらトップが先進的な考えを持ち、従業員の働く姿をきちんと見ていても、改革をスムーズに進めるには現場の意識がカギとなる。デリカウイングも従業員たち自身の意識をいかに変えるかが大きな課題だった。
そのため、まず社長から基本方針の説明を行い、次に各工場長から各従業員に周知させると同時に、半期ごとの各部署の目標、個人業務目標を作成。各定例会議(工場ごとの社員会議/月1回、業務会議/月3回、安全衛生委員会/月3回)で労働時間や休暇状況、経過を共有する仕組みが整えられた。


デリカウイング-総実労働時間.png

しかし実際に取組が始まる際、現場のリーダーたちの中には「どうして行うのか? 今のままで問題ないじゃないか。かえって仕事に支障が生じるのではないか」といった声もあったという。
「今までの流れや文化、慣習といったものを変えることは一筋縄ではいきません。そこは根気よく現場を説得していくしかありません。大切なのは納得して、理解してもらうことです。矛盾を抱えたまま、改革を進めても意味がないのです」と抜口氏。
業務の内容上、夜勤シフトもある同社では残業に関する考え方も1つではない。会社側は従業員たちと真剣に向き合い、時代の流れや社会背景も含めて、改革の重要性を一つ一つ丁寧に説明している。
同社では残業時間の短縮を含め、業務改善に取り組んだ姿勢は勤務評価として、賞与などの査定に反映される仕組みも作った。しかもその評価基準には、目標を達成した人だけでなく、チャレンジしたプロセスも評価する「チャレンジ基準」というものを設け、段階を踏んで従業員たちの努力を評価していった。こうした試みも、ステップ・バイ・ステップの改革推進を後押ししている。

業務改善と生産性向上への挑戦

休日や残業時間短縮に向けた業務改革

type1_delicawing_11.jpg改革を行うに当たって大事なことは、「まず生産性を上げること」と語る抜口氏。仕事もあるし、休むことが先なのではない。気合でどうにかなるものでもない。ならば仕事の割り振りなど、どうやって生産性を向上させるか、従業員たちがそれぞれ知恵を絞ることが重要である。
デリカウイングでは、従業員一人一人に呼び掛けるとともに、各工場長を通して、客観的な意見を求めながら改革を進めるため、外部のコンサルタントにも指導を仰いでいるという。コンサルタントによって業務の洗い出しから目標設定、研修・面談などが行われるが、導入3年目を迎える今、徐々にその成果に手応えを感じつつあるという。売り上げ・利益率ともに、導入以前よりも確実にアップしている。


type1_delicawing_12.jpgさらに仕事の配分見直しも兼ねた「業務の標準化」、すなわちマニュアル化も現在進行形で進めている。一人の人間しかできない担当業務、“属人化”を放置すると、業務配分が是正できない上に、生産性向上の妨げにもなりかねない。1年で異動も行うなどして、業務の標準化を全社で水平展開している。

「みんな自分の仕事にプライドを持っていますから、“この仕事は自分にしかできない!”といった自負もあります。しかし、会社全体のことを考えて、業務の標準化にも協力してもらうようお願いしています」と抜口氏は語る。

多様な従業員一人一人に優しい環境を!

多方面に好影響を及ぼしている改革の成果

type1_delicawing_10.jpg優秀な人材の採用に悩まされている会社は少なくないだろう。抜口氏は「人材不足を解決する究極の手段は、当社で働く方をいかに大事にするか」だという。働き方に関わる諸改革の結果、新卒採用は好調をキープしている。
改革に伴い、従業員間のコミュニケーションが活発化し、交流の場が生まれた。団結力がアップし、個々の従業員の生産力もアップした。もちろん家族サービスに割く時間も増えたので、従業員の家族の評判も上々。男性従業員の育休取得率も、ここ2年間で55%と高い水準で推移している。

現在の大きな課題は、夕方のコアな時間帯を担う現場の人手不足で、社員定年65歳、再雇用70歳、パート年齢を72歳まで広げることなど、多様な人材を確保することで改善を進めている。
「従業員が多様化すれば、新たな取組も必要となります。働き方改革には、これでいいというゴールはありません。大切なのは継続していくこと。企業の責任として、立ち止まってはいけないと思います」そう教えてくれた抜口氏も、家族の介護のため働き方を見つめ直さなければならない時期があったという。デリカウイングの「人に優しい働き方改革」は今後も進んでいく。