働き方改革優良事例

従業員の得心を尊重した少しずつ着実な改革

株式会社山豊

  • 製造業
  • 西部
  • 101〜300
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒731-3196 広島市安佐南区伴東町79-2
企業URL http://www.yamatoyo.co.jp/
事業内容 食料品製造
従業員数 103名(男性41名、女性62名)

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  • 大家族主義経営のもと、シニア世代や子育て世代など様々な従業員の働き方を応援
  • ジョブローテーションや技能の見える化で、業務の標準化と効率化を実現
  • 有給休暇の取得状況を個人メールに通知
  • 経営者からの丁寧な説明と従業員の理解に基づく、少しずつ着実な改革・改善
  • 育児休業後の職場復帰率は100%! 会社ぐるみで子育てを応援する気風

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家族を思う気持ちで、働きやすい環境を形成

大家族主義経営とシニア従業員に配慮した働き方改革

type1_yamatoyo_2.jpg「弊社は先代から続く“大家族主義経営”のもと、従業員一人一人に目を配り、誰もが働きやすい環境づくりに努力しています」と語るのは、漬物でおなじみ山豊の代表取締役社長山本千曲氏だ。

「山豊の味」を伝承していくには、どうしてもその味を生み出す従業員に長く働いてもらわねばならない。そのため同社では、かねてより従業員を家族のように思う心が企業精神として定着しており、働きやすい環境整備に熱心な風土が育まれていた。このたびの働き方改革に向けた取組も、家族(従業員)を大切にする山豊にとっては必然のものであった。

「弊社の場合、勤続年数が長く、従業員の平均年齢は51.88歳と高い状況であります。60歳以上の従業員も41名と、多くを占めています。そのため、シニア従業員も安心して働ける環境づくりが必要でした。さらにそれぞれの年齢層が共に働きやすい環境を実現させるに、何を行えばよいかを検討した結果、まず長時間労働の是正と有給休暇を取得しやすい環境づくりを重点的に見直そうとなったわけです」


type1_yamatoyo_4.jpg自社における働き方改革の経緯についてそう語る山本社長だが、職場の効率化を実現しないことには、残業削減も休暇の取得も難しかったという。そこで同社では、機械化や多能工化を促進し、業務の標準化を推進していった。多能工化に関しては、ジョブローテーションを導入すると同時に、マニュアルの作成など技能の見える化を行った。また、製造現場では、ベテラン従業員と若手従業員がペアになり、業務手順等を教育するペア就労の取組も行っている。こうした取組により、「この人しかできない」という業務を無くし、誰が休んでも業務に支障をきたさないカバー体制や技能伝承の仕組みを整えていったという。有給休暇の取得状況は会社からメールで通知され、従業員自らが取得状況を把握し、取得向上を意識している。

また、こうしたチームワークは同社の大家族主義経営がベースとなっているが、その背景には「誰かのため=自分のため」といった考えを、繰り返し従業員に唱えてきた山本社長の功績も大きいと考えられる。 「改革・改善というと、とかく会社対従業員といった構図になりがちですが、決してそうではないのです。他人事ではなく、自分事として受け止めてもらえるよう何度も丁寧に説明し、従業員に“得心”してもらうことが大切です」

改革・改善を前面に出すと、従業員の中にはこれまでやってきたことを否定されたように感じる人も少なくないだろう。特に大切な味を守ってきた山豊の従業員にとって、積み重ねてきた経験は誇りでもある。だからこそ経営者自身による丁寧な説明が必要であり、社長自身ここに一番心を砕いて従業員の理解と協力を求めたそうだ。

今後の課題は子育て世代の応援をどうするか

現実に即した少しずつ着実な改革と子育て世代への対応

type1_yamatoyo_3.jpg「企業である以上、同じことをやり続けているようではいけません。しかし会社の現状や従業員の思いから、あまりにもかけ離れた改革では意味がないのです」と山本社長は強調する。前述のとおり、同社では従業員の理解を得ながら、長く継続できるよう、できるところから現実に即して無理のない“少しずつ着実な改革”を推進しているが、これこそが、山豊における働き方改革の最大の特長である。

改革の結果、勤務時間の短縮や、有給休暇の取得しやすさも向上。生産量や売上高は落ちておらず、むしろ経費削減に成功し、生産性は向上したという。数字にしっかり成果が現れている一方で、従業員の方は生産性が変わったという特段の意識は抱いていないという。業務の延長線として従業員が働き方改革の取組を受け入れていったからこその成果だろう。


type1_yamatoyo_5.jpgそんな同社が、今後最も力を入れたいと考えているのが、子育て世代のための環境整備である。すでに同社では育児休暇と復帰に向けた環境整備、就学前の子供を持つ従業員の短時間勤務制度、家族と過ごすためのノー残業デー(週2回)、さらには男性従業員の育児参加を応援する取組などを行っているが、それでもまだ不十分だと経営陣は考えている。

「将来、主力となるであろう30代から40代の社員が仕事と子育てを両立していくには、今の制度だけでは解決できないことがたくさんあります。就学前の保育環境はもちろんのこと、小学校入学後の例えば学童保育支援といったことも必要になってくるかもしれません。そうなると弊社だけで負担するのは大変です。例えばの話ですが、近隣の企業と協力して、そうした施設を用意することも必要となってくるのではと考えています」

多様な働き方により採用も変わる

シニア世代も子育て世代も長く安心して働ける職場

type1_yamatoyo_6.jpg平成30年に向けた新卒採用の活動を行ったところ、学生たちと面談してみて、あらためて若者世代が労務環境に高い関心を抱いていることを実感したという。そんな中、今まで働き方改革に取り組んできたことは、間違いではなかったと手応えを感じており、同社にとって良いアピール材料となり、認定を受けたことも大きなメリットに感じているという。 実際に育児休業を終えて職場に復帰してきた先輩従業員たちも、若手授業員には心強い存在だ。同社では技能を育てていくため、本人の意思を尊重しながら、休業前と同じ職場に復帰してもらい、キャリアが中断することのないようにしている。


type1_yamatoyo_7.jpg育児休業後に復帰した、商品開発部の佐々木さんは「現在は時短勤務を活用して、子育てと仕事を両立しています。ここには出産・子育てを経験した先輩がたくさんいるので、子育ての悩みを相談することもできます。社内のイベントに子どもを連れてくると、ベテラン社員さんたちが孫のように接してくれます。そんな光景を見ていたら、この会社で働きながら子育てできて本当に良かったなと思います」と、大家族主義経営ならではのアットホームなエピソードを話してくれた。総務部で業務の効率化を担当する田中さんも「そうした従業員の声を聞くのが何よりの励みだ」と言う。


type1_yamatoyo_8.jpg一方、入社30年目を迎える76歳の勝部さんは、ご夫婦で山豊に勤めるベテラン従業員。現在はご自身の生活のリズムに合わせて、週休3日をベースとしながら働いている。さほど忙しくない時期は半日で帰ることもあるという。そんな柔軟な働き方について勝部さんは、「とにかく会社に来ることが楽しいです。ここは同世代も多く、毎日孫の話で盛り上がっています。自分のペースで働きながら元気をもらえるのがいいですね」と笑顔で語ってくれた。

家族を思うような思いやりの心が、同社の働き方改革の原動力であることが、従業員たちの言葉からもよく伝わってくる。