働き方改革優良事例

推進組織整備し、情報公開で従業員の意識を改革
有給休暇、時間単位取得で利用しやすく

丸善製薬株式会社

  • 製造業
  • 尾道市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 〒722-0062 広島県尾道市向東町14703-10
URL http://www.maruzenpcy.co.jp/
業務内容 医療・医薬部外品原料、化粧品原料、食品向けの素材抽出物の製造・販売
従業員数 374人(2017年9月時点)

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情報公開と推進組織で、改革の取組を共有

社内事例の公表で、「先行組」を意識改革のけん引役に

丸善製薬が働き方改革で全社的な取組をスタートさせたのは平成20年、尾道労働基準監督署を通じて中小企業の職場環境の改善などを支援する厚生労働省の「職場意識改善助成金制度」の存在を知ったことがきっかけだった。役員会から導入のゴーサインが出たことで、広島県の資料なども参考にしながら制度や環境整備を進めていった。この時に作成した職場意識改善計画書の取組が現在にもつながっている。取組の過程で見えてきたのが、全社統一の取組だけでは各部署の勤務実態や意見の相違に対処するのに限界があるということ。例えば、生産部門に限っても工場ごとに生産品目が異なり、残業の発生が事業の繁忙にも左右されるため、日にちを決めて一律に「ノー残業デー」を設定しても対応が難しい。そこで部署判断での柔軟な運用を可能にした。「推奨という形で目標を共有しながら、個別の裁量を取り入れる」(砂田智彦総務部長)仕組みにすることで、制度の定着・上積みに取り組んでいる。働き方改革で重視しているもう一つの柱が情報公開を通じた従業員の意識改革だ。砂田部長は「10年ほど前までは有給休暇を取得しないほうがボーナスは上がる、といった誤解した認識を持つ従業員もいた」と打ち明ける。そんな誤解を解消するため、部署ごとの有給休暇の取得状況などを公開し、従業員一人ひとりがパソコンで見ることのできる環境を整備した。他本部や他工場ではどの程度、取得しているのかが見える化されたことで、取得率の低い部署の従業員自身が「実態」を認識し、上司が「もっと取ろう」という指導もしやすくなる。先行事例をトップランナーに位置付け、取組が進んでいる部署をまねることのできる体制を整えることにより、後続の意識改革や取組をけん引しようとしている。

労働環境整備課を統括役に委員会運営し、年間目標を設定

type1_maruzen_2.png働き方改革を推進するため、丸善製薬が平成28年に新設したのが労働環境整備課だ。総務や人事部門が手掛けていた労働関連の機能を集約するとともに、社内の各部門が集まり、年2回のペースで取組状況などを共有する「労働時間等設定改善委員会」の事務局としての役割を持たせた。委員会には各部門から管理職層1人、実務層1人がメンバーとして参加しており、取組項目や有給休暇の取得率、残業時間などの数値目標を設定・共有するとともに、進捗状況や結果を確認する。例えば、残業時間を削減するための項目として掲げたのが「終礼を活用した残業の事前報告」。「なぜ忙しいのか把握でき、共有できる」(砂田部長)との考えから、終礼時に作業内容を説明したうえで残業が必要であることを報告するという取組を広めることとした。確認する動きは定着しつつあるという。委員会での活発な議論を通じて、会社目標を再確認し各部署の実情に即した取組を検討する土台が整えられている。

有給休暇、小刻みな取得で活用しやすく

1日から半日、時間単位へシステムで対応

type1_maruzen_3.png丸善製薬が3年前から導入しているのが1時間単位で有給休暇を取得できる制度だ。もともとは1日単位でしか取得できなかったが、子育て世代の従業員が多いという背景もあり、従業員から、「小刻みで取りたい」という要望が出ていたという。子育て等による数時間の突発事態に対応するために有給休暇を1日単位で取得せざるを得ないといったケースも少なくなかったが、「場合によっては1時間の休暇で乗り切れることもある」などの声を受けて見直しを加速。「半日単位」を経て、給与計算システムなどの対応が完了した3年前から「時間単位」への細分化を実現した。個々の事情に応じて細かく利用できる環境を整えたことで、取得回数も頻繁になるなど取得しやすさは格段に向上した。従業員の要望に応じた休暇システムを導入することで有給休暇の取得率の上昇にもつながっているようだ。

意見吸い上げ、職場環境改善

意見交換会でボトムアップ、議事録残し、フィードバックも

丸善製薬が働き方改革の取組を続ける中で醸成してきたのが従業員の意識改革だ。一律的な取組から、総務や製造部門、営業など部署ごとの意見を労働時間等設定改善委員会で汲み上げて、柔軟に配慮できる体制整備を進めた結果、「部署の課題を皆で考える」ようになった。例えば、営業部門では、外回り営業担当者には直帰を推奨し、IT機器を活用して会社にいる従業員と情報共有し事務を任せるなどにより、効率的な業務ができるよう工夫している。また、従業員の制度活用への意識改革として、部署のトップ自らが率先して活用する姿を見せることにより、「従業員は『制度を使っていいんだ』ということがわかってきた」(砂田部長)ほか、お互い様という意識が醸成され、実際に制度利用者が出ることによる好循環が更なる意識改革を促すきっかけとなった。従業員の意識改革を受けて、新たな取組もスタート。労働環境整備課が中心となり、職場環境に関する意見交換会を組織単位で開き始めている。交換会では従業員からの提案や要望を発言者の個人名を書かない形で議事録に残しており、対応については1件ずつフィードバックする。実際の提案のうち、すぐに解決したものもあれば、現在進行形で検討しているものもあるという。大切なのは「聞いて終わりとはならないようにすること」(同)。ボトムアップ型の取組を促す仕組みで、職場環境の改善に向けたアイデアを増やしている。

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