働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

共創力の活性化で、働く人が主役となる働き方改革を

コクヨマーケティング株式会社 中国支社

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
認定マーク
所在地 〒730-0051 広島市中区大手町1-2-1 おりづるタワー7F
URL http://www.kokuyo-marketing.co.jp/
業務内容 紙製品・文房具・鋼製家具・事務機器等の売買
従業員数 40名(男性33名、女性7名)

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  • 自社の新オフィスの活用法を通して改革事例を顧客へ発信
  • 従業員全員参加を前提とした各「委員会」の設置
  • 個人の働き方改革の目標・活動方針をロッカーに貼り支社全体で共有
  • 「家族会」を通して従業員同士がお互いの家族の事情を把握
  • 個々の目標・活動方針をそれぞれ家族と共有

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取組のきっかけは新オフィスへの移転

生産性・創造性を意識した働き方をお客さまへ発信

type1_kokuyo_2.jpg平成29年、おりづるタワー7階の新オフィスに移転した。「新オフィス」は、コクヨマーケティングがプロデュースする最新鋭のモデルオフィスとしても位置付けており、設計コンセプトは、「共創力を高めるオフィス」。中国支社を統括する三吉支社長は、「“コクヨ”というと、ノートや事務用品などの商品を思い浮かべる方が多いのですが、弊社では「オフィス全体」のプランもお客さまへご提案しています。新オフィスは、我々従業員にとって職場であると同時に“生きた商品事例”でもあります。これを使って“生きたセールス”を実践していくためには、新オフィスをどう使いこなすかが鍵となると考えています。弊社における働き方改革はそうした背景からスタートしました」と取組のきっかけを語る。


type1_kokuyo_3.jpg取組の原動力でもある「新オフィス」には、働き方改革を推進していく上で欠かせない「生産性の向上」や「コミュニケーション」が活性化するアイデアがたくさん盛り込まれている。例えば、従来の会議室のようなクローズされた空間をあえてつくらず、思い立った時にすぐ話し合えるオープンスペースを豊富に設け、情報を共有しやすいフリーアドレス席にするなど、自然と社員間にコミュニケーションが生まれるような工夫がなされている。また、短時間で集中して話し合いができるように、あえて椅子を置かないミーティング用テーブルもある。
工夫はハード面だけにとどまらない。部署を超えて各従業員自らの業務改善等のアイデアを募る「i-BOARD」(ホワイトボード)の活用や、8割の書類削減に成功したという書棚および個人ロッカーの整理方法、共用備品や書類などの保管場所と管理方法の明確化など、中国支社の従業員が試行錯誤しながら、様々なアイデアをブラッシュアップして創り上げた。
徹底した書類の削減や整理整頓により、書類や物を探す時間の削減とともに、業務の効率化にもつながったという。
三吉支社長は、「働き方改革の主役は従業員一人一人です。働き方改革を他人事のように考えているうちは、生産性も上がらないし、社員間のコミュニケーションも生まれません。新オフィスへの移転をきっかけに、従業員たちがオフィスをどう使いこなすか、それぞれが知恵を絞り、アイデアを出し合ってきたことは、弊社の働き方改革に大変意義深いことでした」と、従業員が主体となった取組に大きな手応えを感じている。

目標は従業員一人一人が主役の働き方

全員参加の委員会活動を通じて、その人らしい働き方を実現

type1_kokuyo_4.jpg三吉支社長が語る“従業員が主役の働き方改革”を実現するため、中国支社では従業員自ら実践できる働き方改革を目指して、支社独自の取組を展開している。「その人らしく、快適に、創造性をもって働けるように」という目的のもと、様々な委員会が立ち上げられている。委員会には、全社共通の「オフィスカイゼン委員会」「ファイリング委員会」「コミュニケーション促進委員会」に加え、中国支社独自の「働き方カイゼン委員会」「アイデア活用委員会」といった5つの種類があり、従業員はいずれかの委員会に属している。ちなみに、委員会に全員参加としているのは中国支社のみであり、そこに「従業員が主役の働き方改革」を目指す中国支社ならではのこだわりがある。


type1_kokuyo_5.jpg例えば前述のi-BOARDの具体的な活用法も、「アイデア活用委員会」から誕生したものである。
実際に活用法の考案に携わった内務部の古澤さんは、「i-BOARDは情報共有を目的としたホワイトボードですが、使い方そのものは具体化されていませんでした。そこで中国支社では、自分たちの業務に照らし合わせて、営業がお客さまから受けたご要望メモをi-BOARDに貼り出し、それに対して支社全体が自由にソリューションを書いて貼り出すといった使い方を考案しました。委員会活動を通じて、自分たちのアイデアが形になることもうれしいのですが、それ以上に社内でのコミュニケーションが増えたことが大きな成果だと思います」と語る。

中国支社では、オフィス移転を記念して、従業員の家族を招いての「家族会」を10年ぶりに実施した。三吉支社長は「こういう機会がないと、それぞれが抱える家族の事情はなかなか見えてこないものです。その人らしい働き方を実践していくには、従業員同士が互いの事情を知り、理解を深めることも大切。できれば、今後は年1回ぐらいのペースで行っていきたい」という。

意識改革の追い風となった、家族の存在

ロッカーに貼り付けた目標と家族会で意識改革を促進

type1_kokuyo_6.jpgこの「家族会」は、中国支社の働き方改革を推進させる上で、もう一つユニークな役割を果たした。中国支社では、取組を定着させるため、各自のロッカーに働き方改革における自分の目標を貼り付けているのだが、「家族会」当日、ロッカーの目標を家族に見せて、「家族の前で目標達成に向けてがんばることを約束」してもらったのだ。「家族公認となれば、本人もがんばらずにはいられないでしょう。“お父さん、有給休暇を取るって約束したのに!”と子どもに言われたら、約束を破るわけにはいきませんからね」と笑いながら語る三吉支社長。なかなか動き出さない従業員にも、かなり効果があったようだ。
「正直なところ、以前は“働き方改革といっても、仕事は山積みだしノー残業デーなんて自分には関係ない。リフレッシュ休暇もありがた迷惑”といった受け止め方をしている従業員も少なからずいました。でも、“できない”“関係ない”と決め付けるのは、やはりどこかで“他人事”として受け止めているからだと思います。まずは自分や家族の問題として真剣に受け止めること。従業員にそう意識付けしたことで、取組のレベルはぐんとアップしました」


type1_kokuyo_7.jpg取組前と現在では、従業員一人一人の働くことへの姿勢は、かなり変化しているという。働き方改革実践企業の認定を受けてからは、「新オフィス」ともども、メディアでも取り上げられることもあり、従業員のモチベーションもより向上しているという。
「弊社のオフィスを紹介する機会も増えました。中には“お金をかければ、ウチも変われるのかな”とおっしゃる方がいましたが、私自身は制度やインフラを整えただけでは何も変わらないと思っています。働く一人一人が主人公となって、制度やインフラをうまく運用してこそが重要だと思います。また、働き方改革といっても、難しく考える必要はないと思います。例えば、1日に書類を探す時間は全体で20〜30分あるといいますが、その時間を短縮するための書類整理から始めてみるのもよいでしょう。そして取組を始めたら、やり続けることが大切です。時代や人によって働き方も変化しますが、自分らしく働ける方法を、常に働く人が主体となって考えるような職場づくりを続けていきたいと思っています」