働き方改革事例

できることから一歩ずつ、
着実に進める改革!

株式会社 オービックビジネスコンサルタント 広島営業所

  • その他産業
  • 広島市
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認定マーク
所在地 〒730-0032 広島市中区立町2-27 NBF広島立町ビル 4F
URL https://www.obc.co.jp/
業務内容 ビジネスソリューションテクノロジーおよびITソリューションテクノロジーの開発販売
従業員数 13名(男性9名、女性4名)*広島営業所のみ

(2018年2月現在)

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  • 問題点の洗い出しに役立った「固定業務の棚卸し」
  • 小さなこととできることを優先した等身大の働き方改革
  • 従業員の声を反映し、「みんなでつくり上げる働き方改革」
  • 一つ成功すると、人も職場も変化を受け入れやすくなる
  • ビジネスツールの導入により、業務の効率化を加速

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従業員みんなで洗い出した職場の問題点

効率化のヒントをくれた「業務の棚卸し作業」

type1_obc_2.jpg平成29年、本社トップからの号令を受けて、営業所独自の働き方改革を開始したオービックビジネスコンサルタント広島営業所。もともとビジネスソリューションを提供する会社でもあり、以前から生産性向上を意識した取組は行っていたものの、同営業所の菱山洋平所長によると、「せっかくならこの流れを生かして、営業所のパフォーマンスの最大化を図ろう」と、所長自ら音頭を取ったのが、オービックビジネスコンサルタント広島営業所における働き方改革の始まりであった。

ところが、いざ取組を始めてみると、具体的な指針があったわけでもなく、何から手をつけていいのかさっぱり思い付かない。そこで菱山所長は、取組内容を検討しようと、従業員からのヒアリングを開始。全従業員が抱える固定業務の一覧をエクセルにまとめ、「固定業務の棚卸し」も行った。
「ヒアリングを行ったといっても、そんなに堅苦しいものではありません。われわれの営業所は従業員13名の小さな組織です。フェース・トゥ・フェースでざっくばらんに話しながら、従業員から自由に意見を募りました。結果的にそれが良かったように思います」

同社では従業員からの意見をもとに、あまり背伸びをせず、できることから取組を始めた。その結果、少しずつ変化が生まれ、従業員の中に働き方改革の意識が定着したという。何より従業員一人一人から意見を募ったことで、「みんなでつくり上げた働き方改革」という意識が芽生えた。「できることから!」を合言葉に、エクセルにまとめられた業務一覧をもとにして、もっと効率化できることはないかと従業員みんなで業務内容を検討。従業員自身が、もっと働きやすい環境づくりへと主体的に乗り出していったのである。


ツール一つで、働き方も、気持ちも変わる

社内SNSの導入により、情報を瞬時に共有

type1_obc_3.jpg「固定業務の棚卸し」により、業務の「見える化」を図ったところ、まず見えてきたのは、ちょっとしたことの積み重ねが、かなりのボリュームになっていることだった。同営業所は、広島・愛媛・山口・島根と広範囲のエリアをカバーしているため、従業員は直行直帰するケースが多く、それらに付随する情報をデータ化する業務がある。一件一件はささいな業務量でも、まとめるとかなりのボリュームになる。そこで、IT業界の一員でもある同営業所では、「自社のツールを活用しよう」と、連絡手段として社内SNSを取り入れた。

「このツールの使い勝手は、世間一般的にコミュニケーションツールとして利用されているものによく似ています。ただ、やりとりは社内に限られているので、セキュリティーも確保されています。このツールの良い点は、従業員同士が瞬時に情報を共有でき、さらにその情報をダイレクトにデータ化できることです。その結果、営業に付随するデータ化等の事務の仕事が、かなり省力化されました」と、ツール導入の効果を分析する。
所内のコミュニケーションが活発化したことも、社内SNSの導入効果の一つに挙げている。普段からSNSに使いなれている若い世代の従業員には、メールよりも気軽に使える。社内SNSを通じて、所内の「報・連・相」が活発化したことは、菱山所長にとってうれしい副産物だった。
ちなみに同営業所の場合はたまたま自社ツールを活用できたが、インターネット上ではさまざまなタイプのビジネスコミュニケーションツールが見受けられる。社内SNSなどのツールの導入は、取組の一つの手法になっているようだ。


type1_obc_4.jpg所内で営業の後方支援を担う弓場則子主任も、「子どもが急に熱を出して会社を休まなければならない時も、社内SNSで瞬時に情報を営業所全員と共有できるので助かっています。日中は従業員が営業先へ出払っていることもあり、以前はうまく連絡事項を共有できず、トラブルも起こりやすかったように思います。でも今は、外出の多い従業員も隙間時間を使って、直行直帰などの連絡を共有することが可能になるなど、スマホ上で瞬時に連絡が伝わるので安心です」と言う。
小さな連絡一つでも、それらがスムーズに伝達できないとなると、従業員にとってはかなりのストレスだ。だがツールの活用により、情報を瞬時に共有でき、そうしたストレスの解消にもつながっている。

成功体験が「正のスパイラル」を生む

ゆとりが生まれたことで勉強会や提案が活発化

type1_obc_5.jpg社内SNSの導入など一つ成功事例が生まれると、それが弾みとなって、人も職場も変化を受け入れやすくなる。菱山所長も「働き方改革をスタートさせてから、職場内に『正のスパイラル』が生まれた」と、確かな変化を実感している。コミュニケーションが活性化されたこと以外にも、以前に比べ従業員から提案が出されるようになり、取組がスピードアップしたという。
例えば、時間管理であるが、少なくとも週に1回は定時退社をしようと心掛け、従業員の間に『カエルマーク』を使った自主的ノー残業デーが設けられるようになった。『カエルマーク』とは、机の上にノー残業デーの意思を伝えるマークのことで、これを置くことで、周囲の理解と協力を得ようというものだ。また、残業をする場合でも、同所では20時までの全員退社を目指しており、従業員の時間に対する意識を高め、こうした従業員自身と周囲の協力により、昨年月平均173時間だった労働時間は、今年になって168時間と、5時間短縮することができたという。


type1_obc_6.jpg直行直帰が多い営業チームには、外出先でもパソコンによって業務内容を共有できるようし、業務の効率化を促進。申請書類等も従来の紙の申請から、全て電子化へ切り替えるなどして、省力化に努めたことも残業時間削減につながった。
さらに、こうした取組によって職場にゆとりが生まれたことにより、従業員発案のスキルアップ研修会が月1回のペースで行われるようになったという。

「30分間の短い勉強会ですが、テーマは商品研究からビジネスマナー、自己啓発など、バラエティーに富んでいます。時には外部研修の内容をフィードバックすることもあるのですが、こうした自己研鑽の気風が高まるのは、所内にゆとりが生まれた証拠だと感じています。 これも働き方改革の『正のスパイラル』の一つだと思います」

勉強会の他にも、「飲食店の混雑を避けるために、昼休憩を10分早めてはどうか」といった提案や、「社内で行っていたDM封入をアウトソーシングをしてみては?」といったさまざまな提案が、自発的に従業員から寄せられるようになった。こうした従業員の変化について、菱山所長は次のように語る。
「おそらく働き方改革を通して、従業員の間に互いの意見を言いやすい雰囲気が醸成されたのだと思います。それまでは疑問に思わなかったことが、『あれ、もしかしたら、これも効率化につながることなのではないか』と思えるようになったのでしょうね。あえて肩の力を抜いて、欲張らないことも大切です。あれもこれもという考えを捨てて、まずは一つ、できることを探してみる。それを積み重ねていけば、必ず職場は変わります」