働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

ライフスタイルに応じて
働き方を変えながら全員参加の経営

社会保険労務士法人 たんぽぽ会

  • その他産業
  • 広島市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒731-0112 広島県広島市安佐南区東原3丁目25番18号
URL http://tanpopokai.com/
業務内容 賃金体系や就業規則の見直し・再構築、助成金、年金についてのご相談など
従業員数 15名(男性7名、女性8名)

(2018年2月現在)

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  • ライフステージに応じた働き方が選べる
  • やる気と能力で昇進できる「社内役員制度」
  • 会議で従業員の意見を吸い上げる
  • 時間有休制度で、使いやすい有休制度に刷新
  • 子ども職場参観日を開催し、次世代へ積極的に発信
  • 自社の働き方改革を事例としてパッケージ化

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「女性の働きやすい・働き続けられる環境づくり」からスタート

社内役員制度を策定し、平等に登用される風土を醸成

type1_tanpopokai_2.jpg社会保険労務士法人たんぽぽ会は、昭和51年に現会長である瀬川徳子氏が創業した法人である。
「働いたことのない主婦からの出発でした。最初から、女性が活躍できる会社をつくることが目標でした。“働く女性”の認知を求めてつくった会社といっても過言ではありません。プロフェッショナルとして働く女性を育てたい、女性が働きやすい、働き続けられる環境をつくりたいと思っていました」と瀬川氏。当時は、“お茶汲みは女性の仕事”といった意識が強く、その脱却が瀬川氏の目指す理想の会社づくりの原点だった。


type1_tanpopokai_6.jpg女性が働き続けるためには、出産や育児などのライフステージは避けて通れない。そこで同社では、それぞれのステージに応じた働き方を選べる体制を整えている。子育て中はパートとして働き、子どもの手が離れたら正社員になり、親の介護など事情が変わればパートに戻るといったことも可能だ。自身も仕事と家庭の両立を経験し、理解している経営者だからこそ、従業員の柔軟な働き方を応援し激励する。さらに取引会社に対しても、働き方についての意識改革を働きかけているという。

環境整備とともに、登用制度にもこだわっている。「資格の有無にかかわらず、それぞれの能力を生かして仕事をして、意欲のある人には経営陣の仲間入りをしてほしい」という願いから、社内規定として「社員役員制度」を策定した。パートから正社員への転換、執行役員への登用といった門戸を開いていることを、全従業員に周知徹底している。
「パートで入社して、今は正社員で課長に登用された人もいます。資格はなくても、部長として経営を統括する立場になった人もいます。働く人のやる気や能力に応じた評価をして登用し、それに見合った報酬を分配しています」

従業員全員参加の会議など、意見の言える場を多数用意

経営状況をオープンにし、生産性の向上を図る

type1_tanpopokai_4.jpg働き方改革の推進に当たって、平成15年から毎月4月に社員総会を実施している。売上計画や実績などの数字を公開し、会社全体の1年間の行動計画を策定する。職場環境の整備についても、時間外労働の削減やノー残業デーの完全実施、有給休暇の取得促進、賃金制度や評価制度の見直しなどについて具体的な数字に落とし込み議論を進めている。
さらに、平成27年からは毎年10月に中間報告を行い、グループワークを行って、改善提案などを活発に議論している。平成29年からは男性従業員のスキルアップとコミュニケーション向上を図る「男子会」や、子育て中の従業員でも参加しやすい昼食時に行う「女子会」を始め、意見を吸い上げる場にしている。

さらに、共有のグループウエアに「ご意見箱」を設け、各自の意見が書き込めるシステムも構築している。誰でも簡単にアクセスできて透明性が高いが、個別に相談も行うことで、従業員の誰もが働きがいのある会社づくりに直接参加できる体制がつくられている。
その他にも、毎月1回の全員出席の研修会、月2回のリーダー会議や運営会議、早朝役員会議など、数多くの会議を開催し、これらの会議を通して社内で様々な情報を共有している。数字に基づいた成果報酬も公表され、全員が経営に参加しているという認識を持って生産性の改善に取り組んでいる。

「全てが最初からうまくいったわけではありません」と瀬川氏は振り返る。8年前に各チームのリーダー会議を始めたが、当時は従業員から不満が噴出するだけで、前向きな意見が出てこなかったため、1年半で中断したという。その後、会社としての考えを少しずつ浸透させながら、平成29年にリーダー会議を再開した。「気が付いたら社内の風土が変わっていました」と瀬川氏は語る。今では、従業員から建設的な意見が活発に出てくるようになり、会社の経営を支えているという。

時間有休制度や子ども職場参観日など新たな制度も導入

社内の成功事例をパッケージ化して取引企業に展開

「女性が働き続けられる環境づくり」から始まった同社では、従業員の子育て支援にも力を入れている。「子どものために、この日は早く帰りたい」という要望にも快く応え、勤務時間の調整を行っている。育児休暇の取得率は100%、男性の育児休暇の実績もある。子どもの学校行事や急な病気などは100%休めるように、お互いのフォロー体制を整えている。
これまで参観日は「半日有休制度」を使う人が多かったが、平成30年2月からは、従業員の要望により、時間有休制度をスタートさせた。朝の旗振り当番で1時間遅く来たり、途中で抜けて用事を済ませたりすることもできるようになった。有給休暇消化率は、平成28年度で77%、平成29年度は85%を達成したいという。
平成29年4月に入社した山本峻之さんは、「時間内で仕事を終えて、なるべく早く帰るようにしています。土曜日に資格取得講座を受けていますので、帰宅後の時間をそのための勉強時間として活用できています」と、職場環境とプライベートの充実に満足している。


type1_tanpopokai_5.jpg平成29年の春休みには、「子ども職場参観日」を行った。これは、従業員の子どもたちを会社に招き、親の働く様子を見てもらおうという企画である。2家族4人の子どもたちが参加したが、「仕事や職場環境に興味を持ってくれて良かったと好評でした。今年は高校生インターンシップを行いたいですね。次世代の意識改革にも積極的に取り組んでいきます」と、この企画を推進した専務COOの瀬川龍男氏は意欲満々だ。


最後に瀬川氏は、働き方改革の成果を基にしたさらなる挑戦の思いと、これから改革に取り組む企業へのアドバイスを語ってくれた。
「弊社における一連の『働き方改革の事例』をパッケージ化して、企業に提案したいと思っています。中小企業にとって、働き方改革は、取り組まなければならないことだと分かっていても、そのノウハウや資金・時間がないと思われている場合がほとんどなのです。弊社で検証できた理念と方法を『生きた事例』として伝えていきたいですね。働き方改革を成功させるには、まず現状を把握することが重要です。そしてどこを改善したいのか、取り掛かりやすいところはどこなのかを決め、実行・検証・再構築の繰り返しです。何よりも継続することが大切です。成功するまで、2歩進んで1歩下がるぐらいの気持ちで取り組んでほしいと思います」