働き方改革事例

「多様性のある組織を、価値のある世の中にする」
リーディングカンパニーを目指して

社会保険労務士事務所あかつき

  • その他産業
  • 福山市
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認定マーク
所在地 〒720-0815 広島県福山市野上町1丁目4番10号
URL http://sr-akatsuki.com/
業務内容 社会保険労務士業
従業員数 5名(男性1名、女性4名)

(2018年2月現在)

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  • 「多様性のある組織を、価値のある世の中にする」という目標を明確化
  • 従業員のさまざまな状況に応じて在宅勤務や短時間勤務など勤務体制を整備
  • クラウドなどITを通じて社内の情報を共有し、組織でフォロー
  • 効率化には助成金も上手く活用
  • 従業員の残業ゼロ時間や、実質離職率0%を進めている
  • 自社の取組を営業ツールとして活用し、取引会社を開拓

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「多様性のある組織を、価値のある世の中にする」
リーディングカンパニーを構築することが使命

トップダウンによるスピーディーな取組を実践

type1_akatsuki_2.jpg社会・労働保険の手続きや就業規則の作成、評価制度の構築など労務管理を事業内容として掲げる同社代表の三谷宜雄氏は、多くの企業経営者と会う中で、「私たちの使命は何か?」と考えるに至ったという。労務管理コストの削減には熱心でも「働き方改革」に関しては、どうしたらいいか分からないという経営者や否定する経営者はいるが、前向きに変わらなければならないと感じている経営者の方が多いと感じた。
「組織の活性化を行い、そこで働くすべての人が輝ける組織が価値のある世の中にする」ということを目標に掲げ、労務管理コストを下げることだけでなく、今後の企業発展のために人材確保と人材育成まで責任を持って取り組むことを自社の使命とした。
子育て中や介護中で、時間外勤務が難しかったり、急に休みが必要になったりする人を多く採用したが、自社こそがそのような環境にある人を積極的に採用すべきと考えての行動だ。正規の時間通りに働けないことをハンディキャップのように考えていた人たちが活躍できる会社こそ、価値があると考えたのである。


type1_akatsuki_3.jpg取引のある会社に働き方改革を提案するにしても、まずは自社で実践して、働き方改革に取り組む上での課題の抽出や成功事例を案内できた方がいいと考え、早速実行した。
「少人数組織のため、方針や目標については、従業員に対して直接言葉で話す機会を増やし、従業員の理解を得ながらトップダウンで進めました。自社でどのような取組をすれば働く環境として最適かを考え、思い付いたものからとにかく実践しました」と三谷氏。具体的には、情報を社内で共有するためにチェックリストを作り、ホワイトボードへの掲示や、各従業員の業務の進捗管理表をつくって全員が閲覧し共有できるようにするなど、徹底した業務の「見える化」を行った。また、1つの業務を複数名で行うように、多能工化を行い、急な休みでもお互いにフォローすることができる体制も整備。その他、終業30分前には「残り30分で終わらせなければならない仕事」を各自が書き出し、全員で分担することで残業をなくすなど、随所に工夫を凝らしている。「良いと思ったものは、すぐに改善・行動を実践してきました」と三谷氏は語る。

子育て中や介護中のスタッフにとって最適な働き方を模索

助成金を活用して業務を省力化し、付加価値の高い業務に注力

type1_akatsuki_4.jpg「一度、子育て中の従業員のために在宅勤務制度を導入しましたが、全く活用されなかったことがあります」と三谷氏は振り返る。子育て中の従業員にとっては、子どもが近くにいることでかえって集中して業務を行えず、出勤した方が仕事に専念できるという理由からだった。そこで、子育て中の従業員にも活用してもらえるように、在宅勤務制度以外にも出勤時間や勤務日に柔軟に対応し、子どもの病気や行事の際には気兼ねなく有給休暇を取得できるようにした。

「月曜と火曜は16時30分、水曜と木曜は子どものために14時30分で帰ります」と話すのは5歳と9歳の二人の子育て中の西山さん。「子どもを保育園に送る時間が渋滞にかからないように、始業も9時15分からにしてもらっています。自分の担当業務を時間内に終わらせればいいという雇用主の柔軟な考え方に感謝しながら、効率的に業務をこなすことで応えています」

今年から採用した介護中のある従業員は、前述の在宅勤務制度を利用している。取引先に同行する以外は全ての作業を自宅で行い、打ち合わせはビデオ会議を活用し、クラウドシステムを使って進捗状況を共有している。事業場外労働に関するみなし労働制度を採用することで、都合のいい時間に働きながら、効率よく成果を上げられるようにしている。通勤時間と通勤手当を削減でき、お互いにWin×Winな関係構築に取り組んでいる。

厚生労働省の助成金(業務改善助成金)を導入したことも、同社の取組に大きく貢献している。この助成金は、生産性向上のための設備投資やサービスの利用などを行い、最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資にかかった費用の一部を助成するものである。この助成金により、同社では社会保険労務士専用のシステムを導入し、取引先の会社で入力されたデータをそのまま手続きや書類等に使うことが可能になり、今まで二度手間となっていた入力業務を大幅に省略できたという。また、従業員が付加価値の高い仕事に専念できる環境が構築され、賃金アップも実現した。もちろん作業効率の向上は、会社の収益にも大きく貢献している。
効率化の面では、電話に煩わされることなく作業できるように電話代行をアウトソーシングし、繁忙期と時期が重なる給与計算は請け負わないなど、業務の削減や効率化にも力を入れている。さまざまな工夫により、ストレスフリーで柔軟な勤務体制が実現している。


実質離職率0%。スタッフの意識の変革により会社が活性化

自社の取組を営業ツールとして新しいビジネスチャンスが生まれる

type1_akatsuki_5.jpg「まだまだ成果というところまでいきませんが、実質的な離職率は今のところ0%です。また、この春から私自身も子どもが増えるので、経営者である私も定時で仕事を終えるようにしたいと思っています。スタッフ各自が勤務時間を調整して、休暇を取った場合には別の日の空いている時間に出勤して業務を終わらせるなど、取組を始めてからは、従業員の自発的な行動も見受けられるようになりました。従業員から『この会社には、こうした働き方改革を提案したらいいね』などという話題も積極的に出てくるなど、営業的な視点にも役立っています。従業員の配偶者からは『女性がいきいき働ける会社だね』と言っていただいているようです」と三谷氏は手応えを感じている。
今後の課題としては、クラウドシステムの導入やタブレット端末の活用による更なる効率化だという。採用面では、育児や介護等で離職した方や、短時間であれば働ける方を雇用して、業務をシェアすることにより、一人当たりの業務量の削減を図りたいとも考えている。

こうした自社の働き方改革の取組は、新しいビジネスの可能性も生むという。同社では、働き方改革を提案することで、取引を増やしたり、今まで取引のない会社に対しては働き方改革を切り口に営業をかけたり。実際に自社の成功事例を伝えることでより具体的な提案ができるようになったという。
「今後は、従業員の働き方を柔軟に変えられない企業は生き残ることが難しいのではないかと考えます。自社の取組によって少しでも世の中の環境を変えることができれば、また、そのリーディングカンパニーになれれば、自社の従業員のモチベーションアップにもつながると考えています。私たちも『働き方改革ならここが一番』といわれる会社を目指してがんばります」と三谷氏は力強く話す。

最後に、三谷氏から働き方改革のアドバイスをいただいた。「小さなことの積み重ねが大切です。大きな目標を掲げて『したつもり』でいるのではなく、小さなことを少しずつ達成していくことで、目標に近づいていきます。他社がやっているから取り入れるのではなく、他社の取組事例を自社に合ったものとしてアレンジし、取り組むことも大切です」