働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

生産性の改善と女性活躍推進を両輪とした
働き方改革

株式会社イズミ

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒720-0815 広島県広島市東区二葉の里三丁目3番1号
URL http://www.izumi.co.jp/
業務内容 ショッピングセンター、ゼネラル・マーチャンダイジング・ストア(GMS)、スーパーマーケット等の業態による衣料品、住居関連品、食料品等の販売およびインポート事業
従業員数 18,368名(男性4,484名、女性13,884名)

(2018年2月現在)

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  • 従業員が生き生きと働いている会社こそ業績が向上すると確信
  • ルールを定着させるため、地道に評価・指導を繰り返す
  • 現場の声を集め全社で業務改善を実施する「三行提案」制度
  • 女性管理職を積極的に登用するため候補者「推薦枠」を導入
  • 半日有休や日・祝日保育補助など多彩な両立支援
  • パートナー社員のキャリアアップや再雇用制度の見直し等、多様な就労ニーズに対応

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「働きがいのある会社こそ成長する」という理念のもとに

カイゼン推進部が中心となって業務の見直しを実践

type1_izumi_2.jpg「弊社は行動指針として、①お客さまのために尽くすこと ②すべての従業員が働きがいのある会社にすること ③絶えずより良い結果を目指して努力することを掲げています」と執行役員の竹田裕彦氏は語る。中でも、働き方改革に関わる②に関しては、平成29年4月に全役員で、アメリカの超優良スーパーマーケットといわれている「パブリックス」を視察。従業員が笑顔で生き生き働いている会社こそ売り上げが向上することを実感したという。


type1_izumi_3.jpg働きがいのある会社の実現に向けて、同社では実力主義、高能率高賃金の実現を掲げ、生産性の改善に継続的に取り組んでいる。平成23年からスタートした2S(整理・整頓)活動を進化させ、平成26年にはカイゼン推進部を設置。トヨタ式カイゼンの考え方をベースに、作業改善やマニュアルの整備、業務ツールの見直しなどを、より効率よく安全に仕事ができるための取組を実践中である。
「生産性の改善において、ルールやマニュアルを定めていますが、それだけでは社内に定着させるというところでバラツキが生じます」と、人事部人事課担当マネージャーの串田氏は言う。特に「2S活動」については、カイゼン推進部で定期的に各店舗の実施状況をチェックするとともに、実現できていない店舗へは個別に指導を行うことで、確実な定着に結び付ける努力を積み重ねているという。

さらに、平成27年からは、現場の声を集約するため、「三行提案」という活動にも取り組んでいる。これは、業務の改善について従業員から提案を求めるものであり、文字通り三行にまとめられ、パートナー社員を含めた全従業員が提案することができる。また、提案に対する担当部署からの回答もスピーディーに行われる。そして、提案内容や進捗状況は社内のイントラネットで全従業員が閲覧することができる。
平成27年度に始まったこの制度には、全社で毎週100件以上の提案が寄せられている。「使用頻度の低い帳票をやめる」など優秀な提案は全社で実施され、経費削減や作業効率の向上などに大きく貢献しているという。


女性活躍推進に向けて「ゆめCanプロジェクト」を開始

女性管理職を増やすための意識改革や制度改定を実施

type1_izumi_4.jpg同社ではダイバーシティ経営として、特に女性活躍推進については、目標を掲げて取り組んでいる。平成26年に「2020年までに女性管理職比率を20%以上にする」ことを目標に掲げる「ゆめCanプロジェクト」をスタートさせた。育児と仕事を両立しやすい環境を整備するとともに、研修会を実施するなど女性従業員のキャリア形成支援を行っている。
女性の活躍を推進するためには、管理職自身の働き方を見直すこと、そして本人の意識改革が必要だと考え、女性の管理職候補者を対象としたリーダー研修や、入社3年目の女性従業員を対象としたライフプランセミナーを実施している。自身のキャリアプランの設定や生涯賃金のシミュレーションなどを具体的に提示することにより、女性従業員が「管理職になりたい」と思わせる風土を醸成している。

また、管理職登用制度そのものも見直した。従来の制度では、候補者研修を受けることが必須とされていたが、平成29年からは役職者候補者の「推薦枠」が導入された。上司から推薦を受けた、能力と意欲の高い女性従業員は、面接を受けるだけで役職者候補者となることが可能になった。
その他、パートナー社員にも評価制度や研修・キャリアアップ制度を導入し、正社員とほぼ同じ待遇で活躍できるような役職への登用を実施し、個々の事情に合わせて働き方の選択肢を広げた。また再雇用制度の要件を緩和し、離職後5年以内であれば、離職時の役職が一般職の場合には40歳まで、管理職を経験した従業員の場合には50歳まで、同じ条件で復職できるよう制度を改定した。多様な人材が経験を生かして活躍できるステージを用意している。

両立を支える多彩な支援を実施

半日単位の有休制度や日・休日保育補助などニーズにあった施策

type1_izumi_5.jpg同社では長年、女性の就業継続に取り組んでおり、出産・育児休業制度や看護・介護休業制度を、利用者の声を聞きながら改善を重ねている。平成29年からは半日有休制度を導入して、有給休暇を取りやすくした。子育て中の従業員が日・祝日勤務に際して保育料の支払が発生する場合、費用の半額を補助する制度もスタートした。今後は、社内保育園の導入の検討など、子育て中の従業員でも安心して働けるよう取組を加速させようとしている。

給与課の大畑さんに、同社における仕事と子育てのサポートなどについて尋ねてみた。
「一人目の子どもの時は1年半、二人目の子どもの時は6カ月育児休業を取り、今は7時間の短縮勤務をしています。子どもが病気の時に、有給休暇とは別に使える看護休暇も小学校3年生まで取得でき、子どもを育てながら安心して働けます。周囲の人の助けももらいながら、時間内にいかに効率的に処理するかを常に考え、なるべく前倒しに仕事を進めるように努力しています」
仕事と子育てをバランスよく両立させながら、効率的に働こうとする意識醸成が従業員一人一人にできているようだ。

最後に、串田氏にこれまでの成果と、今後の目標について尋ねた。
「取組は道半ばではありますが、社内の長時間労働者数は年々減少しています。人手不足という大きな課題の中で、社内でも業務改善という考えが定着していますが、さらなる生産性向上に努めていきたいと思っています。AIやICTなどの活用にも注目し、例えば、ロボットに定型的な仕事を夜間に行わせるなど、先進テクノロジーによる働き方改革の実験もスタートしています。従業員のワークライフバランスに配慮できる環境をつくっていくことで、女性はもちろん全ての従業員が働きやすいと感じられる職場になるよう、取組を広げていきます」と力強く語ってくれた。