働き方改革事例

従業員の成長をベースとした、
生きた働き方改革

ペアコム株式会社

  • 製造業
  • 福山市
  • 31〜100
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認定マーク
所在地 〒720-1132 福山市駅家町倉光134-1
URL https://www.peacom.co.jp
業務内容 電子機器・電気部品の製造
従業員数 77名(男性11名、女性66名)*パート含む

(2018年2月現在)

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  • 従業員のコミュニケーション力と経営感覚の養成で意識改革を促進
  • 従業員による「従業員満足度向上計画」の立案・実行などボトムアップによる改善
  • 取引先の理解も得ながら会社の休日を増加
  • ITツールの活用による働き方改善と生産性の向上

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次世代を見据えた、従業員のための働き方改革

取組の追い風となった従来の従業員教育

type1_peacom_2.jpgかねてより次世代の会社の在り方を見据えて、ペアコム代表取締役の梨木健太郎氏は、経営面にも利益の追求だけではない新たな感覚が必要だと感じていた。そこで同社は平成29年度より、25年ぶりに経営理念を改定。これまでの「より良いものづくりで社会に貢献します」という理念の冒頭に、「社員の幸福を追求し」という一文を加え、企業精神そのものから新しい時代への対応を図ろうとしている。同社における働き方改革も、そうした次世代に向けた地盤固めの一つであり、梨木氏をはじめとする経営陣は、従業員が働きやすい環境をつくることこそが、新しい経営の鍵を握ると考えている。

では、いかにして取組に着手したか。もともと同社では従業員の成長を図るために、研修の一環として従業員による各種委員会活動を推進しており、その活動が働き方改革の周知・促進に大きな役割を果たしている。まず年度初めに、丸1日かけて行う従業員全員参加の経営計画発表会で、経営理念の改定を踏まえて働き方改革および職場改革に取り組むことを周知。その後、ES委員会(従業員満足度を高める活動や福利厚生事業の企画運営を行う)のメンバーを中心に全従業員参加型で「従業員満足度の向上計画」を立案し、実行することとした。こうして、ボトムアップによる職場改善の仕組みが整えられた。

一方、トップダウンの取組では、これまで行ってきた従業員のコミュニケーション能力や経営感覚の養成を続行している。これについて梨木氏は、そのねらいを説明する。
「従業員の幸せの追求も業務改革も、全てはコミュニケーションが基本となります。そこで当社では毎朝の朝礼に力を入れています。自分の考えを人に伝える力、仲間の発言を聴く力などが自然と身に付く朝礼で、一人一人のコミュニケーション能力を養成しています。さらに経営感覚が身に付けば、自発的に業務改善・改革に取り組むことができ、それが自身の待遇や職場の働きやすさに直結することを自然と理解してもらえます。そのため当社では、経営についてゲーム感覚で学べる手法などを取り入れたり、会社の利益などの業績を全従業員へ開示、把握してもらうことで個々の意識や経営感覚を高めています」
従業員の理解を得ながら、働き方改革へスムーズに着手できたのは、こうした従業員教育が背景にあるのだろう。

子育て世代にもうれしい、時短勤務や休日増

ITツールの活用で生産性を向上

type1_peacom_3.jpgペアコムは女性従業員の割合は約9割と高い。そのため働く女性目線、子育て世代目線の働き方改革も同社の特徴的なポイントである。現在も産休中の従業員が3名いるのだが、産休・育休を取得する際、会社側から従業員に、1年間ゆっくり休んで子育てに専念してほしいと、あらかじめ奨励している。職場に復帰してからも時短勤務などの柔軟な勤務形態を用意し、子育てとの両立を応援している。従業員の誰かが子どもの病気で休んだとしても、「お互いさま」という意識が従業員の間に芽生えている。カバー体制について皆で資格を取得していこうという雰囲気もあり、ある部署では3人の資格者がいるところへ、もう2人ほど資格者をプラスすることで、休みを取りやすい体制を整えようとしている。


type1_peacom_4.jpgこれまでは、取引先企業に合わせて祝日も出勤日としていたが、従業員に家庭での時間も大切にしてほしいという思いから、祝日は会社を休みにすることを取引先へ連絡した。その代わり生産性を向上させることで、従業員にも取引先にも、迷惑を掛けないことを約束した。これにより、平成29年度は休日が3日増えた。更に、平成30年度は休日を4日増やすことが決定し、年間休日が112日となった。
生産性の向上においては、ペアコムではこれまでにもITツールを駆使してきており、こうした環境整備が働き方改革に大きく役立っている。梨木氏は、「このたびトップダウンで80台のタブレットを配布し、作業マニュアル等の閲覧に使っています。それまでは作業する近くにそういったマニュアルや品質に関する解説書などを貼って閲覧していたのですが、うっかり見間違えるケースも多く、ミスも多発していました。しかし手元にタブレットがあれば、拡大操作も自由ですので、ミスが減り、作業がより正確になりました」と、ITツールによる効率化の影響を説明。
また、現場作業は、ビデオカメラに録画しているが、万一不具合品が発生した場合に、原因の追跡・調査に役立っている。原因の特定にかける時間が大幅に減るとともに、適切な対応策を立てることができるのだ。当初は監視される感覚も懸念されたというが、従業員には、原因箇所を特定しやすくなることで「安心して働いてもらうため」であることを伝えたうえで導入。結果として、不具合品の減少による作業効率アップにつながっているとのこと。

従業員が主役だと取組も生きてくる

従業員の成長を支援し、まずは改革のベースづくり

type1_peacom_5.jpg前述のような取組の他にも、専門技術に必要な認定資格の取得支援や女性管理職の登用など、従業員のやる気を応援する形で、さまざまな試みを展開している同社。働き方改革は始まったばかりだが、これまで積み上げてきた活動も含めて、現状の評価を梨木氏は次のように語ってくれた。
「当社では『働き方改革』という言葉が登場する前から、各種委員会活動や個人面談などを通じて、従業員が成長を図れるようサポートしてきました。その結果、働き方改革を進める前から、従業員の意識の面でしっかりとしたベースができていました。そのうえで仕組みを整えていこうとしているのが現状です。これから働き方改革に取り組む企業に参考にしていただくとしたら、まずは従業員の成長を支援することで、改革に向けたベースづくりを行うことが大切という点です。それがなければ、形だけの取組で終わってしまいます」


type1_peacom_6.jpg同社では、前述のとおり、日頃から従業員に経営を意識する感覚を磨いてもらっている。だからこそ仕組みが先導するのではなく、従業員の意志から生まれた「生きた働き方改革」を推進していくことができる。
そうした同社の姿勢を受けて、執行役員・製造本部長の日谷日砂美氏は「管理職としてがんばれているのも、研修などを通じて自分自身を向上させることができたからです。従業員のやりたいことを応援してくれるのが当社です」と、従業員の成長を応援する風土を歓迎。現在、日谷氏は自身の業務の「見える化」を行い、自分がいなくても業務に支障がない体制づくりを進めているそうだ。


type1_peacom_7.jpg副工場長の出原さんは、「男性の育児参加も積極的に応援してくれる」と、共働き世帯への理解に感謝している様子だ。中途採用を経て、勤続2年目を迎えるが、同社に入社してから「資格取得なども積極的に支援してもらい、日々成長を実感している」とも語ってくれた。


会社の将来ビジョンを従業員たちから集めたら、予想外に「全員で東京ディズニーランドに行きたい!」という声も上がったそうだ。「今後も、従業員が主役の働き方改革を進めていきながら、売り上げを2倍にして、そういった声もぜひ実現したいですね」と、梨木氏は意欲を見せた。