働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

オフィス環境の整備と
意識改革から始まった働き方改革

株式会社オカムラ 広島支店

  • 製造業
  • 広島市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
認定マーク

※平成30年4月より「株式会社オカムラ」に社名変更予定

所在地 〒730-0017 広島県広島市中区鉄砲町10番12号 広島鉄砲町ビルディング10F
URL http://www.okamura.co.jp/
業務内容 スチール家具全般の製造・販売、産業機械その他の製造・販売など
従業員数 26名(男性20名、女性6名)※広島支店のみ

(2018年3月現在)

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  • 時間管理システムを変更し、長時間勤務者の所属長にメール配信
  • ノー残業デーには18時30分にパソコンが自動シャットダウン
  • コアタイムなしのフルフレックスタイム制度を導入
  • 自由な席で仕事ができるフリーアドレス制を実施
  • 従業員数より多い席を社内に用意し、他拠点や協力販売店の従業員に一部エリアを開放
  • 会議時間や移動時間を短縮するための多彩な工夫

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オフィス環境提案企業として、率先して自社改革から推進

ノー残業デーを徹底しフルフレックスタイム制度を導入

type1_okamura_4.jpg「私たちはオフィス環境を提案する企業であり、働き方改革の一役を担っていきたいと考えています。そのため、私たち自らが働き方改革を実践し体験したことを社内外に発信していきたいという意志のもと、取組を始めました」と人事部の関口次長は語る。平成28年4月に全社プロジェクト「ワークライフバランス推進委員会」が立ち上がったのを皮切りに、全従業員に「働き方を改革しよう」と宣言した。モデル職場を設定し、時間管理の徹底に向けた諸対策をスタートした。

初年度である平成28年度は、まず管理帳票を配布して、勤務実績を把握することから始めた。その結果、働き方にメリハリが付いていないことが判明し、従業員の意識変革が急務となった。そこで時間管理システムを変更し、残業が多い従業員の所属長にメールを自動送信するシステムを構築した。メールを受け取った所属長はその従業員の状況を確認し、フォロー体制を整えたり、仕事量を調整したりして、残業時間を減らすように努めている。
またノー残業デーである水曜日は、パソコンが18時30分に自動的にシャットダウンするようにした。従来は22時まで接続できたオンラインシステムも21時までに時間短縮するなど、1年目は意識変革を促すための施策を中心に、本社主導で進めていった。加えて、ファイリング方法の変更や会議の仕方など、職場でできる取組は従業員が率先して行い、職場で解決できないことは現場の声として委員会に上げ、新しい取組として落とし込むことで、改善に結び付けていった。

平成29年度には、さらなる時間管理を徹底するため、勤務管理システムの改訂を行った。労働時間の実態を把握し、時間管理を強化した。さらに勤務管理システムと健康情報を連動させることで、傷病による残業制限などにも対応できるようにした。
同社では、この年の12月から全社的にフルフレックスタイム制度を導入している。従来は10時10分から15時50分のコアタイムがあるフレックスタイム制度だったが、コアタイムなしの制度に変更され、より柔軟な働き方ができるようになった。現場主導による「働き方カエル!プロジェクト」もスタートした。
平成29年6月から、育児や介護をしている従業員には、週に一度の在宅勤務が認められるようになり、広島支店も含め全社で約100名の従業員が利用している。

オフィス改装を機に、広島支店独自の改革を推進

フリーアドレス制を採用し、他拠点や協力販売店にもオフィスを開放

type1_okamura_3.jpgこうした取組は広島支店も含め全社的に展開されているが、広島支店では更に独自の取組を開始した。有給休暇取得率を10%上げる数値目標を立てたのである。このため、従業員の工夫によって効率的に業務を行う努力を始めた。
特に、平成28年10月の広島支店のオフィス改装を機に、取得は一段と加速したという。営業職はフリーアドレス制にして、その日の気分に応じて好きなところで仕事ができるように、同社のヒット商品でもある昇降式のデスクも導入した。席の数を従業員の数よりも10席以上多く用意し、自由度を一層高めている。会議室をなくし、好きな場所で好きな席に座って、会議ができるようにもした。こうすることで、会議は活発になって自由な意見が出やすくなり、会議に要する時間も大幅に短縮できたという。


type1_okamura_2.jpgまた席を多く用意することで、他拠点の従業員が出張で広島支店に来た時に、自由に席を利用でき、移動時間中にできた隙間時間をより有効に活用できるようになった。自社活用にとどまらず、協力販売店にも広島支店の一部エリアを開放し、自由に入って仕事をしたりカタログを見たりできるようにしている。

「販売店の方ともコミュニケーションが増え、かえって仕事がやりやすい関係になりました」と支店長の頓宮祐司氏は効果が現れていることを実感している。

広島支店のレイアウト運営委員会も発足した。気が付いたことは従業員みんなで出し合い、その都度、検討を加えながら、より働きやすい環境を整えている。例えば、フリーアドレスを利用しているが、電話の取り次ぎ時にどこにいるか分からないことがあったため、皆に見える場所に大きなマップを掲示し、名前の磁石を使って誰がどこにいるか一目で分かるような形にした。その他にも各種委員会活動や、社内外のアドバイザーから他拠点や他社の働き方について学ぶセミナーなどを行い、周知・活用を促進している。

浸透するまで、メッセージを発信続ける

会議時間と移動時間の短縮が生産性の要

type1_okamura_5.jpg「生産性を高めるため、会議時間や移動時間を減らしていくことがポイントだと考えています」と関口氏。会議は事前に資料をメールで配布し、当日に印刷物は配らない。課のミーティングは全員を集めると、時間調整が大変で時間も多くかかるので、課長と担当の最小限にし、短時間で済ませる。朝礼に参加できない従業員には動画を配信して情報共有するなど、様々な工夫を重ねている。また、営業職の移動時間の短縮については、訪問スケジュールをじっくり考えて効率的に組み、移動の合間にモバイルツールを使って仕事がこなせるようにした。


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左:広島支店長 頓宮氏、右:人事部人事労務課 次長の関口氏

「従業員の間に働き方改革の意識が高まったことが一番の成果です。有給休暇取得率も目標の10%アップを実現できる見通しです」と頓宮氏。仕事にメリハリができ、モチベーションが上がったという。水曜日のノー残業デーの定時退社後、趣味の時間や習い事を始めた従業員もいるという。プライベートの予定を組みやすいという声も出てきている。同社の取組を学び、オフィスを見学したいという申し出もあり、自社の取組が営業活動にもつながっている。

「新たな制度導入にあたり、全国にモデル職場を設置し、効果検証を行ってきました。ただ、途中段階で意見を集約したところ、プロジェクトチームと従業員との方向性に差異が生じてきたので、従業員一人一人にヒアリングを行い、分析をしました。時間削減を目標とするのではなく、時間にとらわれないで能力をフルに発揮したいという意見も出てきました」と関口氏。
「効率的なルーティン業務と創造的なチャレンジ業務を大切にする考え方が大切だと思います。また、働き方改革のスタート時にはトップからの強いメッセージも必要です。社内に浸透するまで根気よく発信し続けることも重要です」と力強く語った。