働き方改革事例

労働の時間ではなく、質を大切にする業務体制

株式会社デンタルタイアップ

  • その他産業
  • 広島市
  • 1〜30
  • entrydatajireikaikaku2-01
  • entrydatajireikaikaku2-02
  • entrydatajireikaikaku2-04
  • entrydatajireikaikaku2-07
  • entrydatajireikaikaku2-08
認定マーク
所在地 〒730-0851 広島県広島市中区榎町5番20号
URL http://dental-tie-up.net/
業務内容 コンサルタント業(歯科医院)
従業員数 11名(女性11名)

(2018年2月現在)

seika_header.png

  • 定期的なミーティングや年1回の戦略会議で業務改善を立案
  • 従業員の事情に合わせてテレワーク勤務や短時間勤務などを選択可
  • 出張は原則直行直帰。会社に寄る無駄な時間を省く
  • 本やセミナー、資格取得など自己啓発に使える研修費を支給

seika_footer.png

歯科業界の働き方改革を進めるために起業

ミーティングや戦略会議を通して従業員のニーズを吸い上げる

type1_dentaltieup_2.jpg「起業したのは10年前です。その当時、歯科業界では患者さんへの対応は考えられていましたが、組織内部の従業員が、どのように働いたら実力を発揮できるかという配慮はあまりなされていないのではないかと感じていました。さらには、患者さんの満足度を上げようと、診療時間を遅い時間に延ばすがゆえに、昼休みを長くするという病院も多くあり、結果として、従業員は職場での終業時間が遅くなり、労働環境にも影響するという状況が生じていたと思います」と代表取締役の小原啓子氏は振り返る。
そこで小原氏は、経営学と歯科学を融合させて、歯科業界にマネジメントシステムを組み込む会社を設立したという。
「歯科医院の業務改善を行えば、そこで働く従業員が生き生きと働け、患者さんの満足度が上がり、結果として患者さんが増える。経営が安定してくると、従業員の職場環境や福利厚生がさらに良くなるという好循環をつくり出すことが目的でした。働き方改革は私たちの会社の設立理念の一つであり、ずっとやり続けてきたことです」と小原氏は力強く語る。


type1_dentaltieup_3.jpg自社の業務改善については、「こうしたらいいだろうと思い付くことは、だいたい取り組んでいます」というが、定期的にミーティングを開き、全従業員で意見交換を行うことで、ニーズを吸い上げているという。その他、同社では1年に1回、1日をフルに使って従業員全員で戦略会議を開催。ブレーンストーミング形式で、会社としてどうあるべきか、どう実践するか、誰がいつまでに何をやるかまで落とし込むというもので、業務量の配分の見直しも、この会議で行われるという。また毎月、社会保険労務士や税理士からのアドバイスを受けるなど、外部の専門家の意見も大切にしながら日々取組を進めている。

働く時間よりも業務の質をいかに確保するか

テレワークや短時間労働など、従業員に合わせた働き方を工夫

type1_dentaltieup_4.jpg同社では、11名の従業員のうち、7名がマネジメント担当、4名が事務局に所属する。マネジメント担当のうち3名は関東、関西、九州の3エリアでテレワーク勤務をしているのだ。テレワークをしている従業員3名は、毎週月曜日に本社に集まって、状況報告や情報交換を行う。それ以外の日は、自宅を拠点に、担当の歯科医院を回ったり、スカイプをつないで本社と連絡を取りながら資料作りなどの業務を行う。


type1_dentaltieup_5.jpg実際に北九州市でテレワークをしている河野さんは、笑顔で次のように話す。
「独身の時に入社し、産休・育休を取得後、復帰しました。その後、夫の転勤で北九州に引っ越しましたが、月曜日は広島に出勤、火曜日からは出張とテレワーク勤務で仕事をしています。通常の勤務時間より1時間早くから仕事を始め、1.5時間早く終業する時間短縮社員として働いています。家庭の都合に、可能な限り合わせてくれようとする柔軟な環境の中で、仕事ができることに感謝しています」
テレワークのシステムを強化したことで、出張に出ているとつながりにくかったシステムを、途切れることなくつながるように改良するとともに、必要な従業員にパソコン2台を貸与し、テレワークで働きやすい環境を進めている。


また、本社のマネジメント担当には、出張の日は、直帰することも推奨している。
「事務所に帰って報告書を書くのは、移動時間を要するだけでなく、疲れてしまい、かえって効率的とは言えません。当社は、効率的に業務ができるよう時間ではなく、質で評価しています。効率化により生まれた時間から、勉強する時間も確保でき、それが質の高い仕事をすることとなって返ってきます」と小原氏は語る。


type1_dentaltieup_6.jpg事務局担当の4名はパート勤務だが、働く時間数も時間帯も個人の状況に合わせてそれぞれ異なっている。子どもが小さいから短時間だけ働くとか、週3日だけ働くなど、それぞれの従業員の希望に合わせているという。
事務局の藤井さんは「仕事がどこまで進んでいるかを一覧表や共有フォルダーで管理していますので、互いに進捗状況を共有でき、状況に応じてフォローし合うことができます。子育て中の突発的に休まないといけない時でも安心して休むことができ、家族も『働きやすい会社だね』と、言ってくれています」という。


従業員のスキルアップを大切にする

話し方教室、研修費の支給など、スキルアップの支援体制

type1_dentaltieup_7_2.jpg同社では、従業員のスキルアップのための教育制度も整えている。他者への「伝え方」やコミュニケーション能力の向上を目的とし、毎月1回、話し方教室を開催している。元アナウンサーから発声やコミュニケーションの取り方、敬語の使い方などを学ぶ。仕事柄、セミナーや講習会の司会、歯科医院へのプレゼンテーションも多いので、業務に直結した学びの場としてとても役立っているという。また、こうした研修を全社で継続してきた結果、クライアントとの関係性も更に良くなってきているという。
その他にも、全従業員に、自己啓発のための研修費を支給している。セミナーや講習会の参加費、本の購入費、資格試験の勉強のための費用なども、申請すれば認められる。この費用を使って、キャリアアドバイザーや収納アドバイザー資格などを取った従業員もいる。また、休日に実施されるセミナーや研修会に参加した場合には、振替休日が認められるなど、従業員教育に積極的に力を入れている。

こうした取組を振り返り、「従業員やクライアントなど周囲に助けてもらいながら取り組めていることに、感謝の日々です」と小原氏。会社の業績は常に共有し、一定の営業利益を会社に残したら、あとは全て従業員に分配するという。
「我が社は、従業員のやる気が原動力です。だから、従業員ががんばった分は還元します。今後は、定年制度をなくし、働きたいという意志がある限り、長く働いてもらいたいと考えています。長く働く経験からの、できることもたくさんあります。創業当時は、私たちが取り組むマネジメントは利益目的だと誤解されたこともありましたが、10年たってやっと本当の意味でのマネジメントの解釈が根付いてきたと感じます。我が社の経験を踏まえながら、今後も歯科業界の働き方改革のお手伝いを続けていきたいと思います」