働き方改革事例

希望を持って働ける会社を目指して
社内環境を整備

中島電業株式会社

  • その他産業
  • 広島市
  • 31〜100
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認定マーク
所在地 〒730-0025 広島県広島市中区東平塚町8番21号
URL
業務内容 電気工事業、電気通信工事業
従業員数 31名(男性30名、女性1名)

(2018年2月現在)

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  • 経営者と従業員が業務の見直しや情報共有について話し合う
  • 「就労状況ヒアリングシート」で残業を把握し、解決策をフィードバック
  • 写真や図をふんだんに使った「技術継承マニュアル」を作成
  • 「原価管理表」を日常的にチェックし、業務の効率化を意識
  • 有給休暇の取得率を通知し、計画的に休めるようサポート

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トップダウンで取組を宣言し、座談会での意見を踏まえ取組に着手

ヒアリングシートを作成して業務を見直す

type1_nakashimadng_2.jpg「4、5年前、1、2年目の若い従業員の離職が相次ぎました。また、従業員の高齢化など人材確保が課題であったことから、働き方改革の必要性を強く感じておりました。今いる従業員に長く働き続けてもらうため、また当社で働きたいと思ってもらうために、何とかしなければならないと思い、取組に着手しました」と代表取締役の中島武志氏は語る。
同社では、平成28年8月に、従業員がその能力を発揮しながら仕事と生活の調和を図り、働きやすい雇用環境の整備を行うための「一般事業主行動計画」を経営トップ主導で策定。翌年には計画に基づき「働き方改革」の方針として、全従業員に対し、従業員の意識改革や業務の効率化を行い、残業時間の削減や有給休暇の取得率の向上を図り、働きやすい職場づくりを進めることを書面等で通知。これらの目標に向けて、経営者と従業員が、業務の見直しや情報共有の仕方を話し合う「座談会の場」を設け、計画に基づく具体的な取組内容を決定したという。

取組の一つとして、「就労状況ヒアリングシート」の作成がある。このシートは各従業員に対し、残業の多い理由や改善するための必要な工夫について、列挙されている具体的な項目のうち該当するものに○をつける内容のものである。随時実施されており、職場への要望などについても自由記述できることとなっている。直接には言いづらいことも紙ベースなら提出しやすく、ヒアリングシートを通じて業務分担の見直しの要望などの意見が集まったという。これらの意見を踏まえ、経営者や管理職が対応策を考えて、随時、従業員にフィードバックするようにしているという。
また、「残業チェックは私の日課」と言う中島氏。トップ自らも残業時間には目を配り、残業時間の多い従業員にはその理由を確かめるという。そして、残業の多い部署の人員配置を見直したり、作業方法の改善を検討するなど、従業員と一緒に解決の方向性を相談している。また、できる限り一定の従業員に負荷が掛からないよう、業務の平準化にも努めているという。

技術継承マニュアルや原価管理表による業務の効率化

有給休暇取得や働きやすい社内環境のためのさまざまな取組

type1_nakashimadng_3.jpg同社では、熟練した従業員の技術を継承するために、写真や図を使った「技術継承マニュアル」を作成している。作成に当たっては、熟練従業員が指導者となり、「やって見せ」方式で教える様子を、若手従業員がメモを取り写真を撮影し、業務のコツなどを図や表を加えるなど工夫をこらした。まさに、熟練従業員と若手従業員の共同作業で完成したもので、ノウハウを伝えながらコミュニケーションの深化にもつながったとのこと。また、このマニュアルの作成により、「勘と経験が全て」と言われる作業を分かりやすく解説することで、新人のみならず、中堅社員にとっても日々の業務に役立つようになっており、従業員の技術の向上や、業務の平準化にも繫がっている。今後も、適時修正・加筆を加え、より良いものとして更新していく予定だという。


また、全従業員は毎日各自の行った業務内容を記入する「原価管理表」を提出する。各従業員が行った一日の業務内容やそれにかかった時間、会社独自の単価表を基にその業務に係る単価を記入するものである。これにより、業務にかかる生産性や時間等を各従業員自身が把握でき、業務の中での無駄な時間をなくし、業務の効率化を意識して仕事をすることにつながっている。

さらに、年次有給休暇の取得率を向上させるために、各従業員に、取得の増加に向けた会社からの“お願い”と、取得状況が分かるものを毎月通知している。
「年間の中で繁忙期もあり、忙しい時期は休めないこともあります。しかし、休める時は休み、メリハリを付けて仕事をしようと常日頃から言っています」と中島氏。ローテーションを組むなど、従業員が休みやすいように、管理職も計画的な有給休暇の取得をサポートしている。


type1_nakashimadng_4.jpgまた、社員旅行や花見、カープ観戦など、社内のコミュニケーションを深めるための交流の場や、働きやすい雰囲気づくりに寄与すると思ったものは、なるべく取り入れているという。
「従業員がやる気になって活き活きと働けば、お客さまへのサービスも良くなり、会社の利益にもつながる。そういった好循環をつくりたいのです。仕事は、いやいやするものではなく、出来る限り楽しくやってほしいと思っています」と中島氏は語る。


認定をきっかけに「この業界の楽しさを発信したい」

業務の効率化、残業削減や有給休暇取得の意識の芽生え

type1_nakashimadng_5.jpgこうした取組について、中島氏はこう話す。「取組によって、従業員の時間に対する意識が高まった結果、業務の効率化が進み、限られた人数の中で業務を行うことができるようになりつつあります。また、若干ではありますが、月平均の一人当たりの残業時間も減ってきています。有給休暇についても、従業員に少しずつ取得する意識が芽生えてきているように感じます。技術継承マニュアルにより業務の平準化が進むことで、若手従業員も少しずつ育っています」
今後は、さらなる有給休暇取得率の向上や、業務の効率化などについて、様々な取組を模索しながら、そして、何より従業員と話し合いを行いながら、より働きやすい職場環境を整えていきたいと考えているそうだ。

「私が第2回働き方改革実践企業として、働き方改革の認定を受けようと思った原点には、電気工事業界自体をアピールしたい思いがあったからです。昔は3Kの業界と言われていたこともありましたが、今はそんなことはないと思っています。当社は電気設備と電気通信業務の両方を行っていますが、新築の家に配線を行ったり、家の中にインターネットのジャックを付けたりなど、お客さまの利便性を考えながら自分の工夫やスキルを生かせるすごく楽しい仕事だと感じています。“電気”は人々の生活に欠かせないものです。電気の専門家が集まるこの業界は、これからの時代を担う仕事だと思います。だから希望を持って、仕事をしてほしいのです。一方で、高校生や若い人への知名度はまだまだ低く、人手不足の状況が続いています。そのため、高校へ出前授業に出掛けたり、ものづくり検定の検定員をしたり、業界全体で自主的な新入社員教育を行ったりなど、さまざまな取組を通して、この業界の楽しさを発信しています。また、2年くらい前からは、それまで業界では出勤が当たり前だった日曜日は休業日となっています。運動会や参観日に参加したくともできないという多くの従業員の声を集めて、広島県内の電気工事業界の組合が一致団結して発注元と話し合いを重ねた結果によるものです。こうした業界の取組もアピールしながら、当社が働き方改革に積極的に取り組むことで、もっと働きやすい業界にしていくことにつなげたいですし、もっとこの業界で働きたいと思ってくれる若者を増やしたいと考えています」と力強く語った。