働き方改革優良事例

ニーズの高い商品のパッケージ化で業務を標準化。
取組段階に応じた推進体制で改革促進!

株式会社マエダハウジング

  • 建設業
  • 西部
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒735-0008 広島県安芸郡府中町鶴江1丁目22番6号
URL https://www.maedahousing.co.jp/
業務内容 住宅リフォーム
従業員数 63名(男性29名、女性34名)

(2018年6月現在)

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  • トップダウン・ミドル層主導からボトムアップ主導に推進体制を移行
  • 顧客ニーズの高い商品のパッケージ化により業務を標準化
  • 時間外削減チェックシートで、残業に対する気付きを促す
  • 有給休暇票、時間有給休暇申請チケットを配布し、休暇取得を推奨

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取り組んだ背景とは? ~100年企業として会社を継続するために

「労働集約型の住宅業界において、顧客満足を最優先に25年。少しずつ会社の知名度は上がり、業績も上がっていましたが、一方で人手不足が顕著となり、仕事はあるのにやる人がいないという状況に強い危機感を持っていました。お客さまの満足はもちろんですが、従業員の満足がないと会社は成り立たない。弊社のビジョンは『地域で輝く100年企業になる』で、私は100億円企業より100年企業を目指したいのです。企業の命題は永続することだと考えていますが、それを実現するには、働き方改革は避けて通れなかったのです」と代表取締役の前田政登己氏は語る。
顧客満足を追求するがゆえに打ち合わせや見積もりに時間を要し、現場ありきの仕事が多いこともあって、残業が恒常化。生産性の低下にもつながっていた。従来の高い顧客満足を維持しながら、慢性的な長時間労働を解決し、従業員満足度を高めて、これらを両立させることを目指した。


取組導入のプロセス ~トップダウン・ミドル層主導からボトムアップ型へ再構築

2017年に「広島県働き方改革企業コンサルティング事業」に採用されたことにより、さらに取組を本格化。まず、現状把握のための従業員アンケートを実施し、「長時間労働の削減」や「有給休暇の取得促進」「業務改善」について、経営層と従業員が共通の課題と思っていることが分かった。一方で、従業員の仕事へのモチベーションや満足度は高く、社内の信頼関係が厚いという自社の強みも発見できた。そこで、「付加価値を高め、『お客さまから選ばれる企業』への変革」を取組方針とし、従業員が幸せにあふれ、やりがいを持って働くことを目的として、働き方改革をスタートさせた。
取組が軌道に乗るまでは、トップダウン・ミドル層主導の体制で推進した。社長自らが方針や数値目標を常に発信し続けるとともに、推進担当者が制度改革を行い、進捗管理を担った。取組が軌道に乗った後期には、従業員主導のボトムアップ主導の取組に移行。各支店の現場リーダーと入社歴が最も短い従業員による「働き方改革プロジェクトチーム」を立ち上げて、取組を進めた。


主な取組と工夫点 ~残業と有給休暇を見える化し、業務を標準化

顧客ニーズの高いリフォーム内容をパッケージ化し、業務を大幅効率化

「今までのお客さまとの商談では、リフォームアドバイザーや不動産担当など、複数名体制で対応していたことにより、お客さまとの日程調整に時間を取られ、長時間労働の大きな原因になっていました。リフォームの見積もりにも、現地を見ての積算や、設計図を書くことで時間がかかり、お客さまへの迅速な提案の障害にもなっていました」と前田氏。
そこで、25年間で2万件のリフォーム実績をもとに、人気の5つのテイストとオプションを設定。商品をパッケージ化し、モデルルームとして再現した。定額部分とプラスアルファの付加価値が明確になり、見積もりの概算が出しやすくなった。従来の複数名体制から1名体制での打ち合わせも可能になり、業務が効率化している。
「時間の短縮だけではなく、お客さまが選びやすい商品ができた点も大きいです。これにより、お客さまもイメージをしやすくなり、多様なニーズに対応できるようになりました」と前田氏は語る。

「時間外削減チェックシート」の活用で従業員に気付きを促す

残業時間の短縮のため、残業の事前申請用紙に「時間外削減チェックシート」を追加した。
「残業時間や内容を記載するだけの従来の方法では、残業は減りませんでした。そのため、まずは従業員の残業への意識を変えることを目的に、社長のメッセージや、“定時までに終えることができないか?”“緊急かつ重要ではない仕事をしていないか?”というチェック項目を記載した『時間外削減チェックシート』を追加し、従業員に残業に対する気付きを促しました」と総務経理室のサブチーフ高野氏。
上長の承認だけではなく、社長・総務部門まで回覧して日々の状況を把握したことで、残業が多い従業員に対しては上長や社長から声掛けをするなど、コミュニケーションが積極的になり、従業員の意識改革や自発的な行動につながった。

「有給休暇票」と「時間有給休暇申請チケット」を配布し、利用を促進

「従業員自身が有給休暇の取得に対する意識が低く、自分が何日休めるのかよく分かっていない状況がありました」と高野氏。
そのため、各自年間1枚の有給休暇票に追記・申請する方法に変えることで、取得状況を見える化し、従業員との共有を実現した。この有給休暇票を上長・総務部門・社長まで回覧することで、積極的な有給休暇の取得を促進した。
時間単位の有給休暇の取得では「時間有給休暇申請チケット」を配布。1時間1枚のチケット制で、休暇を取る時間の枚数だけチケットを上長に提出する。「チケット制にすることで、『使わないと損』という雰囲気が出て、今までは遠慮して取得できなかった有給休暇を皆さんが気軽に取得できるようになりました。特に子育て中の従業員からは、急な子どもの病気などに気兼ねなく使えると好評です」と、高野氏は効果を実感している。


取組の中で苦労したこと

「当初、社内の浸透に苦労しました。新しい取組を行うに当たって、いかに周りを巻き込むか。従業員にとって『やらされ感』があってはなかなか進みません。そのため最初は、報告会や社内報などを通して、働き方改革の意義や会社の本気度を従業員に何度も発信し続け、同時に幹部にも繰り返し話をしていきました。一番大変だったのは、実は自分自身の考え方を変えることでした。私自身も遅くまで働いていた世代で、お客さまの喜ぶ顔を最優先にしていました。そういう中で、あらためて立ち戻るところは、経営理念だと思います。会社のビジョンである『関わる人たちが幸せになることをお手伝いする』に戻って、先頭に立って、働き方改革を進めることを決意しました」と前田氏。
高野氏もこう続ける、「今回の改革は社長自ら先頭を切って引っ張ってくれたことに感謝しています。根気よく働き方改革を口に出し、制度改革に対しても承諾してくれ、スピーディーな改革ができ成果につながったと思っています」


取組の成果

トップダウンで制度やルールを導入し、ミドル層の主導で業務改善を展開することにより、社長・管理職・従業員の三者間で積極的なコミュニケーションを実現した。業務の効率化と同時に会社の価値観を共有していくことで、従業員の意識に変化が見られ、大幅な長時間労働の削減や休暇取得の向上につながっている。今後は、従業員からの要望をもとに育児時短勤務の期間の延長や、10月からは新たに奨学金支援制度の導入などにも取り組む予定だ。
「最近は、当社の働き方改革の取組について、お客さまからお褒めの言葉をいただくこともあり、採用面接やインターンシップでも自社の取組を知って応募してくれる人が増えました」と、高野氏は外部からの反響に手応えを感じている。

労働時間・休暇(直近約1年間)

・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率 47.1%(約30ポイント増加 ※取組前と比較)
・常用雇用者の所定外労働(残業)時間の削減 17.7h (約40%削減 ※取組前と比較)

若年者(直近3年間)の定着

・正社員として就職した新卒者等のうち、同期間に離職した者の割合 0%


従業員からの評価

「限られた時間内でいかに目標を達成するかを考える、良い機会になった」「自己啓発や地域のボランティア活動にも積極的に参加して、新しい人生の楽しみや経験を積んでいきたい」など、前向きな声が上がっている。
「18時の終業後に、従業員が集まって二級建築士の資格試験に向けた自主勉強会など、みんなで一緒にいろいろなことにチャレンジしています」と前田氏。「一緒にジムに通ったり、カープの応援に行ったり、もともとみんな仲がいいのですが、ますます社内の雰囲気が良くなりました」と高野氏。


今後の取組について

「今後は、健康経営の推進にもっと取り組みたいと思っています。残業を削減し、有給休暇の取得率を上げて、さらには生産性を上げていきたいです。ボトムアップによる改善活動の展開とミドル層主導による改善活動も継続していきたいと思っています。取組の数値目標やお客さまの満足も大切ですが、それよりずっと大切なことは、従業員にけがや事故がないこと、そして従業員が健康であることです。そうした会社のビジョンを明確にして、今後も取組を進めていきたいですね」と前田氏は締めくくった。

取材日 2018年9月