働き方改革優良事例

採用活動と次世代育成を意識した
企業の魅力づくりにつながる働き方改革

株式会社ロジコム

  • 運輸業・郵便業
  • 西部
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒732-0044 広島市東区矢賀新町5丁目7番4号
URL http://www.net-logicom.co.jp/
業務内容 自動車産業を支えるロジスティクス企業
従業員数 798名(男性545名、女性253名)

(2018年6月現在)

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  • 企業の魅力づくりにつながる取組で採用への相乗効果を図る
  • 人事評価等を活用して、管理職層の意識改革を促進
  • 対象者へ休暇取得を促す積極的な呼び掛け(メール通知など)
  • 従業員の声を反映しながら、休暇取得のルールを改定
  • 多様な働き方(女性活躍・高齢者・障害者)を支援する幅広い取組

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取り組んだ背景とは? ~人を中心とする「人間企業」へ

物流業務のあらゆるニーズに応える物流総合コンサルティング企業として、成長を遂げてきた同社。1950年の会社創設以来、創業者の信念のもと、“人”に寄り添った会社づくりに取り組んできた。常務取締役の角田直宏氏は、次のように語る。
「物流を取り巻く業務には、人の力がないとどうにもならない仕事がたくさんあります。そんな中、“人が人をつなぎ、人が情報を結び、人が物を運ぶ”という企業哲学のもと、当社は人を基本とする“人間企業”を理想としてきました」
このたびの働き方改革も、同社の哲学と目的が共通している。2018年度から新たな合理化改善により、働き方改革をさらに加速させ、確実な収益確保に努めるとともに、人材育成、制度の見直しを行い、将来に向けた経営体制の強化に努めている。


取組導入のプロセス ~会社の目標を定め、制度の充実を図る

新卒採用や求人募集時でのPRも期待して、会社の魅力づくりにつながる働き方改革を進めていった。「次世代育成支援行動計画」では、有給休暇の取得日数については1人当たり平均年間10日以上を目標にしている。休暇の取得がマイナス評価につながらないことを明確にするため、人事評価方式に生産性向上への貢献度を反映するなど見直しを行った。さまざまな休暇制度を用意し、管理職から率先して休みを取る風土を構築。総務部門を中心に、労働組合からの要望・質問も踏まえながら改革を進めている。


主な取組と工夫点 ~制度の押し付けではなく、従業員の声を第一に

業務の効率化 ~今までの無駄を削減

業務の効率化のために、スケジュール管理ソフトを活用して、業務の洗い出しと棚卸しを実行。その結果、廃止可能な業務や優先順位が明確になり、業務マニュアルの整備が進んだ。無駄を減らすため、会議では目的の明確化や、参加者と時間の見直しを実施。さらに社内文書の簡素化や削減も同時進行で行った。

休暇の取得促進 ~従業員の声を反映しながら、ルールを改定

休暇の取得では、従業員の声を聞きながら理解を促している。例えば、リフレッシュのために旅行クーポンを配布しても「使い方が分からない」という声や、ベテラン層からは「そもそも連続休暇は取りにくい」という声が上がってきた。それならばと、旅行クーポンの使い方を詳しく紹介すると同時に、細切れで休暇を取っても構わないと通達したところ、自分で工夫しながらクーポンを活用するようになっているという。上司が積極的に休暇を取ることで休みやすい雰囲気が生まれ、誰かが休みの際には、従業員同士で業務をフォローし合うようになっている。こうした取組で少しずつ従業員の意識が変わり、個々のスキルアップや多能工化などにもつながっているという。

多様な人材の活用 ~個々の事情に応じた環境整備

同社では、従業員が育児や介護をしながら仕事をつづけることになっても、私生活とのバランスが取れる柔軟な勤務体制をつくっている。これらの取組は、社内の相談窓口となっている人事課課長の鳴本氏が中心になり、従業員の声を吸い上げ、その都度、他の管理職と連携を図りながら進めてきたものである。同社の幅広い取組について鳴本氏は、「“働き方改革”という言葉が登場する以前から、常にアンテナを張り、他社の取組を参考にしながら、新しいことにもチャレンジしてきました。当社の働き方改革には、新たに始まったものだけでなく、これまでの活動も含まれています。こうした取組を進めてきた結果、女性・高齢者・障害者などさまざまな人が働くための職場になっていると思います」と語る。
例えば、障害のある従業員が安心して作業を行え、活躍できる環境の整備。倉庫内のフォークリフトは速度制限を見直し、作業工程を見やすくするなど作業環境の整備を行うと同時に、個々の事情に応じた勤務時間・業務内容を設定している。こうした結果、現在では6名の方が活躍しており、採用してから一度も離職者が出ていないという。
「女性であるとか、高齢者、障害者であるといったことは関係ありません。わが社にとっては貴重な戦力です。活躍していただくために、少しずつ制度を整えてきた結果が、人材の定着にもつながっていると思います」と鳴本氏。


取組の成果

全体的な営業努力と地道な改善活動が収益に貢献し、前年度対比で大幅な増収増益を達成している。こうした結果について角田氏は「働き方改革の一連の取組が業績に好影響を及ぼしているのは確かだと思います。やはり、われわれが原点としている“人”に立ち返って、一人一人がビジョンを持って働ける仕組みづくりに取り組んできたことが大きかったと思います」と取組への手応えを語る。

有給休暇の取得増加

有給休暇日数は前年対比1.1倍、時間単位の有給休暇取得は前年対比1.6倍となった。

生産性の向上

倉庫・車両等のインフラや人員不足の課題がある中、各所において倉庫充填率や生産性の改善により荷量増加を吸収し、全体の売上高は増加。


従業員および就職希望者からの評価

管理職が率先して休みを取得するよう働きかけたことで、多くの従業員が自ら進んで休暇を取るようになり、リフレッシュすることができた。その結果、休暇を終えて職場に戻ってきた従業員が、あらためて「がんばろう!」という気持ちで、業務に向き合えるようになったことも成果の一つと捉えている。
新卒採用の窓口を担当する総務課係長の久保さんは、そうした上司の働きかけもあって、育児休暇を取得した男性従業員の一人である。当時を振り返って久保さんは、「もちろん育休制度があるのは知っていましたが、自分の中で“取らなくては!”という意識はそれほど強くありませんでした。ところがある日、上司から『育休、取るよね?』と声をかけられました。『生まれたばかりの子どもは今しか見られないんだよ』とも言ってくれ、育休を取ることになったのですが、私以上に妻や妻の両親がそんな会社の姿勢にとても感激していました。私も子どもとかけがえのない時間を過ごせて、一人の父親として、これまでとは違う気持ちで職場に復帰することができました」と語る。今では男性の育休取得を普及させる立場となって、同僚たちの子育て参画を応援しているそうだ。
自身が担当する新卒採用の説明会の際にも、このたびの働き方改革実践企業として認定されたことを紹介すると、学生たちの目の輝きが違うという手応えを実感。「当社のファンとなってくれる学生さんが確実に増えた」と、働き方改革が企業の魅力づくり、ブランド構築に大きく貢献していると感じている。


今後の目標

「働き方改革実践企業となったことが、企業として次の段階へ進む一歩になっている」と語る角田氏。今後に向けては、全従業員が“気付きの目”を持って、改善活動を継続していくことが大切だと考えている。
同社の労働組合を代表して、広島営業所の植原係長は、「大切なのは従業員が声を上げることです。例えば猛暑だった今年の夏は、熱中症対策として経口補水液を格安で販売しましたが、これも従業員の声から生まれたものです」と語る。このように、従業員のニーズに細やかに対応してきた同社は、これからも“人”を主役に据えた改善活動を継続させ、高い品質のサービス提供と顧客満足度の維持向上につなげていきたいと考えている。

取材日 2018年9月