働き方改革優良事例

働く人の満足度を意識し、
業界内で先駆けて働き方改革を推進

尾道造船株式会社 尾道造船所

  • 製造業
  • 東部
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒722-8602 広島県尾道市山波町1005
URL http://onozo.co.jp/ja/
業務内容 船舶の製造及び修繕
従業員数 430名(男性412名、女性18名)

(2018年7月現在)

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  • 表彰制度のブラッシュアップによる業務改善提案の促進
  • 近隣7社を巻き込む「技能オリンピック」を通じた人材育成
  • 多彩なイベントの開催支援によるコミュニケーション活性化
  • ライフスタイルに合わせた3パターンの短時間勤務制度
  • 有給取得率71.7%、平均有給取得日数14.9日を実現

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取り組んだ背景とは? ~長く働いてもらえることが企業の力に

機械化やIT化を積極的に推進しても、技能者による作業が大きなウエートを占めるという造船業。“人の力”の部分が大きいからこそ、同社には人を大事にする風土が社内に根付き、従業員が働きやすい環境づくりを目指して、長年にわたりさまざまな改善活動を行ってきた。
こうした背景もあり、代表取締役専務で造船所所長の中谷浩一氏は、「働き方改革は当社がこれまで長年続けてきたことの延長線上にあります」と語る。
業界内でも率先して、従業員の満足度を意識した職場づくりを進めてきたと自負する同氏は、「熟練度を要するものづくりの現場では、従業員に長く働いてもらうことが生産性の向上に直結します。そのためには、常に従業員の満足度を意識して、その時代、時代に合わせた改善を継続していくことが大切です。そして、改善活動にゴールはないのだと従業員に認識してもらうためにも、会社を挙げて働き方改革を続けていくという姿勢を示すため、今回働き方改革実践企業の認定取得に乗り出しました」と、同社における認定取得の意味を語ってくれた。


「働き方改革」導入のプロセス ~従業員の声を聞きながらトップによる取り組みの意思表示

2017年から役員と労働組合委員長による働き方改革についての会議を定期的に開催。これまで以上に従業員の声に耳を傾けるとともに、課題に対して労使が協力して知恵を出し合い、改善方法の模索や実施項目の優先順位等について検討するようになった。2018年には、全社員に向け「働き方改革」に関するトップメッセージを発信。さらなるワーク・ライフ・バランスの実現に向け、会社を挙げて働き方改革に邁進していくことを明確に意思表示した。


主な取り組みと工夫点 ~改善提案や人材育成などさまざまな工夫で改革推進

業務改善提案のブラッシュアップ

業務改善を促進するための方法として、以前より従業員から改善提案を募り、優秀な提案の表彰を行っている。対象・方法の追加(職場表彰や年間表彰の追加)など、時代に合わせて見直しを行い、より活発な提案を促す制度になるようブラッシュアップを重ねてきた。同社は40年前との比較で、生産高が約3倍になる一方で、人員が約半数まで減少しているが、機械化やIT化の推進等に関する提案も生まれ、生産性を高める原動力となっている。

計画的採用による効果的な新人育成

技能者の育成を重視し、毎年の採用人数をなるべく一定に保つために、計画的な採用を心掛けている。従業員の世代バランスを保ちながら、熟練工から新人への技能の伝承等を効果的に実施することで、新人の早期戦力化を目指している。

「技能オリンピック」開催による企業の枠を超えた人材育成

従業員の技術力向上を図るため、同業他社など近隣7社に声を掛け、同社主催で1~2年毎に「技能オリンピック」を開催している。このイベントには、各社から技能者が多数参加して互いの技術力を競い合うが、従業員の間に他社に負けまいという思いが芽生え、結果として従業員の技術力向上に大きく貢献している。

「計画年次有給休暇」の実施等による休暇取得の促進

2018年7月から「計画年次有給休暇」を採用した。猛暑の続いた今年の夏などは、暑さ対策も兼ねて、指定した期間中にそれぞれ3日間の夏休みを取るように全従業員へ通達しているが、カレンダー上の約束事にしたことで、誰もが気兼ねなく休みを申請できるようになった。
この他、結婚記念日や誕生日などのメモリアル休暇やリフレッシュ休暇など、休暇取得率の向上につながる多彩な休暇制度も設けている。

従業員同士のコミュニケーション活性化を促進

従業員同士のコミュニケーションも大切にしている。例えば、入社1~2年目の従業員が中心となって毎年出場している尾道みなと祭の「創作踊りコンテスト」では、練習場所の確保に必要な費用等を会社で負担しているが、長期にわたる練習を通じて、従業員同士の結び付きが強まり、職場内でのチームワークや自発的な助け合いが生まれているという。
この他にも、球技大会やバス旅行、スポーツ観戦ツアーなど、さまざまなイベントが会社のバックアップのもとで開催され、社内コミュニケーションの活性化や、風通しの良い社内風土の醸成につながっている。

ライフスタイルに合わせた短時間勤務制度

育児と仕事の両立を支援するため、子どもが小学3年生を修了するまでの間、短時間勤務制度の利用を認めている。2018年の4月からは、従業員の声を受け、勤務時間のパターンを8時〜15時、9時〜16時、10時~17時の3通りに拡大。従業員のライフスタイルに合わせて、勤務パターンを選択できるようにした。


改革の成果

造船所所長として直接現場の従業員と話す機会も多いという中谷氏は、取り組みの手応えを以下のように語る。
「昔は不平・不満を訴える従業員も少なからずいました。しかし、改善活動を継続してきたことで、従業員の職場環境に対する感じ方も良い方向に変化してきたと思います。実際、労働時間や休暇取得日数については、数字の上でも大きく改善されてきました」

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均) 168.8時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率71.7%、平均取得日数14.9日


従業員からの評価

「2人目が生まれて育休を取っていましたが、この6月に復職しました」という総務部人事課の三阪さん。「当社の短時間勤務は、ライフスタイルに合わせて3通りの時間帯から選択できますが、私は上の子(小学校1年生)に学童保育の空きがなかったので、早く来て早く帰れる時間帯を選択しています。従業員の声が制度に反映されるので、とても働きやすく、子育てが原因で離職したという従業員は近年ではゼロだと思います」と話す。
労働組合の執行委員でもある造船部動力課の三宅さんは、「労働組合が中心となって多彩な催しを企画し、コミュニケーションの活性化を図っています。さまざまな場面を通じて築かれた従業員同士の絆は、当社の働き方改革の土台になっていると思います」と語ってくれた。


今後の目標

直近では、男性の育児休業取得、非正規社員から正規社員への転換制度の確立、学生に対するインターンシップ等の就業体験強化などを目標に掲げる。
「今回の認定取得はゴールではなく、新たなスタート」と認識し、今後もたゆみない改善活動を続けようと考える同社。
「さらなる働きやすい職場づくり」を目指し、従業員の満足度を意識しながら、技術と品質の向上を実現していくという。

取材日 2018年9月