働き方改革優良事例

計画的な有休取得と終業前ミーティングで
「自分たちで働き方を変えていく」という意識付けを

株式会社豊国プラントシステム

  • 製造業
  • 西部
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 〒739-0024 広島県東広島市西条町御薗宇6400-5
URL http://www.hokoku-kogyo.co.jp/plant/
業務内容 農業プラントの設計・製造・施工・メンテ
従業員数 49名(男性42名、女性7名)

(2018年6月現在)

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  • 「働き方改革宣言」の目標を2つに絞り従業員に徹底周知
  • 有休取得を計画的に推進(リフレッシュ休暇制度導入・イントラネット活用)
  • 終業10分前ミーティング(夕礼)で無駄な残業を削減
  • 働き方改革への取組について発注企業にも働き掛け

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取り組んだ背景とは? ~無理だと考えていては進まない

農産施設(農産物の乾燥・貯蔵・搬送設備など)の設計から製作、据え付け、試運転まで、自社一貫体制で手がける同社。社内組織は、大きく営業・設計・製造・工事部門に分かれるが、各部署で残業が多い、休暇を取りにくいという課題を抱えていた。例えば、営業は顧客対応が定時以降になりがち、設計は電気設計者へ業務が偏りやすい、製造は案件集中に伴う時間外労働が発生しやすい、工事は据え付け対応のための休日出勤が多いなど。これらの背景には、同社の事業が性質上、選択受注が難しい、繁忙時などの業務量にむらがあり平均化がしにくいという理由があった。
「働きすぎが問題視されるようになり、当社でも何とか改善したいと考えていました」と話す代表取締役の笹木節夫氏。ただ、「自分だけで思案していても先に進まない」と思い、広島県の「働き方改革外部視点アドバイス事業」に参加。アドバイザーの提案や、他企業の事例なども参考にしながら、取組の骨子を固めていった。


取組導入のプロセス ~改革宣言を分かりやすく2本に絞り社内に周知

取組のスタートとして初めに試みたのが、従業員一人一人の率直な思いを吸い上げるアンケート調査だ。回答を集計してみると、「忙しくて休めない。代休や振休も取りづらい」「明日でもよい仕事であっても、残業してやっている」などの声や、「先輩が退社していないので先に帰られない」という付き合い残業の問題も浮かび上がった。
そこで、働き方改革の目標を分かりやすく次の2つ「年次有給休暇計画取得3日以上を目指します」「残業上限時間40時間/月、320時間/年を目指します」に絞り、2017年12月に笹木氏が自ら「働き方改革宣言」を行い、従業員がいつでも目にできるように社内の複数の場所に掲示した。
「詳細なルールを決めても、全従業員にはなかなか浸透しないはずです。目標は分かりやすいようシンプルに設定し、生産技術部の3名の従業員にサポートしてもらいながら、地道に周知を図りました」と笹木氏は言う。


主な取組と工夫点 ~改革宣言に沿って、取り組みやすい新体制を導入

リフレッシュ休暇と休暇取得状況の共有で休みやすさを促進

有給休暇の取得日数を調査したところ、年間で0~5日という従業員が約70%もいることが分かった。これを受けて、2018年の年初めに「リフレッシュ休暇制度」を導入。各従業員が有給休暇の希望日を年間で3日選択し、管理職に提出にするものである。管理職は、誰もが平等に休めるように調整を行う。併せて有給休暇の取得計画と実施状況を社内で共有できるイントラネットを構築した。従業員なら誰でも「この日は○○さんが休む」ということを事前に確認できるため、他部署からの無駄な電話等の低減や、従業員の中にあった「休みを取る抵抗感」が薄れてきているという。

朝礼制度から夕礼制度に変更

各部署で行っていた朝礼(5分程度のミーティング)を、業務の進捗状況の共有・残業がどれぐらい必要かを管理職に伝える夕礼(終業10分前ミーティング)に変更し、残業時間の削減を図った。この夕礼制度の導入で、職場の雰囲気も変化している。特に「今、誰が何を担当しているか」がオープンになった設計部門では、「終わりそうにないなら手伝おう」「明日でも大丈夫では?」というような声が上がるようになったという。取組前は個々の裁量で行っていた仕事を、協力することで効率的に終わらせようというチームワークの意識も芽生えてきている。

発注企業への働き掛け

「モノづくり企業である以上、社内だけではなく発注元の理解がなければ、取組は進まない」と笹木氏。同社の場合、発注元の企業は1社に限定され、長年の信頼関係も構築されている。そこで笹木氏が、発注元との幹部会議などを通して、改革の取組内容・意義について熱心に説明し、土日での工事を前提としない受発注になるよう働き掛けた。
現在は、発注元の理解が深まりつつある段階で、「取組の重要性について、考えてくれるようになっただけでも収穫です。引き続き、時間外労働や休日出勤が生じないように、地道に協力を仰いでいきます」と笹木氏は語る。


取組の成果

終業前の夕礼が効果的で、残業時間は少しずつ減り、経費ダウンにもつながっている。従業員の意識も変化してきたという。以前は「残業すること」=「仕事ができること」というイメージが定着していたが、必ずしもそうではなく「効率的に働くことが大事」という考え方が浸透しつつある。それぞれの従業員が、定時退社を目標に工夫を凝らすようになり、オフィス内の雰囲気も活性化してきている。

労働時間・休暇(2016年度から2017年度)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が187時間から169.3時間へ削減
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率が35.6%から43.6%へ向上


従業員からの評価

生産技術部設計グループの平賀さんは、取組について次のように語る。
「有給休暇を取りやすくなったことが一番の変化です。現在は、取得内容に限らず、堂々と休んでも大丈夫という考え方が行き渡り、連休を取ることも可能になりました。私も実際に連休を取って、家族と旅行に行ってきました」
生産技術部設計グループの三澤さんは、「私の仕事には明確な終わりがなく、以前は定時を過ぎてもついついデスクを離れられなかったですね。夕礼が導入されたおかげで、1日の業務に見切りを付けられるようになりました。もちろん、もう少し仕事をしたいという葛藤が生じることがありますが、明日になればまた違うアイデアが浮かぶかも?と考えて、気持ちを切り替えています」と話す。
製造現場においてもミーティングを重視するようになった同社では、1日1回、進捗状況の報告を義務化。これにより「現場の業務が滞っている理由や、ボリュームが大きすぎる案件について、冷静に見極められるようになりました」と生産技術部製造グループの寺尾さんは語る。製造現場の全体を俯瞰して捉えることで、早めに図面をオーダーした方がよい案件なども分かるようになり、他部署との連携もスムーズになったと話す。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

今年の取組目標をクリアできたから、来年も大丈夫という保証はない。しかし「最低3年間は改革宣言で定めた目標を達成し続けたい」と笹木氏は力を込める。
最後に、今後の抱負を笹木氏が語ってくれた。
「当社の取組は、まだまだスタートしたばかりです。長期的な視点で工夫を凝らし、取組を継続していくことが大事です。世の中は人材不足で、しかも当社は3Kにくくられがちなモノづくりの中小企業です。それでも働き方改革を熱心に進めている会社として認知度を高め、学生の皆さんの目に留まるような会社、入社したいと感じてもらえるような企業に成長したいと思っています」

取材日 2018年9月