働き方改革事例

業務の効率化とともに、
資格支援で従業員の意欲を高める

株式会社第一ビルサービス

  • サービス産業
  • 広島市
  • 301以上
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認定マーク
所在地 730-0051 広島県広島市中区大手町5丁目3番12号
URL https://www.midori-gr.com/
業務内容 不動産総合サービス業
従業員数 802名(男性459名、女性343名)

(2018年6月現在)

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  • ロボットによる自動化や効率化を促進し、人手不足に対応
  • 人事制度の改定でキャリアプランを選択可能にし、意欲を向上
  • 「社長勉強会」を開催、意見交換を行い会社の将来像を描く
  • 資格取得など自己啓発を積極的に支援し、「資格祝金制度」も用意
  • 育児時短勤務は小学校卒業まで、高齢者は年齢上限のない雇用制度

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取り組んだ背景とは? ~人材不足を克服するために積み上げてきた改善

「人手不足が慢性的な状況ではあります。求人をかけても応募者が少なく、人材確保の難しさを実感しています」と人財サービス部の兼平 舞美氏。「当社は不動産総合サービス業を展開していますが、特にビルメンテナンス部門の清掃スタッフの採用は難しい傾向があります。加えて、最近は福利厚生の充実度に関心が高い求職者も多くなったので、特に若手従業員を確保するためにも、常に様々な改善活動を続けています。その小さな積み重ねが働き方改革実践企業として認定された結果だと思います」と続ける。


取組導入のプロセス ~生産性向上への取り組み

以前は出勤表も残業申請も手書きするというアナログな勤怠管理だったが、タイムレコーダーを導入し、就業時間を正確に見える化した。また、残業する場合は、社内イントラネットを通じて申請する「事前承認・申請ルール」へと変更し、管理を徹底している。申請があると上長が内容を精査して、残業の必要性を判断することにより、業務の進捗状況の把握や無駄な残業の削減につながっている。
業務効率の改善に対しては、全グループの本社従業員が集まる会議の中で、各部署のメンバーで構成されたグループで意見を出し合い、日々の小さなことから出来ることを検討している。具体的な改善案につながるだけではなく、時間の使い方を考える癖が付くことで、業務の効率化や各部署間の相互理解が進むことを期待している。


主な取組と工夫点 ~自動化・効率化と合わせて活躍の場の創出

ロボットを導入して業務の自動化や効率化を促進

慢性的な人手不足と長時間労働を解消するため、「業務フローを変更できないか」「ロボットを導入できないか」など、生産性向上に積極的に取り組んでいる。特にRPA(Robotic Process Automation)については、部署横断プロジェクトチームを結成し、作業フローの中で「どういう所でロボットを使えるか」を整理し、ロボットの活用研究を行っている。既にマニュアル等は作成ソフトを導入し、定型的な表の集計作業や資料の回覧などは自動化されている。現場作業においても、清掃ロボットの検証チームを結成して、導入のための機器の選定や活用場所などを検討している最中だ。

人事制度の改定により、異動の有無を含めたキャリアプランの選択が可能に

職制は、異動、出向があり、業務範囲を限定しない総合職社員、異動、出向がなく専門的な定型業務に従事する専門職社員、パート社員に分かれている。2017年に人事制度を改定し、職務やキャリアプランを再定義・明文化した。
その際、全従業員にアンケートを採り、職制の変更や異動を希望する従業員には上長が面接を行い、従業員の希望に応じたキャリアプランの選択を可能にした。これにより、一人一人の仕事範囲や裁量が明確になるとともに共有され、チームワークも高まった。自らの昇給や役職への挑戦など、仕事に対する意欲も強くなったという。

新入社員は1カ月に1回、2年目以降は4カ月に1回「社長勉強会」を実施

新卒入社1年目の従業員を対象に、社長と一緒に昼食を取りながらの「社長勉強会」を毎月実施している。社長の考えを聞いたり、お互いに協議したりすることで、会社の方針や将来像を理解してもらう機会になっている。新入社員以外には、正社員約200名が20グループに分かれて、4カ月に1回、「社長勉強会」を開催している。社会情勢や国内情勢、業界のトレンドなどについて、社長と意見を交換しながら学ぶ場となっている。
「こんなに頻繁に、社長と話ができる会社は他にはないと思います。入社後、強いインパクトを受けました」と、業務管理本部係長の田原氏はいう。

「資格祝金制度」を用意し、資格取得などの自己啓発支援を積極的に行う

従業員の生産性向上のために、業務に関する技術や知識を学ぶための研修を実施している。さらに資格取得や語学学習、外部研修等の自己開発の支援も積極的に行っている。定められた資格を取得すると、会社から祝金が支給される「資格祝金制度」もあり、従業員のモチベーションアップにつながっている。
「この制度を利用して、宅地建物取引業主任と管理業務主任者、電気工事士、消防設備士など、多数の資格を取りました」と田原氏。

育児時短勤務は小学校卒業まで拡大し、高齢者の年齢上限のない雇用制度を実施

育児における短時間勤務の対象を、小学校卒業までの子どもを持つ従業員に拡大した。個々の状況に応じて最大2時間の短縮が可能である。男性の育児休暇の取得にも積極的で、配偶者が出産した男性従業員に、特別休暇(有給)の利用を促している。
定年退職の年齢を62歳から65歳へと引き上げ、更に働く意欲のある高齢者は年齢に上限のない継続雇用制度を採用するなど、世代を問わず活躍できる場を用意している。


取組の成果

4月は一番の繁忙期だが、平均残業時間が、2017年の11.59時間から、2018年は9.68時間に削減できた。2018年4月より年間休日を106日から110日に増やすなど環境整備も着々と進めている。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率 54.1%

高齢者

・年齢の上限がない継続雇用制度を318名が利用


従業員からの評価

「子どもの急な体調不良時には、共働きの妻が突発的に休みにくいこともあり、私が率先して休みを取ります。会社や部署の雰囲気が、育児にすごく協力的なので助かっています。妻も『おかげで仕事が続けられる』と、とても喜んでいます。育児に積極的な男性従業員が多く、パパ友と子どもの話をすることも多いですね。クリスマス家族会や平和マラソンなど、家族で参加できるイベントも多く、毎回、楽しく参加しています」と田原氏。
「最初は専門職で入社したのですが、自分のキャリアを考え、総合職社員へ転換しました。従業員のキャリア希望や状況を聞いて、できる限りかなえてもらえる制度が用意されていることが、この会社の一番の良さだと思います」と兼平氏。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標

「今後も働きやすい環境を整備するために、できるところからこつこつと改善していきたいです。有給休暇は取って当たり前の制度ですが、人手不足の中でどうやったらもっと取得できるようになるか、人員配置の見直しや適正化を行い、一人担当業務の解消や多能工化、ロボット導入などを進めて、休みやすい仕組みを構築すると共に、意識改革に取り組んでいきたいです」と兼平氏は語る。
「今、トレハン(トレジャーハンティング)事業部という新しい事業を立ち上げ、働く意欲のある高齢者の方と企業をマッチングする人材紹介サービスを始めています。引き続き、長く働ける環境づくりに取り組んでいきたいと考えています」と、田原氏は今後の抱負を話してくれた。

取材日 2018年10月