働き方改革優良事例

残業の申請と評価方法の変更で、
従業員の働き方への意識が変化

株式会社芝通

  • サービス産業
  • 西部
  • 1〜30
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 時間・場所等の多様な働き方
認定マーク
所在地 〒730-0856 広島市中区河原町10-5
URL http://www.tsbt.co.jp/
業務内容 防災情報通信システムの設計・施工管理・保守管理
従業員数 18名(男性16名、女性2名)

(2018年6月現在)

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  • 残業の自己申告制を見直し、事前承認制も導入
  • 仕事の効率性を決算賞与に反映
  • 従業員の残業時間を月ごとに社内で公表
  • 若者の雇用促進法に基づく厚生労働省の「ユースエール」に認定

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取り組んだ背景とは? ~残業時間削減が長年の課題

設立から43年、電気通信工事業・電気工事業などの受注工事を事業の核としてきた同社。年度末などは工事が重なり、どうしても時間外労働が多くなるという課題を抱えていたため、もともと残業時間削減への意識は高かった。そんな折、ハローワークに提出した求人票を労働局の方が見て「ユースエール(若者の人材採用・育成に積極的で、雇用管理などが優良な中小企業を認定する制度)に該当するかもしれません。残業時間削減・有給休暇取得の取組をもっと進めてください」とアドバイスされた。
「過剰な労働時間が問題視される時代ですから、当社でも改革に本気で取り組んでみようと思ったのです」と代表取締役の中尾氏は振り返る。


取組導入のプロセス ~トップの取組意欲が要に

同社が掲げたスローガンは、「働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備を行い、わくわくと働ける芝通」。中尾氏と営業技術部部長の末田さんが中心となって、従業員に働き方改革への取組の周知を図った。2016年にユースエールを取得し、現在は「2019年4月までにワークライフバランス週間(月の最終週)の残業時間を15時間以下にする」と目標を掲げている。「労働時間に過大な負担が掛かる、ハードな依頼は思い切って断る選択肢もある」という中尾氏の強いメッセージのもと、取組を進めている。


主な取組と工夫点 ~「残業を減らす」という意識付けを図る

残業事前承認制度も導入

同社の従業員は工事や補修の対応などで、営業所以外で就業することが多く、残業時間の報告を自己申告制にしていたが、新たに「事前承認制」も追加で導入。定時退社の2時間前に、上司に残業する理由や作業内容を申請する。上司が「今日行うべき業務かどうか」を判断し、承認しなければ残業できない。従業員自身も仕事の効率を考えながら、本当にその残業が必要かどうか、意識を変えるきっかけになっている。

労働の評価方法を変更

従業員の長時間労働に対する意識を変えるため、2010年から、これまでの粗利益だけで評価する方法から、より効率良く働いた従業員に決算賞与を多く支払う評価方法に変更。これにより、生活給となっていた残業時間は減少した。「こうした取組から残業する従業員が以前より減りました。社内での不平・不満の声も、聞かなくなったと感じます」と中尾氏は話す。

残業時間の公表

1カ月の残業時間を、従業員なら誰でもエクセル上で確認できるシステムを導入。各部門で長時間働いているのが誰かを簡単にチェックできるため、「どうしてこんなに時間がかかるのか?」と各々が考えるようになり、自然な流れで「忙しい時は助け合おう」という社風が築かれはじめている。

有給休暇取得の呼び掛け

仕事の性質上、年末年始なども出勤する従業員が多いため、有給休暇取得の呼び掛けを積極的に行っている。
「担当案件が各従業員で異なるので、スケジュール管理は個々に任せています。スケジュールを調整しながら、この日は急ぎの仕事がないと分かれば、有休を申請してしっかりリフレッシュしてほしいです。せっかくの制度を使わないのはもったいないですから」と営業技術部の末田さんは話す。
結果的に年間休日107~109日に加えて、1人の従業員が平均18日の有給休暇を取得している。

モバイルワークの導入

同時進行で複数の工事が進む同社では、現場ごとに1台ずつPCを配布。現場の担当者は空き時間・休憩などを利用してメール確認などを行っている。モバイルワーク導入以来、外部での業務が終了した後、営業所に戻って事務作業を行う必要がなくなったため、直帰も可能になった。合わせて朝も現場に直行可能というルールを制定した。


取組の成果

同社では年1回、職場意識調査(アンケート)を実施しており、既に30年以上の歴史がある。従来より定期的に実施するアンケート結果を公表し、上がってきた課題について従業員同士で解決方法を話し合う場を設けており、「一人一人が独立した視点で物事を考えるようになり、経営者感覚が身に付いてきているように思います」と中尾氏は話す。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均) 185.9時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数 18.1日

多様な働き方(直近3年間)

・現場や移動中などのモバイルワークを5人が実施


従業員・外部からの評価

「残業時間を減らす」という取組を主軸に、働き方改革を本格化した結果、従業員からは「定時に退社することに前ほど抵抗がなくなりました」という声や、「なるべく残業しないようにと考えるので、効率的に働くようになり、自分が負担できない分の業務を、他の従業員に頼みやすくなりました」という声が寄せられている。


取組上の課題や今後の目標など

目標として掲げている、「2019年4月までにワークライフバランス週間の残業時間を15時間以下にする」を達成できるように、残りの半年間でさまざまな労働条件の整備を行っていく。
「改善を繰り返していくことが、従業員の仕事への満足度アップにもつながるはずです。当社の業務は『やり遂げた』という大きな達成感と誇りが得られる仕事です。例えば、国道、河川、ダムなどの防災情報通信設備は、次の更新時期まで15年間ずっと自分の目で確認することができます。そんなこだわりを持てる仕事を尊重するためにも、働きやすさへの整備を継続していかなければと思っています」と、中尾氏は今後の意気込みを語った。

取材日 2018年9月