働き方改革優良事例

トップと従業員が思いを共有し、
戸惑いの中から少しずつ意識を醸成

株式会社エル・コ

  • 製造業
  • 西部
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒733-0833 広島県広島市西区商工センター7丁目5-17
URL http://www.l-co.co.jp/
業務内容 印刷事業、週刊「西広島タイムス」発行
従業員数 39名(男性24名、女性15名)

(2018年6月現在)

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  • 社長の号令のもと時間外労働の削減に取り組む
  • 社内のメッセージメールで、意識改革を促す
  • 社内アンケートやヒアリングで対応を検討
  • 意見を言いやすい雰囲気づくりでモチベーションもアップ
  • 短時間正社員制度、時間単位年休など柔軟な働き方の導入

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取り組んだ背景とは? ~従業員を疲弊から守るために

創業以来、印刷事業を中心に、地域密着型フリーペーパー「週刊西広島タイムス」の発行を行っている同社。「当社の企業理念は、『個人の成長と幸せのために働こう!』『メンバー全員で考えてエル・コをつくる!』『win-win-winの精神で地域に貢献する!』です。先代から代表を引き継いだ2014年頃から、この理念に基づき本格的な改革に取り組みました」と語るのは、代表取締役の沖野直子氏。二児の子育てをしながらのアルバイトの就業経験があり、子育て・プライベートと仕事の両立に、自身も苦労した経験がある。「これまでの働き方だと従業員が疲弊してしまい、幸せになれない」と危機感を持ち、まずはできるところから始めようと取組に着手した。


取組導入のプロセス ~“できない”を工夫で変える

有給休暇の取得を2019年3月末までに、年間で2日増やすことを目標に掲げた。そのため、従業員へのアンケートや個別ヒアリングを実施し、さらに各部署から、部署を超えて管理職と部下が意見交換する場も設けて、現状把握に努めた。
残業を抑制するために深夜残業を禁止し、残業時間が多い・休暇取得の少ない従業員に対するヒアリングを行い、上司である管理職への指導を行った。
「取組を進めるに当たり、部署によっては、休暇や残業削減を急に実施するのは難しいところもありました。特に営業担当には『仕事があるのだから、そう簡単には休めない』と言われました。そうは言っても印刷前の締め切り日は残業をしても、それ以外の日は定時で帰るようにしたり、隔週で休めるようにしたりと、各自・各部署が意識して工夫するようになり、少しずつメリハリを付けられるようになっていきました」と沖野氏。


主な取組と工夫点 ~積極的な意識を育むように社内の空気を変える

「取組を行うに当たり、それほど苦労を感じることもなく、自然な流れで改革を進めることができた」と沖野氏。というのも、取組に対しては次のような工夫を行ってきたからだ。

「エル・コ ニュース」の発信で、トップの思いを共有

沖野氏が就任する前までは、トップダウンで全て行っていた。そこで、こうした社内風土を変え、従業員全員で考えて、思いを共有しながら進めていきたいと、まずトップから従業員へのメッセージメール「エル・コ ニュース」の発信を始めた。このメールは沖野氏の働き方に対する考えをはじめ、参加した勉強会や講演会のフィードバック、共有内容を踏まえた宿題など多岐にわたり、従業員に制度や取組への理解を促そうとするものだ。
「当初は社内に戸惑いがありました。メールに対してあまりリアクションもなく、スルーされることもありましたが、続けるうちに意見や感想を述べる者や宿題の提出率も上がり、従業員の意識も変化していきました。社内で、思いのベクトルを合わせることにもつながったと思います」と沖野氏は語る。

意見をくみ上げながら改善を実施

トップと従業員が半期に一度面談を行い、意見交換を行うことで、会社と従業員での意思疎通を図っている。取組や制度については、社員アンケートを実施することで、不満や要望の把握に努めながら対応を検討。例えば、長くなりがちな会議は、目的を明確にして、参集範囲と所要時間を見直すことで、短縮を図っている。さらに労働環境の改善に向けて、担当者を決めてメンタル相談窓口も設置した。

社内の雰囲気づくりと意識の変化

月曜と金曜の週2回行っていた朝礼を月曜のみに変更し、一方であいさつの声出しやストレッチ運動を取り入れて、社内の雰囲気づくりを行っている。朝礼やミーティングでは、他社の働き方改革の取組を紹介し、自分たちのこととして意識するように促している。社内ミーティングは、意見が言いやすくなり、モチベーションが上がったという。さらにコミュニケーションを活発にするために、印刷団地祭り、夏の懇親会、忘年会など社内の親睦を図る行事を積極的に行い、社内の部署を超えたコミュニケーションのきっかけづくりにつなげている。

育児や家庭と仕事の両立を支援

時間単位での休暇制度を取り入れ、参観日などの学校行事を理由とした休暇を取得しやすくした。短時間正社員制度や、疾病の治療や通院のための休暇制度、希望する部署への異動など、柔軟な働き方に対応することで、個人の事情に合わせながら家庭と仕事の両立を支援している。


取組の成果

トップから従業員に対し働き方の意識改革を促していったことで、従業員一人一人が、仕事を抱え込まず、無理せず協力できるフォロー体制の構築につながっている。従業員同士がお互いの状況を意識し合うことで、休日が取りやすく、仕事と家庭の両立がしやすくなっているという。
柔軟な働き方の導入を推進し、子育て世代の活躍にも力を入れていることについて、「子育て中の女性従業員でも積極的に発言し、社内ミーティングでも意見が言いやすくなり、行動できるようになりました。そのことにより、彼女たちがやりがいを持てるようになったのではないでしょうか」と沖野氏は手応えを感じている。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の所定外労働時間(1カ月平均)7時間削減(前年度比)
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数は6.7日

人材の定着(直近1年間)

・常用雇用者の離職率は2.5ポイント低下(前年度比)


従業員および取引先などの反響

西広島タイムス事業部企画営業部の川西さんは、次のように話す。 「社長が何を目指しているのか従業員からも見える、風通しのいい職場だと思います。子どもが3人いることもあり、面接時に働き方について社長に相談したところ、土日の休み以外に平日に一日休みをもらうという条件で採用してもらえました。自分が休んでも問題がないよう業務を進めるのが大前提ですが、突発的な休みを取ることがあっても、嫌な顔をする人はいません。仕事量についても、会社から配慮してもらっていると思います。社長に気さくに相談ができ意見が言い合える雰囲気が、働きやすさにつながっていると思います」
「社長からのメッセージメール『エル・コ ニュース』で、宿題が出ることがありますが、毎回考えさせられる内容で仕事に生かせるものもあるため、前向きに取り組んでいます」と、西広島タイムス事業部編集部山縣さん。山縣さんは、正社員として働く、子育て世代である。「自分の業務のスケジュール管理はもちろん大切ですが、どうしても先方の都合で夕方からの取材が入ることもあります。そういった場合は他の編集スタッフが『帰る時間が遅くなってしまうから、代わりに行くよ』と快く声を掛けてくれるので、とても助かっています。反対に、私も自分ができることは率先してするよう心掛けています」
取引先からは、会社訪問時などに「会社の雰囲気が明るくなった」「従業員さんがイキイキとしている」などの声をいただいているという。


現在の課題や今後の目標など

「どうしても仕事を抱えてしまう従業員がいますので、休暇を増やしたいです。そのためには自分の部署や業務だけでなく、他業務も勉強して協力し合い、しっかりと休暇を取れるように変えていきたいです」と沖野氏。普段から、業務の共有化の大切さを伝えるように意識しているという。最後に今後の目標を語ってくれた。
「今後は、従業員も高齢化していきます。そして働き方も、もっと柔軟性を求められます。家族の介護や妊娠中・出産後の女性従業員の健康の確保などについても、相談や支援の体制を充実させ、男性の子育てを目的とした休暇の促進など、仕事と家庭の両立を支援するための環境整備にさらに努めていきたいです」

取材日2018年9月