働き方改革優良事例

トップの強い思いが取組の原動力に!
働きやすい職場づくりで若手の定着を実現

向島ドック株式会社

  • 製造業
  • 東部
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒722-8605 広島県尾道市向島町864-1
URL http://www.dock.co.jp/
業務内容 各種船舶の改造・修理、内航海運、マリーナ
従業員数 181名(男性171名、女性10名)

(2018年7月現在)

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  • トップの強い意志のもと「全休日(日曜日)」の導入を断行
  • 隔週土曜休日から、段階的に土曜日の「全休」を目指す
  • 生産性向上を人事考課項目に追加し、業務改善意識の定着・促進を図る
  • 新人の成長をサポートするブラザー制度を導入
  • 若年者の離職率がピーク時から50%減少

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取り組んだ背景とは? ~気兼ねなく休める会社にしたいというトップの思い

船舶修繕業界では、いまだに土日出勤が多く、休日勤務が常態化している。そんな中、同社では「全休日」の導入など、働き方に関わる独自の改善活動を行ってきた。
取締役である佐藤卓也氏が、同社の取組に対するトップの思いを教えてくれた。
「実は当社の取組には、これまで業界を見つめてきた社長の思いが込められています。30年ほど前、社長の同僚が休日出勤の合間をぬって、子どもの小学校最後の運動会に参加したところ、学校に着いた時にはすでに運動会は終わっていたそうです。その話を聞いて社長は、自分たちは子どもの運動会にも行けない会社で働いているのかとショックを受け、自身が社長に就任された時、従業員が気兼ねなく休みを取って、子どもの学校行事に参加できる会社にしたいと思ったそうです」
同社の取組は、このようなトップの思いから始まったという。


取組導入のプロセス ~トップの言葉で全従業員へ発信

社長から全従業に向けて「生産性向上により、残業時間と休日出勤を削減し、働きやすい職場環境を実現しよう。また、利益増加により、業績と連動する賞与の分配額も増やしていこう」というメッセージを発信。朝礼等でも度々このメッセージを伝えることで、働き方改革に対する従業員の意欲の維持向上に努めているという。


主な取組と工夫点 ~「全休日」の導入が大きな転機に

「全休日」の導入、「隔週土曜休日」のスタート

同社にとって大きな転機となり、現在に至る改革の流れを作り出したのは、日曜日を原則出勤禁止とする「全休日」の導入だった。2005年に導入を行うと宣言した当初は、取引先や同社営業と製造の両部長からの反発もあったが、トップの強い意志のもとに断行したという。導入直後は「全休日以外の日にしわ寄せで深夜残業が発生することもありました」と語る人事担当マネージャーの九十九氏。しかし、それも製造部門の細かな改善の積み重ねや、営業部門による無理のない納期の設定等により次第に解消していった。導入から10年以上が経過し、制度が社内外に認知され、理解を得られるようになったため、現在は新たな目標として、完全週休2日制(土曜日の全休)の実現を掲げている。2018年度からは、目標の実現に向け、2班制のシフト勤務を導入。まずは隔週土曜休日からスタートし、段階を踏みながら、完全週休2日制への移行を目指している。

人事考課の評価項目に生産性向上に関する項目を追加

完全週休2日制の実現に向けた取組の一環として、管理職本人とその部下の生産性向上に関する取組を、管理職の人事考課項目に設定。一般従業員についても、労働時間短縮や時間当たりの生産性向上についての貢献を、人事考課で評価する仕組みを整えるなどして、従業員の中に生産性向上に対する意識が定着するよう工夫している。

休暇取得の促進

年次有給休暇の半日単位での取得を可能にしたほか、管理職から部下に対して、年次有給休暇の積極的な取得を促すことで、休暇を取得しやすいようにしている。

掲示物やPCを用いた実績の“見える化”

時間外労働の月次累計グラフ(日々の積上グラフ)や、週単位での累計表示を記した紙面を、全従業員の目に触れる場所に掲示。休暇取得状況についても、PCで確認できるようにするなど、時間外労働や休暇取得の状況を「見える化」することで、従業員に意識してもらえるようにしている。

ブラザー制度の導入

社会人としての悩みや、業務についての分からないことなど、何でも気軽に相談できるように、入社3年以内の従業員を指導役に任命し、マンツーマンで新人を指導。若手の成長を促すとともに、定着率の向上を図っている。

仕事と育児の両立支援

一定の年収以下の若手社員の子育てをサポートする育児費用補助制度の導入や、男性の育児休暇取得の奨励などにより、仕事と育児を両立しやすい職場環境づくりに努めている。


取組の中では課題も

以前に比べると、生産性向上に対する意識は広がったが、それでも「従来のやり方が変えられない」という従業員も中にはいる。そこで同社では、社内報などを通じて啓発を行うほか、生産現場の従業員一人一人と話し合う機会を設けることで、従業員の意識改革を進めている。一方的な押し付けだけでは、従業員の理解や納得感を得られず、取組が形骸化してしまうからだ。こうした地味で根気強い活動が、同社の取組の土台となっている。


取組の成果

「成果として最も手応えを感じている部分は、若年層の定着率が大きく改善されたことですね」と佐藤氏。
若者の離職率は、ピーク時から50%も減少した。「全休日」の導入や、年次有給休暇の取得率増加(約20%増)など、休暇を取得しやすい環境の整備や、ブラザー制度などの悩みを相談しやすい体制づくりの成果が、若年者の離職防止に大きく貢献したという。

若年者の離職率(直近3年間)

・正社員として就職した新卒者等のうち、離職した者の割合は11.8%


従業員からの評価

支援グループ従業員の灰谷さんは、同社の取組の成果について次のように語る。
「以前は属人的な業務が多かったのですが、マニュアルの整備などにより、ワークシェアを進めたおかげで、気兼ねなく休めるようになりました。また、ワークシェアをきっかけに、部署内のさまざまな業務に触れるようになり、広く業務への理解も深まりました。その結果、以前よりも会社の全体像が見えるようになり、自然と互いを思いやる気持ちも生まれ、仕事がスムーズに進むようになったと感じています」


今後の取組および目標

当面の大きな目標は、完全週休2日制の実現。これに向け、これまでの取組をさらに進化・発展させながら、取組を続けていくという。

取材日 2018年9月