働き方改革優良事例

ITツールを活用した業務効率化で、
労働時間を短縮し在宅ワークも実現

株式会社サンエイ

  • 卸売業・小売業
  • 福山市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒721-0966 広島県福山市手城町2丁目1番19号
URL https://sun-a.jp/
業務内容 ICT活用の業務改善の支援、OA機器販売
従業員数 27名(男性19名、女性8名)

(2018年6月現在)

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  • ペーパーレス化・伝票の電子化による無駄の削減と効率化
  • 社内ツールを活用した見える化で業務を効率化
  • 思い切った業務形態の見直しで、作業時間を短縮
  • 柔軟な働き方を支援する「在宅ワーク」「短時間勤務制度」の導入

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取り組んだ背景とは? ~クラウドサービスを活用し、新しい働き方へ

OA機器販売やICTソリューションの提案などを事業柱とする同社では、2017年にオフィス環境のあらゆる困りごとを解決する「サンエイ・オフィスクリニック」を新たに開設した。企業を対象に、セキュリティ診療やPCネットワーク診療などのサービスを提供している。顧客に先駆けて業務改善に取り組んでおり、ペーパーレス化やフリーアドレス化の有効性に早くから着目し、2013年頃には営業職の全員にiPadを支給している。
そうした中、2016年に参加した業界セミナーで「クラウドサービスの多様性と進化の速さ」の重要性を認識した代表取締役の武田聡樹氏が、今後の社会変化を見据えて働き方改革に本格的に取り組むことを決心。「1日でも早く改革を進めて、顧客に成果を発信したいと思いました。先進的に取り組んでいくことは、会社を成長させる投資につながると確信していました。当時は新卒の採用難に陥った時でしたので、新しい取組は学生の心にも響くと思ったのです」と振り返る。


取組導入のプロセス ~ペーパーレス化をベースにトップと現場が連携

ネットワークセキュリティーの専門企業である同社の強みを生かし、ICTを積極的に活用することで柔軟な働き方に取り組んだ。そのベースとなっているのが、“ペーパーレス化”の再徹底である。現在、職場は完全フリーアドレス化され、社内SNSの活用による会議の効率化、テレワーク・モバイルワーク導入など、トップと現場が連携しながら改善を行ってきた。


主な取組と工夫点 ~取引先への理解や、新しいツールの活用で業務を改善

伝票の電子化による大幅な作業時間の削減

かつては文具等の主な仕入先だけで、紙の伝票が月に約7,500枚もあり、これら全てを販売管理システムにデータ変換する作業にかなりの時間を要していた。さらに入力時のミスによる手戻りなど、業務の無駄も生じていたため、伝票類を電子化し整理した。対応可能な仕入先から順次、電子データの伝票に変更してもらい、販売管理システムにそのまま落とし込む方式へ移行した。その結果、入力作業およびチェック作業が軽減でき、事務部門の労働時間の短縮につながった。

ツールを活用した情報共有による効率化

効率的な情報共有のため、社内SNSツールを導入した。連絡や相談の電話による長時間の作業中断や伝達ミスが削減され、気軽に連絡を取ることが可能になった。さらには、会議資料を事前に共有することで時間を短縮でき、報告のみの会議も削減できた。その他にも、時間帯ごとに従業員のスケジュールを見える化する「タイムテーブル(集中タイム・ウェルカムタイムなど)」を導入した。これらの取組が、業務の効率化、定時退社の実現に大きく寄与し、多くの従業員から好評を得ている。

柔軟な働き方のための「在宅ワーク」「短時間勤務制度」

在宅ワークの実現に向けて、まず2017年に、従業員1人1回ずつ在宅ワークを体験するトライアルを実施した。子どもの体調不良など急な休みの場合にも利用できることから、特に子育て中の従業員の満足度が高かった。在宅ワーク定着のための社内ルールを策定し、実践の中で改善に取り組んでいる。
在宅ワークに関しては、当初、事務部門から反対意見が出たという。研究開発部事務チームの佐々木さんは、「当社はオフィス文具の通販を長く行ってきたので、問い合わせや注文対応、配達手配がとにかく大変でした。こんな状態で在宅ワークができるわけがないと、初めは大反発が起きていました」と振り返る。これを受けて、今までの業務形態を見直し、通販に関してはカタログ1本に絞り、全ての配達を廃止することを武田氏が宣言。取引先に対して1社ずつ丁寧に説明し、理解を促した。これにより、1カ月当たり約100本の注文電話の対応など、作業時間が大幅に削減された。
さらに育児との両立を支援するために、小学校入学までの子どものいる従業員を対象に、5・6・7時間から選択できる短時間勤務制度を導入するなど、柔軟な働き方に向けた制度を構築している。


取組の成果 ~ITの活用で両立できる職場

トップと現場が連携して取組を進めた結果、柔軟な働き方の実現につながっている他、目標としていた時間外労働の削減や有給休暇の取得日数増も、成果として現れているという。
「会社として何をお客さまに提供するのか、業務の無駄をなくしていくことから、その先の会社の戦略が生まれてくると思います」と武田氏は語る。一連の取組が評価され、「広島県働き方改革実践企業」の他にも、「ふくやまワーク・ライフ・バランス」にも認定されている。さらに同社の在宅ワークは、その取組が認められ、総務省主催の平成30年度「テレワーク先駆者百選」に広島県で初めて選ばれた。こうした評価により、広く社会に周知され企業価値がアップし、採用等でも良い影響をもたらすことを期待している。

労働時間・休暇(直近6カ月)

・常用雇用者の所定外労働時間の月平均 約7時間削減/人(対前年度比)
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数 0.7日増加/人(対前年度比)

育児(直近3年間)

・出産した女性従業員の育児休業取得率 100%
・男性の育児休暇制度の利用者 1人


従業員や外部からの反響

女性従業員からは、「短時間勤務制度だけでなく、子どもの都合などで出社できない時に利用できる在宅ワークが選択肢に増えて、便利になりました」という声が上がっている。
在宅ワークトライアル第1号であった佐々木さんは、「今まではできないと思っていた在宅ワークですが、体験した翌日には『続けたい』と思ったんです。自分でもびっくりですが、想像以上に集中して仕事ができるし、私が家にいることで子どもも大喜びでした」という。研究開発部の田村さんは、社内SNSツールの活用について、「共有したい情報をその場ですぐ発信できますので、次の会議で発表しようと思いつつ忘れてしまうということが減りました」と語る。
同社では「多くの方にサンエイの働き方改革に共感してもらい、その日から取り組めるアイデアや工夫を見つけてほしい」との思いから、2018年よりオフィス見学会を開催しているが、これまでに60社の来訪があり、反響も上々である。


今後の目標

今後も継続して従業員の働き方を見直し、育児休業の取得促進など、子育て支援等の施策もさらに進めていくという。産休・育休においては、専用の面談シート等の活用により、スムーズな引き継ぎや復帰サポートなどの体制を強化し、休んでも職場復帰しやすい環境を整備していく。在宅ワークにおいては、業務内容や対象について検討・試行し、課題を分析しながらさらなる制度定着につなげる。これらの取組や制度内容等について、社内での従業員への周知や諸制度の研修にも力を入れていく。
「深刻化する人手不足の中で、どうやって生産性を上げていくのか。今後急速に発展するIT技術の活用へ集中的に取り組んで、自社の価値も高めていきたい」と武田氏は締めくくった。

取材日 2018年9月