働き方改革優良事例

従業員の提案による制度の導入や、
生産性向上の改善など、ボトムアップの取組を推進

太陽工業株式会社

  • 運輸業・郵便業
  • 広島市
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 730-0835 広島県広島市中区江波南2丁目15番17号
URL http://www.the-taiyo.com/
業務内容 運送、製造、鋼材販売、鉄・非鉄のリサイクル事業
従業員数 108名(男性94名、女性14名)※広島地区のみ

(2018年6月現在)

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  • 一人の従業員の要望から生まれた「時間単位有給休暇制度」
  • 計画表の提出で有給休暇の取得を促進
  • 従業員が議長となる全体会議でボトムアップの風土づくり
  • 全従業員を対象にした独自の活動により、業務改善提案を募集
  • 従業員のキャリア形成や健康管理を支援する自己申告制度を実施

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取り組んだ背景とは? ~自社の取組を従業員に再認識してもらうために

長年の事業活動の中で、生産性の向上やコスト削減、提案活動などを行ってきた同社。有給休暇や残業削減についても、育児や介護などそれぞれの事案に応じて、随時取り組んできた。
代表取締役の永吉伸光氏は、広島県働き方改革実践企業の認定を受けたことについて次のように語る。
「今回、働き方改革の認定を受けることによって、社内に対して当社の取組を発信・アピールし、従業員に再認識してもらいたいという思いがありました。これまでも制度の運用面では柔軟に対応していたつもりですが、やはり従業員には遠慮があったかもしれません。制度を『遠慮なく使える』という環境を整備しようということであり、今後はもう少しスピードアップして取組を進めていくという意思表示でもあります」


主な取組と工夫点 ~時間単位有給休暇制度の確立とボトムアップの風土づくり

一人の従業員の要望から生まれた「時間単位有給休暇制度」

2017年の年末に、一人の従業員から社長へ「より使いやすい、時間単位で使える有給休暇制度がほしい」というメールが届いた。2018年1月、全従業員を対象に行われた「全体会議」でその意見が採り上げられ、時間単位有給休暇制度の導入が決定された。その後、総務部で規定を整備して、4月1日から運用を開始した。
運用後すぐに、提案した従業員から社長あてにお礼のメールが届いたという。導入後は、子どもの送り迎えや通院などで従業員の使用頻度は高く、有給休暇取得の意識付けにもつながっている。

全従業員が年次有給休暇取得計画表を作成し、取得を推奨

これまで有給休暇の取得には、個人や業務によってばらつきがあった。そこで従業員が安心して休暇を取れるよう、全従業員に1年間の有給休暇取得計画表を配り、最低5日間の休暇予定日を記入して提出してもらうようにした。希望日が重なった場合は管理職が調整するが、「事前に、この日は記念日休暇や学校行事などと言っておいてもらえば、優先的に配慮します。管理職には調整するための能力が必要とされるので、従業員とのコミュニケーションも活発になっています」と企画総務部執行役員部長の廣澤吉世氏は言う。計画表の作成により、有給休暇を取りやすい雰囲気が醸成され、取得率も向上した。

従業員が議長となる全体会議でボトムアップの風土づくり

前述の全体会議は、年2回開催される。従業員の中から議長を2人決め、議長が会議のテーマを考え、そのテーマに沿って会議を進めていく。全体会議には、福岡や仙台からも従業員が集まり、全従業員の半数以上が出席する。
「毎回、議長は替わり、準備には2カ月以上かけます。議長になったことにより、『自ら考え、アイデアを出し、実現する』ことから生まれる達成感や自己肯定感を得てほしいです」と、廣澤氏は期待を寄せる。
永吉氏も「ボトムアップ型の組織にしていき、働き方を変えることで、従業員一人一人が自分の幸せにつながることに気付き、真に仕事の面白さを感じ続けられることを目指しています」と続ける。

全社員を対象にしたTKB活動により業務改善提案を募集

2000年5月からスタートしたTKB活動(太陽:T、改善:K、銀行・バンク:Bの略)は、業務改善や会社への要望を提案する場だ。主なテーマは時間短縮、経費削減、安全衛生、環境整備で、各部署のリーダー(支店長)を中心に、全従業員が提案を持ち寄り、優秀な提案には賞金が用意されている。年々提出件数が増え、昨年は年間600件程度の提出があった。
「これもボトムアップ教育の一つです。従業員も、提案をするためには業務を見直さなければいけませんし、支店長は取りまとめるための力が必要とされます。それもいい経験となるはずです」と永吉氏。
2017年に最高レベルの「太陽賞」を受賞した製造部生産技術課の竹本さんは「作業を早く簡単にできる仕組みを改善して、太陽賞をいただきました。全体会議で発表して、賞金で仕事仲間と祝杯を挙げました」とほほ笑む。

従業員のキャリア形成を支援する自己申告制度を実施

健康状態やライフプランと合わせて、従業員の主体的なキャリア形成を図ることを目的とした「自己申告制度」を実施。「強制的に出しなさいというものではなく、いつでも自由に出せるように、社内LANの中に書式を用意しています。従業員の意見を吸い上げる道具の一つですね」と廣澤氏。従業員の業務や職業生活に関する意見を聞き、配置転換や能力開発などに反映する仕組みを構築している。


取組の中で苦労したこと

「私を含めて、管理職の考え方を変える必要がありました。管理職が考え方を一つにしておかないと、従業員の改善意欲も起きません。『言ってもどうせ変わらない、だから提案するのをやめよう』と従業員が思うのが一番問題ですので、いろいろな場で従業員の率直な意見を吸い上げて、できるところから少しずつやっていきたいと思っています」と永吉氏。


取組の成果

「限られた時間内に仕事を終わらせ、定時退社しよう」という意識が従業員に強まり、残業時間の削減につながっている。時間単位有給休暇制度や取得計画表作成により、有給休暇を取得しやすい雰囲気が醸成され、有給休暇取得率は対前年比約4%向上した。今年度の取得率はさらに上がり、60%以上になりそうだという。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均) 163.0時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率 59.0%、平均取得日数 10.3日


従業員からの評価

「時間単位有給休暇は通院に使えて便利です。仕事をしながら、母親の介護のために有給休暇を使って、病院に連れて行ったり施設を探したりできるのも助かっています」と竹本さん。
「早く帰れた時間で、第1種衛生管理者の資格試験の勉強をしています。有給休暇を使ってカープ観戦にも行きました。妻も私が子どもの面倒を見てくれると喜んでいます」と、企画総務部主任の中泉さんも話す。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標

「休みを増やし、残業時間を減らした分の時間を何に使うかです。遊ぶ時には遊び、自分の能力を高めるための勉強にも使ってほしいです。人を育てる文化をどうつくっていくかが、今後の課題だと思います」と廣澤氏。
「新しい能力の開発も必要ですが、潜在能力を引き出すことも大切になってくるでしょう。そのための場づくりが私たちの使命だと考えています。トライ&エラーで少しずつ解決していきたいですね」と、永吉氏は締めくくった。

取材日 2018年10月