働き方改革優良事例

従業員の生の声を吸い上げ地道に改善し
休暇を取りやすい組織風土を形成

福山電業株式会社

  • 建設業
  • 東部
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒720-0808 広島県福山市昭和町6番1号
URL http://www.tovio.com/
業務内容 電気工事業・発電事業
従業員数 34名(男性29名、女性5名)

(2018年7月現在)

seika_header.png

  • 会社の方針を経営計画書に取り入れ、社内で共有
  • リーフレットの活用や声掛けで「男性育児休業制度」の取得を推進
  • 若手従業員へのフォローで人材の定着と育成を強化
  • 個人面談やヒアリングでの従業員の声をもとに改善
  • 女性ミーティングや、社内レクリエーションで職場の風土づくり

seika_footer.png

取り組んだ背景とは? ~従業員が主体になる、働きやすい職場へ

電気設備工事、太陽光発電の施工などを手掛ける同社は、業界全体の人材不足に加えて、「有給休暇を取りづらい」「休日の急な仕事に対応できない」などの理由から、離職する従業員が多いという課題を抱えていた。
「今のままでは、離職だけではなく、新しい人材の確保もできなくなってしまう。今後社内が世代交代を迎えるときに、会社として立ち行かなくなるという危機感から、現状を何とか変えなければいけないと思いました。それまでは、何か問題が起きた時に対応していましたが、将来を考え数年先を見据えて、2015年から本格的に取組を始めました」と、代表取締役の島田宗輔氏。


取組導入のプロセス ~従業員の意見の把握とトップダウンでの実践

同社では、島田氏をはじめとする経営層からの方針をもとに、従業員の要望を取り入れながら改善を行っている。
まず現状を把握するため、管理職による日報管理で労働時間・内容の確認を行い、従業員の相談窓口を設置した。さらには、以前からあった個人面談を年1回から2回に増やし、同社の会長が全従業員一人一人に対しヒアリングを行っている。ヒアリングでは、制度の利用しやすさを確認し、「年間休日を増やしてほしい」など具体的な要望も吸い上げる。従業員の声や要望は、一覧にまとめて経営会議で共有される。
2018年には、社長と経営層が話し合いを行い、経営計画書に4つの指針「ひとづくり戦略」「働き方改革」「顧客をファンに変える戦略」「競争力強化」を掲げた。職場環境の改善をトップダウンで社内に指示し、同時に各部門および個々の従業員に目標設定を促すことで、より良い職場づくりへの意識付けを行った。島田氏は、「現場の無駄をなくす意識を従業員一人一人が持つことで、自ら考えて動くようになるはずです。そうすれば、利益を生む提案型の仕事も可能になると思っています」と語る。


主な取組と工夫点 ~コミュニケーションを円滑にして問題解決に取り組む

女性ミーティングや社内レクリエーションで、社内のコミュニケーションを活性化

2017年、まずは女性従業員が働きやすい職場環境づくりから始めようと、女性従業員の意見を拾う「女性ミーティング」を毎月1回の計12回実施した。例えば「空き部屋をクーラー完備の女性休憩室にしてほしい」「コーヒーメーカーを購入してほしい」「センサーライト付きのトイレにしてほしい」など、細かな要望を女性管理職が取りまとめ、幹部会議で提案している。
従業員の声をもとに、できることから少しずつ改善を行っており、例として挙げたこれらの要望は、全て実現している。
その他にも、職場の雰囲気が良くなるように、社内レクリエーション「福電クラブ」の活動を推奨している。1年ごとに担当者を決めて、従業員の参加率アップにつながる旅行やイベントを企画・実施する。ゴルフや釣り、キャンプなど、同じ趣味を持つ従業員同士で新たな同好会をつくろうという動きもあり、部門を超えた従業員のコミュニケーションが活発になっている。

管理職への働き掛けとともに業務を効率化

労働時間を削減するために、社長がトップダウンで管理職への指導を行い、誰が何に携わっているかなど業務内容の洗い出しと、担当部署の適正化、重複業務の一本化に取り組んだ。一部の業務では、アウトソーシング化や、現場および移動中のモバイルワークも導入した。
現場で働く従業員に対しては、現場監督に業務の割り振りを一任。工期的にハードな現場が終了した従業員には、少し時間を空けて次の現場を任せる、夜間業務に携わった従業員には代休・半日有休の取得を促すなどの指導を行った。
さらに、施工部門における属人化を防止するため、情報・技術の共有を目的とした報告会の実施や、外部研修への参加、資格取得の支援などを推進している。

社内制度を整え、働きやすい職場づくりを推進

男性にも積極的に育児へ参画してほしいという社長の思いから、配偶者が出産する際の休暇制度(2日)や男性の育児休暇(1週間)の取得に力を入れており、該当者が発生するごとにメールでの連絡や声掛けを行っている。男性育休のリーフレットも独自に作成し、「育児休業は男性でも取得できます」というメッセージや、制度の詳細、家庭面や仕事面でのメリットなども記載して、利用を促している。
さらに小学3年生までの子どもを持つ従業員には、短時間勤務制度も用意している。総務部の女性従業員の声を拾い、半日単位や1時間単位での有給休暇制度を導入するなど、家庭の都合に合わせて、気軽に休みを取れる環境を整備した。上司が率先して休暇を利用することに加え、従業員が休暇を取りやすいよう、管理職がスケジュールをマネジメントするなど工夫している。

ひとづくり戦略のもと、若手従業員のフォロー体制を整備

新入社員対象の1カ月の実地訓練に加えて、人材育成のためのBB(Big Brother)制度(メンター制度)を導入している。早く会社になじんで現場で戸惑わないよう、年齢の近い入社2~3年目の先輩が新入社員の指導役になる。相談しやすくすることで、「分からないことを質問しづらい」「コミュニケーションがうまく取れない」など、新人ならではの悩みを解消している。実際の相談で出てきた新入社員の声は、月1回報告書にまとめ、3カ月ごとに管理職で共有し、改善策を検討している。さらに資格取得の際の奨励金制度を整え、2018年からは若手従業員の職場定着のために「奨学金返済支援制度」の導入を予定し、従業員のモチベーションの向上にも努めている。


取組の成果

大きな成果は、休暇を申請しやすい風土が根付いたことである。配偶者が出産する際の男性の休暇制度も、社内の掲示などで周知を続けることで、次第に定着してきている。
新入社員の離職者も直近2年間で0%になっているが、「BB制度(メンター制度)の導入で、入社後の上下関係などで悩む新入社員が減り、先輩たちには若手を育てていこうという自覚が芽生えています」と総務部長の藤井氏は語る。
有給休暇の取得においては、上司が状況を把握しながら声掛けを行う地道な取組に加え、2015年度から指定有休制度を導入した。これにより、従業員にも取得の意識が浸透し、取得日数が4.8日(2014年度)から、11.4日(2017年度)へ大幅に増加した。
同社では、「広島県働き方改革実践企業」の他に、「ふくやまワーク・ライフ・バランス認定」も受けており、就活生からの問い合わせや会社訪問が、以前より増加傾向にあるなど、手応えを感じている。

休暇

・常用雇用者の年次有給休暇平均取得日数6.6日増加(2014年度対比)

若年者活躍(直近2年間)

・正社員として就職した新卒者等のうち、同期間に離職した者の割合が0%

育児(直近3年間)

・育児休業取得率100%(在籍中に出産した女性従業員対象)
・男性従業員の育児休業の取得者3人


従業員からの評価

若手従業員からは「BB制度(メンター)のおかげで、先輩方との意思疎通がスムーズになりました」という声や、「働きやすい職場に変えていこうという会社の方針が見えるので、社内が明るくなった気がします」などの声が上がっている。
「上司が率先して休むので、年末年始や盆などに絡めて大型連休が取りやすくなりました」と話すのは営業部チーフの東さん。休暇を取ることを念頭に置くため、スケジュールを調整して無駄なく営業先を回るなど、普段から効率よく働く意識が高くなったという。


現在の課題・今後の目標

本格的な取組スタートから約3年であるが、さらなる有給休暇の取得や、残業時間の削減に向けて今後も改善を続けていくという。
「安心して働き続けられる会社を目指していくためには、会社任せではなく、従業員一人一人が当事者意識を持って取り組むことが大切です。今後も現場からの声を大切にしながら、取組を進めていきます」と島田氏は締めくくった。

取材日 2018年9月