働き方改革優良事例

経営理念「企業の健全と従業員の福祉」に基づき
社内ルールの改定・新制度の導入を図る

広島化成株式会社

  • 製造業
  • 福山市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒720-0802 広島県福山市松浜町二丁目2番11号
URL http://www.hiroshimakasei.co.jp/
業務内容 工業用ゴム製品・合成樹脂製品の製造販売
従業員数 422名(男性363名、女性59名)

(2018年7月現在)

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  • 最大100万円の「奨学金返済支援制度」の導入で、若手従業員をサポート
  • ノー残業デーの社内周知、社長からのメールなどで労働時間の管理を徹底
  • 有給休暇の計画的取得を目指し「メモリアル休暇制度」を推進
  • 時短勤務・男性の育児休業など、仕事と育児を両立しやすい環境整備
  • 「心の健康づくり計画」で従業員のメンタル面をフォロー

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取り組んだ背景とは? ~採用率・定着率向上のために職場環境を見直し

工業用品事業(点字ブロック・ゴム床材・自動車用シール材など)、化成品事業(防水シート・透明フィルムなど)、シューズ事業(スポーツシューズ・カジュアルシューズなど)の3事業を展開し、2017年に創業70周年を迎えた同社。人材が集まりにくい業種というイメージを拭い去るために、職場環境の見直しは10年ぐらい前から続けていたが、2017年の春から本格的に「働き方改革」に着手し、行動計画を策定した。
「当社の経営理念の中に、『企業の健全と従業員の福祉を図り、職域を通じ社会奉仕する事』という文言があります。今一度そこに立ち返り、学生の目に魅力的に映り、長く働きたいと思ってもらえる会社を目指そうと考えました」と取締役社長の西浩一氏は語る。


取組導入のプロセス~ 意識調査から従業員のニーズを拾い取組を実施

もともと結婚や出産を機に退職する女性従業員は少なく、女性の育児休業の取得率は100%を維持する同社。「仕事と育児を両立できる環境」をさらに充実させるため、働き方改革の目標の一つに「男性従業員の育児休業取得率を2020年までに20%超まで向上させる」を設定した。長時間労働の抑止に向けては、毎月の「中央安全衛生委員会」で、経営陣が前月分の労働時間の情報を共有。さらに、労働組合が実施する「組合員意識調査」から従業員のニーズを拾い、現状を踏まえて検討を重ね、有給休暇の取得率向上、残業の抑制につながる取組に着手した。


主な取組と工夫点~取り組みやすい&利用したいと思える新制度を導入

労働時間を管理する意識を徹底

同社では、16時50分を定時としているが、業務の属人化により、定時以降も働く従業員が目立っていた。そこで、残業抑制のために残業事前承認・申請ルールを設け、給与の支給日には、社長が自ら残業が多い部署の管理職に時間管理を徹底するように、指導メールを送信している。
毎週末は「ノー残業デー」を設定。当日はのぼりを立て、タイムカード代わりの入力端末からもノー残業デーを知らせる音声を鳴らし、従業員への意識付けを行っている。18時ごろには総務部が各部署をパトロールし、残っている従業員に声掛けを行うといった取組を継続している。11月には「過重労働解消キャンペーン」も実施している。これらの工夫で、徐々に残業時間削減・業務の効率化について各人が考える雰囲気が醸成されつつある。

3日取得を義務化する「メモリアル休暇制度」の導入で有給の取得促進

有給休暇の取得率を上げるため、同社では数年前から「メモリアル休暇(年次有給休暇残日数20日以上で3日取得)」を制度化。しかし「気軽に休みを申請しづらい」などの理由から、メモリアル休暇取得率は27.3%(2017年)と低水準に留まっていた。そこで「メモリアル休暇の取得推進について」と題した社内通達文書を配布し、2018年初めから、結婚記念日や子どもの誕生日などのタイミングに合わせて、年度初めに全従業員が必ず1年分(3日)の休暇申請書を提出するという方針を打ち出した。急な予定変更の場合には、すぐに別の日で申請するよう働き掛けるなど、必ず3日取得できるよう細かな配慮も欠かさない。その結果、メモリアル休暇の申請率は89.2%(2018年5月)まで高まっている。

子育て支援の各種制度を用意し、育児との両立を応援

子育て支援制度について見直し、2018年8月から小学校に就学前の子どもがいる従業員に対して、時短勤務を1日2時間までに拡大した。男性従業員の育児休業についても、社内ポータルサイトや掲示板を使って利用を推奨している。現在、第1号となる男性従業員が育休を取得しているが、「1人目が出たことで、次に続く従業員も増えてくると思います」と管理本部総務部人事総務課の下久保氏は期待を寄せる。
配偶者が出産した際の「出産おめでとう休暇」や、子どもが1歳になった時の「初めての誕生日休暇」も導入。いずれも、所定の有給休暇制度とは別に、新たな休暇制度として設けている。

「奨学金返済支援制度」で若手従業員をサポート

社内の20代従業員にヒアリングしたところ、2.6人に1人が奨学金を返済しながら働いていることが判明した。そこで、取締役管理本部長の宮地幹治氏の提案により、「奨学金返済支援制度」を2018年4月に制定(2019年4月より施行)した。同社の補助金額は「入社から最長5年間で最大100万円」という充実の内容になっている。営業所の所長から「自分が対象になるか、早速、相談に来た従業員がいましたよ」との連絡が入り、新制度導入の社内の反応にも手応えを感じているという。

従業員の心身の健康をサポート

心と身体の健康維持・向上に取り組む「安全衛生教育」の一環として「心の健康づくり計画」を策定した。ストレスコントロール術や就業中に簡単にできるストレッチ方法などを学ぶ「メンタルヘルス研修」には、毎回多数の従業員が参加している。ストレスチェックも定期的に行い、集計・分析は外部機関に依頼している。該当項目が多い従業員には、個別の面談等で対処している。これらの組織的な取組により、メンタル不調による長期欠勤者の予防に努めている。


取組の成果

社長が率先して従業員にメールを送信したり、給与明細にひと言メッセージを添えたりと、アットホームな空気が漂う同社。外部からは、トップと従業員の距離の近さに感心する声が届いている。
取組の地道な継続も奏功し、数年前に比べると内定承諾率も徐々に上向いてきている。採用に向けた企業説明会では、「働き方改革」のマークを知っている学生が予想以上に多く、同社の具体的な取組について質問したり、企業訪問したりする学生が増加しているという。

労働時間(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1人あたり1カ月平均)が167.3時間

育児と仕事の両立(直近3年間)

・小学校就学までの子どもがいる従業員対象の1日1時間勤務短縮制度の利用 8人


従業員からの評価

「当社は女性の声が届きやすい職場で、例えば制服をリニューアルする時なども、私たちの意見を大いに参考にしてくれました」と化成品事業本部の馬上さん。「職場復帰後の時短勤務制度についても従業員の希望をくみ取り、最大2時間まで適用可能になっています。私自身も時短勤務中ですが、15時50分には退社できるので、家に帰ってから随分と楽になりました。夕方までの1時間を効率的に使って、食事を作ったり子どもの保育園の準備をしたりしています」と、時間にも気持ちにも余裕が生まれたことを、とても喜んでいる。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

全従業員の「メモリアル休暇(年間3日)」の完全取得が目下の課題で、年初の事前申請を端末入力できるようにシステム化を進めている。男性従業員の育児休業や子育て関連の各種制度については、随時、通達や掲示などを行っているが、まだまだ浸透していない部分もある。今後も周知の工夫を凝らしていくとともに、組織としては近いうちに厚生労働大臣の「くるみん認定」の取得を目標に掲げている。
最後に西氏が、今後の抱負を語ってくれた。
「創業100周年を目指して、企業として利益を出すことと並行しながら、当社の根幹をなす経営理念の実践に努めたいと思っています。そのためにも、良い人材が集まるように、今後もルールの改定や新制度の導入を積極的に進めていきたいです」

取材日 2018年10月