働き方改革優良事例

結束力を高めるため働き方改革に着手。
組織革新を促す風通しの良い社風に

株式会社せとうちパートナーズ

  • 金融業・保険業
  • 東部
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒721-0963 広島県福山市南手城町2-24-26
業務内容 総合リスクコンサル(社労士・診断士業・保険代理店業)
従業員数 8名(男性6名、女性2名)

(2018年10月現在)

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  • 外部コンサルタントの支援のもと社内の環境から改善
  • 定年を廃止し、意欲と能力のある従業員に活躍の場を提供
  • 専門資格を持つ従業員の多様な働き方をサポート
  • 直行直帰可能な出社免除制度で、移動時間を効率化
  • 親睦を深める夕食会・夏合宿などでコミュニケーションを活性化

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取り組んだ背景とは? ~まとまりのある組織に再編したい

30年前、福山市の保険代理店4社が集合して、スタートを切った同社。法人化しているにもかかわらず、営業一人一人が個人事業主のように独立して活動するスタイルが定着しており、「会社の将来のためにも、組織として正しく機能させたい、団結力が感じられる企業風土に変えたいと思っていました」と代表取締役の千綿茂樹氏は話す。
そのような折、目に留まったのが「働き方改革」だった。「この取組は組織づくりにつながる」と考え、外部の経営コンサルタントに支援を依頼。従業員全員参加による月1回のミーティングで、問題点を明らかにすることから改善活動をスタートした。


取組導入のプロセス ~組織人としての自覚と有給休暇取得の意識付け

組織の一員という意識が薄く、「自分のスタイルで働きたい」という従業員が多かった同社では、有休取得率にもばらつきがあった。そこで取組を始める際に、「1人当たりの有給休暇の取得日数を3年以内で10日以上(プラス7日以上)に引き上げること」を目標として設定。2019年4月からの法改正(有給休暇取得日指定の義務化)を受けて、5日連続の長期休暇取得も奨励するようになった。「休んでもすることがない」という従業員には、「学ぶ・感じる・動く・作る」のテーマに沿って休暇を楽しく過ごすよう助言もしている。


主な取組と工夫点 ~新しい仕組みづくりで、効率的かつ柔軟な働き方

コンサルタントから初めにアドバイスされたのが、オフィスの整理・整頓・清掃を徹底すること。そこで、従業員一人一人が「いつもきれいな事務所」を意識し、毎朝の掃除や片付けを習慣化した。効率的な動線についても検討し、約8カ月かけてデスク配置などを大幅変更した。従業員からは「気持ちよく快適に働けるようになった」「コピー機が近くなったので動きやすい」などの感想が上がっている。全員で一つの課題に取り組んだことで、職場の一体感も生まれてきているという。
残業削減については、今までの業務プロセスの見直し、改善を行い、社内の残業削減に対する意識を統一。さらに警備・セキュリティー会社のサービスを利用して、時間外労働のチェックを徹底し、時間に対する意識を高めたことで、取組がスタートしてから残業時間は15%削減された。
さらには、次のような取組を実施している。

人事異動により営業・事務双方の業務を効率化

同社では2人の従業員が社内でデスクワーク、その他の従業員が社外で顧客先を回っていたが、千綿氏の判断により40代の営業職1人を内勤に配置換えした。営業職へ全指示を出し、仕事の振り分けまで行うキーマンを社内に置いたことで、外回りの従業員の業務がスムーズになった。さらに顧客情報を共有することで、担当者に関係なく、誰でも問い合わせに対応できるようにもなった。事務職にとっても、営業職との間にワンクッションとなる頼もしい存在ができ、業務の滞りが少なくなるなど良い効果が生まれている。

定年を廃止しベテラン従業員に活躍の場を提供

保険代理店の営業は、長年の経験が強みとなる職種で、ベテラン従業員の存在は心強い。そこで能力があり本人の働く意欲も高い従業員に対しては、65歳という定年をなくし継続雇用制度を導入した。無理がないように勤務時間・体系などの要望をくみ取りながら、主に教育的なサポート(週1回のミーティングを利用した保険商品の提案の指導、経験が浅い若手営業に同行など)を任せている。

専門資格を持つ従業員の兼業スタイルを推進

同社は、「保険を売る会社」から「経営計画をトータルサポートする会社」に、組織革新を目指している。社内に兼業の従業員となる「社会保険労務士」と「中小企業診断士」を1人ずつ置き、お客さまをトータルにサポートしている。企業経営に関する相談・支援を行いながら、ツールの一つとして保険商品を扱う営業スタイルは、顧客にプラスの満足・安心感を与えている。このような形態の保険代理店は業界でも珍しく、新規顧客からの問い合わせも増加中だという。

直行直帰が可能な出社免除制度

会社から自宅まで30キロ以上の従業員が勤めているため、日々の移動の大変さ、通勤中の事故などに配慮して「出社免除制度」を導入した。1週間に3日出社することを条件に、その他の日はテレワークと顧客先への直行直帰で営業活動を進めている。

コミュニケーション活性化のための社内イベント

食事を楽しみながら、従業員同士でざっくばらんに話せる会を月1回開催している。「従業員の本音を聞けることがあまりないので、積極的に参加を勧めています。ただし、仕事の話はなるべくしないように決めています」と千綿氏。
5年ほど前から夏合宿(1泊2日で、海とバーベキューを楽しむ旅行)を開催し、職場のコミュニケーションを図る楽しい恒例行事になっている。


取組の中での苦労点

勤務年数が長い従業員ほど、個々で独立して営業する昔ながらの方法を貫きたがる傾向があった。「そのような風土を一新して、同じ会社の仲間として協力できる体制をつくりたいという思いが発端だったので、彼らの意識を変えることが大変でした」と千綿氏は話す。時代が変化してきていること、取組の本来の目的についてしっかり説明したところ、否定的だった従業員も最終的には納得し、協力する姿勢を示すようになったという。


取組の成果

最も大きな変化は、職場の雰囲気が良好になったこと。コンサルタントの月次訪問や週1回のミーティングなどで、従業員同士が会話する機会が増え、普段の業務においても連携がスムーズになった。新聞やホームページで同社の取組を知った顧客からも「信頼できるしっかりした会社ですね」などの声が届き、企業のイメージアップにもつながっている。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が151.1時間


従業員からの評価

「子どもの学校行事などで、半日もしくは数時間だけ仕事を休みたい」と思うことが多かったという事務職のYさん。今回の改善で半日単位・時間単位の有休取得が可能になり、「柔軟に対応してもらえるようになったので、とても助かっています」と話す。営業職と事務職がデスクを隔てず、同じ島の中に入るように職場のレイアウトを変更したことで、自身の働き方の意識も変化したという。「営業がお客さまと電話で話していることが自然と耳に入ってくるので、何が起こっているのか大体分かりますし、次にするべきことを予測して、早めに準備できるようになりました」と職場改善のメリットを実感している。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

「職場の問題を一つ一つ改善して、それをブラッシュアップしていきます。取組の定着が第一目標です」と千綿氏。2018年11月には広島支店が開設され、2人の従業員が勤務することが決まっている同社。「彼らとも働き方の意識を共有し、本社と同じ各種制度を浸透させていくことが今後の課題です」とも話す。
また業種柄、休日に来訪してほしいというニーズや、事故発生時などの対応で時間外に赴かざるを得ないシーンも、同社では多々ある。そのような場合、会社として従業員をどのようにフォローをしていくか、一部をアウトソーシングするべきかなどの悩みも抱えているという。
「働き方改革の活動と並行して、法人のお客さま200社、個人のお客さま2,000人の信頼を裏切らないような、ベストな方法を探っていきたいと思っています」と千綿氏は締めくくった。

取材日 2018年10月