働き方改革実践(認定企業)取組企業事例一覧

新制度導入により働きやすさを追求し、
全従業員が協力して生産性向上に邁進

舛元木工株式会社

  • 製造業
  • 庄原市
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 727-0003 広島県庄原市是松町5020-23番地
URL https://masumoto-mokko.com/
業務内容 ベッドフレーム製造
従業員数 47名(男性30名、女性17名)

(2018年6月現在)

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  • 作業を洗い出し無駄を削減、「スキルマップシート」で社員教育
  • 全従業員で行う毎週25分間の「全進活動」で協力体制を強化
  • 従業員ファーストで「時差出勤制度」を導入
  • 社内報「ますます新聞」による取組成果の発信

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取り組んだ背景とは? ~生産性の向上と技術継承が喫緊の課題

木製ベッドフレームを主力商品とする木材加工会社の同社には、さまざまな年代の従業員がいるが、中途採用がほとんどで勤続年数の長い人が少なく、年齢にも技術にもそれぞれ差がある状況だという。そのため業務の効率化だけではなく、技術の継承も課題になっていた。
その現状を変えようと、代表取締役の舛元幸起氏が「人材確保・多能工化による長時間労働を削減するとともに、従業員が仕事に集中できる職場環境を整備し、働きやすさを追求しながら生産性の向上と技術継承を図りたい」と、明確な方針を打ち出した。


取組導入のプロセス ~セミナーが発端となりプロジェクト発足へ

取組のきっかけについて、業務主任の横山さんは次のように話す。
「広島県による働く女性の応援セミナーに参加し、もっと女性が働きやすい職場をつくりたいという思いが生まれました。続けて、メンター研修会に参加して、先輩・後輩の関係をうまく生かすための勉強をしました。そこから女性だけでなく、全従業員がいい状態でないと会社はうまくいかない。では、どうしたらいいかと考え、『まずは要望を聞くアンケートをしましょう』と私から社長に提案しました」
全従業員に、「あなたの会社での夢は何ですか?」「そのためには、会社にどうなってほしいですか?」「あなた自身はどうすべきですか?」「実際にどうしますか?」などの要望アンケートを行った。その結果、従業員が現状に満足していないことが分かった。ちょうどその頃、広島県主催の「働き方改革のキーパーソン養成講座」が開催され、解決方法を見つけるために、横山さんは社長と一緒に出席。それを契機に、同社の働き方改革の取組が本格的にスタートした。
最初に取り組んだ従業員アンケートから、給与体系には満足感があるものの、上司と部下の関係がうまくいっていない、研修が少ないなどの不満があるという結果が出た。さらに会社の経営方針について、年齢の高い従業員はよく理解しているが、若手社員はあまり理解していないということも分かった。
これらを踏まえて、横山さんと職場長2名に、外部コンサルタントを加えたプロジェクトチームが発足し、取組を進めることになった。


主な取組と工夫点 ~スキルの見える化、全進活動、時差出勤など多角的な取組

作業を洗い出し、「スキルマップシート」を作成

職場長が中心となって、部署ごとに作業の洗い出しを実施した。その作業が本当に必要な作業かどうかを見極め、不必要な作業はできる限り削減し、必要な作業は多くの従業員ができるよう多能工化に取り組むことが狙いだ。必要な作業スキルも検証し、各従業員のスキルを見える化した「スキルマップシート」を作成。スキル不足の従業員に対しては、レベルアップのための訓練や教育を行う。

全従業員で行う毎週25分間の「全進活動」で生産性向上

毎週金曜日の13時~13時25分に「全進活動」を実施。「改善」を積み上げて会社を良くしようというもので、全従業員が集まって、作業効率などを上げるための活動を行っている。一例をあげると、ベッドフレームの穴を開ける位置をいちいち測るのは時間がかかるが、それを測定する器具があれば時間短縮になるため、全進活動の毎週の25分間を使って実際に専用の測定器具を作成した。そのためには、事前に設計図をつくり、材料を用意するなど準備にも余念がなかった。
「この活動を通して、改善できた部分は大きいですね。従業員の協力体制も整い、みんなで楽しく作業しています」とプロジェクトチームの一員で職場長の澤田さんは成果を実感する。

従業員からの要望を反映した「時差出勤制度」を導入

「朝、小学生の子どもを送り出して会社に来たら、始業に間に合わない」という従業員の要望を反映して、「時差出勤制度」を導入し、仕事と子育ての両立支援を行っている。この制度を利用している従業員は「心にゆとりを持って出勤できるようになり、仕事にも集中できるようになりました」と喜んでいる。さらに、「親が入院している間だけ、16時で帰りたい」「状況が変わったので、パートの時間を変更してほしい」などという希望に対しても、柔軟に対応している。

社内報「ますます新聞」の発行による取組成果の発信

働き方改革の成果や会社の取組は、社内報『ますます新聞』で発信している。月1回、横山さんが中心となって作り、食堂の壁に貼り出す。社長の声や改革の進捗状況、採用情報などを発信し、従業員の取組意欲の向上につながっている。従業員のインタビュー記事も掲載し、お互いの働き方を理解し、助け合う環境づくりにも貢献している。
「話すきっかけになったり、部署をまたいでコミュニケーションができたり。社内イベントや懇親会など親睦を図る行事を開き、会社の風土づくりを大切にしています」と澤田さん。


取組の成果

「わが社の取組はまだこれからですが、忙しい時期の残業を減らすため、個人のスキルを上げていくとともに、綿密な生産計画を立てて実行することに、さらに力を入れています。負荷が多いところと少ないところはどうしても出てきますが、負荷の多いところを減らすには、設備がポイントになる場合も多々ありますので、機械の導入も検討しています。ここ数年、新しい機械を導入していますが、従業員からも意見を出して、個々の負担を少なくし、長く働ける環境を整えていきたいと考えています」と澤田さんは話す。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間 (1カ月平均)が177.3時間


従業員からの評価

「子育て中であり、子どもの関係に有給休暇を活用しています。子どもが大きくなってきたら、自分のためにもっと取りたいです」と横山さん。
「以前は休みを取りにくい雰囲気がありましたが、今は休暇予定を申請できるので、かなり取りやすいです。今までは、社内で働き方について話すことがなかったのですが、従業員がお互いの働き方について考えるようになったのも、成果の一つです」と澤田さんも続ける。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

「全従業員がスキルアップして多能工化し、残業時間を削減したいです。スキルマップシートを活用した教育や訓練も行い、公正な評価制度を整えたいです」と澤田さん。
「研修で得た知識を会社に還元できるように、働き方改革の先頭を走っていきたいです。現在、私が従業員のメンター役を担っていますが、新人に順次バトンをつないでいきたいですね。さらに子育てだけでなく、介護と仕事の両立についても制度を拡充・整備していかなければいけないと思っています」と横山さんが力強く語った。

取材日 2018年9月