働き方改革優良事例

業務改善提案を積極的に受け入れ、
従業員の自己実現を目指す

旭調温工業株式会社

  • 建設業
  • 西部
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 733-0007 広島県広島市西区大宮1丁目27番20号
URL https://www.reinetsu.net/
業務内容 空調・冷凍冷蔵設備等設計・施工・保守整備
従業員数 47名(男性43名、女性4名)

(2018年6月現在)

seika_header.png

  • 若手従業員と社長による毎月の会議で業務改善を提案
  • 長期間の社外研修で若手従業員の技術を磨く
  • 男性従業員が育児休暇を取得しやすい雰囲気づくり
  • 業績に応じた「決算賞与」で士気を高める
  • 健康診断を会社負担で拡充し、従業員の健康を支援

seika_footer.png

取り組んだ背景とは? ~定期的な採用なくして、会社の将来は望めない

「4年ぐらい前から企業説明会にブースを出しても、来られる学生さんの数がかなり減っていました。定期的な採用ができないと会社の将来が望めないと危機感を持ちはじめました。少子化で学生の人数が減っている中で、東京や大企業への就職志向が強いようです。私たちのような中小企業に来てもらうには、職場環境を整えることが不可欠だと思い、まず就業規則の改定から取組を始めました」と代表取締役の粟屋充博氏は話す。
「以前、女子学生が『結婚しても仕事を続けたいので、この会社は産休や育休がありますか?』と聞いてきて、『あります』と答えた時の彼女のほっとした顔が忘れられません。私自身もすごくうれしかったことを覚えています」と語る粟屋氏。


取組導入のプロセス ~若手従業員と社長による「会社と自分の10年先を考える会議」

2016年3月より、入社後2~5年ぐらいの若手従業員を中心に、各部署から1・2名が参加した「会社と自分の10年後を考える会議」を毎月開催している。業務効率を図るための改善提案や要望を出して、社長と一緒に、会社の未来や従業員たちの自己実現について話し合いを行う。ここで出た改善提案は、部課長会議で発表され、話し合いの後に必ず返答が出される。
「製造工場におけるサマータイム制の導入」「本社事務所の社内レイアウトの変更」「涼しい作業服の導入」など、職場環境や働き方に対する改善提案が、実行に移された事例は数多い。従業員にとっては改善提案が形になる達成感が感じられ、経営者にとっては若手従業員が何を考えているかを知るチャンスとなっている。


主な取組と工夫点 ~休みやすさと働きやすさ、意欲の向上をバランス良く

男性従業員も育児休暇を取りやすい雰囲気づくり

男性従業員の育児休暇は、2017年までに2名が取得している。そのうち1名は中間管理職で、「私がまず育休を取って実績をつくらなければ、他の従業員が取りにくいと思うので休ませてください」と願い出て、社長の粟屋氏が快諾したという。粟屋氏は、2015年にイクメン企業同盟(現イクボス同盟ひろしま)に加入しており、男性従業員の育休取得を進めたいと考えていた。その後、若手従業員が取得するなど、取りやすい雰囲気づくりを進めるきっかけとなった。

若手従業員の成長のため、1年間の社外研修へ参加

2018年4月には、サービス部に所属する修理担当の2名の若手従業員を大手メーカーの修理部門へ研修で派遣した。「社内の修理部の従業員は年齢が高く、社内だけで育てるには5年かかります。技術力の高い職場で1年間学んで、即戦力として帰ってきてほしいと願い、送り出しました。大きな投資ですが、今後、量的にも質的にも大きな仕事をこなしていくために必要な投資だと思っています」と粟屋氏は力強く語る。来年度からもさまざまな部署で社外研修を行っていく予定だ。

業績に応じて、「決算賞与」を支給し、士気を高める

会社の賞与算定は基本給を基準としているが、利益が出たときにはそれを分配した「決算賞与」を3月末に出している。利益の3分の1を全従業員に分配するという考え方だ。分配方法は、業績に対する貢献度、勤務態度、仕事に対する取組姿勢などを部課長全員が集まった会議で公正に決めている。「2016年も2017年も0.6カ月分ぐらいを上乗せしました。私は社長として、エネルギーと愛情を精いっぱい従業員の皆さんに注ぐことが義務だと思っています。こうした人件費はコストではなく、従業員のやる気をアップさせるための投資です」と粟屋氏は話す。

健康診断を会社負担で拡充し従業員の健康管理を支援

全従業員の健康診断を行い、40歳以上の従業員には会社の全額負担で肺がんCT検査を実施している。「エックス線検査では肺がんや肺気腫などは分からないので、CT検査で病気の早期発見・予防に努めています」と粟屋氏。2019年4月からは全従業員にピロリ菌検査も実施するなど、従業員の健康管理に力を注いでいる。


取組の成果

中小企業にとって人材確保が厳しい中、新卒者の求人で「会社と自分の10年先を考える会議」の取組をアピールしており、2016年2人、2017年2人、2018年3人の新卒者を採用できた。離職率も大きく減少している。経営者の方針や男性従業員による育児休暇の取得により、男性従業員の育児参画に対する理解が進んでいる。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間 176.8時間/月
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数 5.8日

育児と仕事の両立(直近3年間)

・配偶者が出産した男性従業員の育児休暇を取得した割合 100%(2名)


従業員からの評価

「女性従業員の産休・育休取得について、社長から『あなたに良い実例になってほしい』と言われています。広島県の研修にも参加させてもらっており、私がロールモデルになりたいと思っています。当社は、有給休暇も取りやすいですし、自分のペースで仕事ができますので、だらだらと残業することもなく、ほぼ定時で帰っています」と総務部の米来さん。
設計監理部の赤見さんは、会社の取組と自身の変化について、次のように話す。
「6月に子どもが生まれましたが、遠方に住む祖母へ孫を見せに行くタイミングで、11月に育休を取りました。子どもと触れ合う時間が長く取れ、妻を手伝うことができて良かったです。今年から『会社と自分の10年先を考える会議』に入り、受け身ではなく自発的に、仕事について考えるようになりました」


今後、従業員に寄せる期待

「仕事の目標は3つあります。1つ目は生活の糧を得る。2つ目は社会貢献で、仕事を通じて役に立つこと。3つ目は自己実現だと思っています。自己実現というのは、従業員の皆さんが持っている可能性や異なる才能を、仕事を通して具現化していくことです。これら3つのことを犠牲にしてまで、会社の発展や数字を求めることはできないと思います。会社もサポートしますが、従業員一人一人が主体的に考えながら、成長していってほしいと願っています」と粟屋氏は締めくくった。

取材日 2018年10月