働き方改革優良事例

定期的な訪問で従業員の声を拾い、
「提案」というアプローチで意識変化を促す!

医療法人社団 恵宣会

  • 医療・福祉
  • 東部
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒725-0012 広島県竹原市下野町650
URL http://www.keisenkai.info/
業務内容 医療・福祉業
従業員数 249名(男性47名、女性202名)

(2018年6月現在)

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  • 施設内託児所と寺子屋塾の設置で、子育て世代の従業員をサポート
  • 従来のやり方を尊重した上で、「提案」のスタイルで理解を促す
  • 定期的に担当者が訪問し制度の利用を促進
  • 部署間の人員配置見直しとアウトソーシングを活用した業務改善
  • 研修や資格取得で業務の幅を広げ、生産性向上につなげる

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取り組んだ背景とは? ~働き方改革で人材確保も強化したい

子育て中の従業員が安心して働ける職場づくりに向けて、10年以上前から地域でいち早く、施設内託児所や寺子屋塾(夏季休暇中の小・中学生を対象とした学童保育)を設けるなど、先進的な取組を実践してきた同法人。
常務理事の西村悠氏は、こうした取組について「もともと当法人には、先代の頃から従業員の声に耳を傾ける風土がありました。医療・福祉の現場は、多くの女性従業員に支えられています。法人内には彼女らの立場を理解する女性管理職も多く、できる限り要望に応えたいという思いが、託児所や寺子屋塾といった形に結び付いたのだと思います」と説明する。
同法人では、働きやすい職場づくりの取組をさらに拡大し、2016年から業務改善などの取組にも着手した。その背景には、「魅力的な職場づくりに力を注ぐことで、雇用の促進にもつなげたい」という狙いがあり、働き方改革によって、未来につながる人材確保の強化を目指している。


取組導入のプロセス ~これまでを否定せず“提案”のスタイルで理解を促す

まず、従業員の声を聞くことを目的に、取組の統括者である西村氏が、法人内の各事業所を定期的に訪問することから始めた。
「管理職だけでなく、現場に近い従業員の声を丹念に拾っていったところ、まだまだ従業員の声を拾いきれていないことが見えてきました」と西村氏。
従業員の中には「もっと休みを取りたい」「外部の研修に参加したい」といった要望を持っていても、業務上の都合や従業員間の意識の違いで、はなから要望の実現は無理と諦めているところがあったという。そこで西村氏は、取組を進める上でのキーパーソンとなる管理者層と話し合いの場を持ち、従業員の制度利用促進に向けた働き掛けなど、取組に対する意識改革を進めていった。
「意識改革といっても、これまでやってきたことを否定したくなかったのです。先輩たちの考えを尊重した上で、働き方改革の必要性について、時代の流れや従業員の実際の声などを踏まえながら“今ならこういったやり方もありますよ”といった提案のスタイルで、徐々に理解を得ていきました」と語る西村氏。そうした働き掛けを2年ほど地道に行ったところ、ようやく組織内にも理解が根付き、従業員たちが気兼ねなく、休みを取れるような状況が生まれてきた。


主な取組と工夫点 ~くみ上げた従業員の声をベースに働きやすい環境を整備

子育て世代の従業員への支援

託児施設が少ない地域の事情もあり、10年ほど前、施設内に託児所を開設した。さらに子どもの夏休みには会議室を開放して、小・中学生を対象とした寺子屋塾も開設し、大学生を講師として雇い、宿題等の面倒を見ている。これらの取組は従業員の声から生まれたもので、両施設を利用した子どもたちは、託児所で延べ5,641人、寺子屋塾で延べ705人に達している。
この他にも子育てをフォローする制度として、育児休業から復帰後の短時間勤務の利用を推奨しており、子どもが3歳を過ぎても、継続して利用を認めている。さらに子どもの急な発熱や参観日等で職場を抜ける場合も、時間・半日単位の有給休暇制度を活用して、柔軟に対応できるようにしている。男性従業員においても、昨年1名が育児休業を取得し、管理職によるイクボス宣言も行っている。

従業員を支援する研修制度

従業員から寄せられた要望の中に「研修に参加したい」という声が多かったため、スキルアップ・キャリアアップにつながる研修への参加を積極的に促し、社内研修も充実させるなどサポートを行っている。さらに研修の他にも資格の取得支援を充実させ、従業員の業務の幅が広がるよう努めている。実際、当初は補助業務のみに携わっていた従業員が、資格を得て看護業務に携われるようになったケースもある。その他にも働きやすい職場づくりのために、同法人では管理職、主任クラスを対象としたワークライフバランス研修やリーダーシップ研修、ポジティブマネジメント研修などを行っている。


取組の成果

「取組を評価するには、まだまだ道半ば」という西村氏。現状においての一番の成果は、事業所ごとの問題点が見えてきたことであり、その問題点を各事業所がはっきりと認知できたこと。そして、解決に向けて取り組んでいることだという。例えば、定期的な訪問を通して、事業所間(6事業所)で有給休暇取得率にばらつきがあるという新たな課題も判明したため、3年以内に全事業所で平均有給休暇取得率が40%超となるように目標を設定し、各事業所で取組を進めている。
続けて、「『広島県働き方改革実践企業』として認定を受けたことも成果の一つです。地域の中で認定企業の先駆けとなれたのは、われわれにとって大きなことだと実感しています。今後の取組の弾みとなるのはもちろん、地域に当法人の姿勢をアピールする良い機会になります」と西村氏は語る。認定を機に、取組をより発展させていきたいと意欲的だ。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が134.4時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率が59.8%


従業員からの評価

同法人に勤務して、2人の子どもを出産し、それぞれ育休を取って職場復帰した経験のある看護師の藤森さん。「1人目の時は両親も元気で、スムーズに復帰できたのですが、2人目の時は大変でした。そこで、夜勤のない訪問看護へ異動させてもらい、15時までの時短勤務を利用しています。従業員一人一人の状況に配慮して、それぞれに合った働き方を一緒に考えてくれるのでありがたいです」と復帰後の感想を語る。職場の理解についても、「法人内には施設内託児所もあり、子育てを経験してきた従業員がたくさんいます。職場内には自然と助け合いの風土が築かれているので、子どもの急な病気やPTAの用事で休む際も、気兼ねなく休めます」とのこと。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標

「女性従業員が多いこともあり、今までは育児と仕事の両立支援を重点的に行ってきました」と西村氏。産休や育休取得後に職場復帰することが当たり前になっており、育児に対する社内の理解も定着している。今後は、子育て世代以外の従業員が不公平さを感じないように、評価制度の改善やキャリアパス制度の再整備を進めていかなければならないと考えているそうだ。「がんばったら、がんばった分、きちんと報われる組織をつくっていきたいです」と語る西村氏。そのためにも、働き方のさらなる見直しや評価の改善を今後の目標に掲げている。

取材日 2018年10月