働き方改革優良事例

従業員主導の「スローガン促進委員会」を中心に
家族的な雰囲気の中で職場環境を改善

株式会社デンサン

  • サービス産業
  • 西部
  • 31〜100
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒732-0824 広島県広島市南区的場町1丁目2番21号第一生命OSビル
URL http://www.densan-net.co.jp/
業務内容 ソフトウェア受託開発・パッケージ製造販売
従業員数 42名(男性33名、女性9名)

(2018年7月現在)

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  • 「スローガン委員会」を設置し、従業員一丸で環境を改善
  • 始業時に「一日のやる事リスト」を作成
  • 今日はここまで、今週はここまでというスケジュール管理
  • 出退勤およびプロジェクトの管理をシステム化
  • 病気や災害時など、状況に応じた柔軟な働き方

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取り組んだ背景とは? ~家族的な雰囲気の中で環境改善を目指す

ソフトウエアの開発および販売を行う同社では、以前から長時間労働を問題視し、その解決を模索していた。代表取締役社長の金原幸夫氏は、その思いを次のように語る。
「設立以来のスローガン『お客さまのためのシステムづくり』を行うために、ピーク時には残業が極端に増えたプロジェクトも、以前はありました。このままでは、従業員の体調などいろいろな問題が起きてしまうと危惧したのが、働き方改革のきっかけになりました。そこで『今日は、ここまで済ませば定時に帰れる。できないなら他のメンバーと調整しよう』といった意識を共有することから、少しずつ残業を削減してきました。もともと私には、仕事と家庭の天秤が平衡に保てるような、バランスの取れた働き方をしてほしいという思いがあります。『改革』といった大げさな取組を意識させず、あくまでも家族的な雰囲気の中で、自然と働きやすい環境をつくっていきたいと考えています」と金原氏は語る。


取組導入のプロセス ~従業員による「スローガン促進委員会」が牽引

さかのぼること10年前から、社長がスローガンを毎年掲げ、トップダウンで社内環境の整備を進めており、例えば、2014年に有給休暇取得促進のため記念日休暇制度を導入した。しかし、取組をさらに進めるためには、従業員が主体的に関わっていくことが重要だと考え、4年前に「スローガン促進委員会」を設置した。従業員が中心となって、スローガンの設定から達成に向けての取組方針まで決定するもので、全員が一丸となって取り組む基盤になっている。


主な取組と工夫点 ~目標に向けたスケジュール管理と柔軟な対応

「スローガン促進委員会」が中心となって意識改革を促す

前述のスローガン促進委員会は、主に美化活動、社内緑化活動、月例ミーティング、健康促進イベント、グループ座談会など7つの活動を実施している。「社内アンケートを行い、集計の結果を見ながら、少しずつ社内の環境を改善している途中です」とスローガン促進委員会の委員長を務める広島オフィスシステム開発本部BSグループマネージャーの大下氏。従業員同士のコミュニケーション向上を目的に、社内新聞を作って配布したり、部門を超えた意見交換会を開催したりといった取組で、従業員の会社や仕事に対する意識が少しずつ変わってきているという。

始業時に「一日のやる事リスト」を作成し、定時退社を目指す

毎朝、プロジェクトごとに集まって打ち合わせを行い、一日のやる事リストを作成し、その日の作業を明確にする。数人のプロジェクトは部屋の一角で、支店をまたぐ大規模なプロジェクトはテレビ会議を用いて実施し、必ず日々のスケジュールを調整する。「今日はここまで、今週はここまでというスケジュール管理がきちんとできていれば、優先順位が明確になり、残業も抑制できます」と金原氏。
「今、私のプロジェクトは全く残業していませんが、作業は予定通りに進んでいます。早く帰ってリフレッシュできていることで、次の日の仕事がはかどるのかもしれません」と、大下氏もほほ笑む。

出退勤およびプロジェクトの管理をシステム化

勤怠管理はシステム化され、従業員の労働時間の把握とともに、それぞれのプロジェクトにかかった時間も集計される。時間外労働の多い従業員に対しては、管理職から個別に働き方の見直し方法を助言するなど指導を行う。
「指導は、普段の会話の中で優しく話します。あからさまに、こうしなさいとは言わず、従業員から自発的に行う方向に持っていくのがベストだと思っています」と金原氏。

病気や災害など、状況に応じた柔軟な働き方

同社では、さまざまな顧客の勤務体制に応じて、フレックスタイムや変形労働時間にも対応している。病気の従業員には、治療や通院のために勤務時間をシフトできる柔軟な勤務制度を採用している。休職から復職のための短時間勤務制度やリハビリ勤務制度も導入し、治療と仕事の両立を図っている。
平成30年7月豪雨災害の際には、被災したり通勤できなかったりした従業員に、2週間の特別休暇を付与した。通勤手段を変更せざるを得なかった従業員には、新幹線代やバス代などを全て補助した。「災害時には臨機応変に対応します。2019年には食料や水などを社内に備蓄し、災害時に帰宅困難者が出ても、会社で寝泊まりできる体制を整えていこうと思っています」と金原氏。

若手従業員には本人の状況に応じた社内教育や社外研修を実施

「社内の新人教育は基本的には3カ月ですが、本人の状況や能力に応じて、1年かけてゆっくり育てて、徐々に実践のプロジェクトに入れていく場合もあります。家族的にみんなでフォローしながら育成するという感じです。そのため、辞める従業員はほとんどいません」と金原氏。その他外部のビジネスマナー研修やソフトウエア教育への参加など、若手従業員の成長のためにサポートは積極的に行っている。


取組の中で苦労したこと

「取組での苦労は特にないですね。というのも、私は苦とは思わず、自分の楽しみでやっているからです。ギブ・アンド・テークとよく言われますが、私の考え方はギブ・アンド・ギブで、見返りを求めてギブするやり方はしたくないのです。働きやすくなった結果として、生産性が上がって、収益が上がって、会社が良くなるという方向に自然にいくのなら、それはうれしいですね」と、金原氏は笑顔で答える。


取組の成果

あるプロジェクトにおいては、「一日のやる事リスト」を作成することにより、月間残業時間が25%削減されるなど、大きな成果が上がっている。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間 163.7時間/月
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率 57.2%、平均取得日数11.1日

若年者(直近3年間)

・正社員として就職した新卒者等のうち、同期間に離職した者の割合 0%


従業員からの評価

従業員からは、「一日の初めに、今日やる事を明確にすると、優先順位に応じて一日の作業配分ができ、残業時間が少なくなった」「周りとのコミュニケーションにより、抱えていた問題がすぐに明確になることで、仕事の効率が上がった」「早く家に帰れることで家庭内での時間が増え、家族と一緒に夕食が食べられるようになった」「社内に緑を置き、社内の雰囲気が明るくなった」などの声が上がっている。従業員の結束を強めるために、ボーリング大会やカープ観戦など親睦イベントも開催しており好評だという。


今後の目標

「有給休暇の取得率を3年ぐらいかけて徐々に引き上げ、70%を目指しています。それでも有給休暇が増えない場合は、創立記念日を制定して会社の休みを増やしたいですね。定年延長も考えています。60歳を超えても給料をできるだけ下げず、年齢に関係なくがんばりたいという思いがあるうちは働き続けてほしいのです。みんなで楽しく仕事をする中で個人が成長し、会社も一緒に成長するというのがベストですね」と、金原氏は締めくくった。

取材日 2018年10月