働き方改革優良事例

既存の各種制度や取組をベースに
さらなる充実と従業員の満足を目指す

新川センサテクノロジ株式会社 広島事業所

  • 製造業
  • 西部
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒739-0153 広島県東広島市吉川工業団地4-22
URL http://www.shinkawa.co.jp/sst.html
業務内容 IoT社会につながる振動センサの開発・製造
従業員数 140名(男性77名、女性63名)

(2018年7月現在)

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  • 「知の共有化」「作業の標準化」で業務の効率性を高める
  • 「ノー残業デー」の徹底と「記念日休暇制度」の導入
  • 管理本部の業務を見直しシステム化を推進
  • 効率の良い会議進行のために各種ルールを制定
  • 男性育児休暇の取得100%達成

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取り組んだ背景とは? ~事業発展には顧客満足と同時に従業員の幸せが不可欠

新川電機株式会社の開発・製造部門として技術力を養い、1994年に分社化によりスタートを切った同社。もともと働きやすい職場づくりへの意識は高く、「事業発展のためには顧客満足と同時に社員の幸せが必要不可欠」として取組を推進し、「広島県仕事と家庭の両立支援企業」や「育メン休暇応援制度」にも登録している。
「これまでも、特別な取組をしているつもりはありませんでしたが、会社としてのPRにもつながるので、『広島県働き方改革実践企業』の認定にぜひ挑戦しようということになりました」と取締役管理本部長の牛尾明悟氏は語る。


取組導入のプロセス ~「ユースエール認定」再取得も視野に目標設定

福利厚生・諸制度などは整っている同社だが、従業員によってばらつきがある残業時間に課題を抱えていた。2017年に一度認定を受けた「ユースエール認定(若者の人材採用・育成に積極的で、雇用管理などが優良な中小企業の認定制度)」も、2018年は残業の項目をクリアできなかった。
そこで、ユースエール認定の再取得も視野に入れながら、「正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないことを目指す」を目標に定め、管理本部が中心となって従業員への周知を図った。「有給休暇の取得の推進・ノー残業デーなど、当社が昔から取り組んできた土台を生かしつつ、それらをさらに充実させていこうと意識を統一させました」と、管理本部管理グループマネージャーの山野氏は話す。


主な取組と工夫点~ 知の共有化・作業の標準化を軸に業務を効率化

技術・ノウハウを従業員みんなで共有する

同社では、開発・技術本部の場合、従業員1人が複数テーマの案件を担当している。「自分の担当業務には責任があるし、納期内に高品質なものを提供してほしいというニーズもあります。そうすると、どうしても残業が増えてしまうのです」と商品開発グループの上甲さん。時間外労働の原因を探る中、担当者の技術・ノウハウ習得レベルに差があることが課題となっていることが分かってきた。
これらの打開策の一つとして、同社では「知の共有化」を推進。管理グループ(人事)では、特定分野で高スキルを有するベテラン従業員が技術的な講義を行い、その様子をビデオに残すことで、必要な時に誰でも情報を引き出せる仕組みを整備した。経験と勘に頼る部分が多い生産本部においては、「作業の標準化」の一環としてビデオ解析ツールを導入した。人間の作業を数値化・見える化することで、ベテランも新人も同レベルでものづくりができる基盤を整えた。これにより、各担当者の作業効率は確実にアップしている。

ノー残業デーのルールの徹底や記念日に合わせた休暇取得を奨励

時間外労働の削減と有給休暇の取得促進への取組として、月初めに管理職へ、残業時間や有給休暇の取得状況を報告メールで配信している。毎週水曜日の「ノー残業デー」は20年前から導入しているが、100%実施できていない状況が見受けられた。そこで、あらためてルールを浸透させるために、当日は定時(17時半)に音楽を流し退社を啓蒙している。
さらに「記念日休暇制度」も新たに導入した。本人の誕生日や結婚記念日、子どもの誕生日などに合わせて、休みを申請できる仕組みになっている。2018年10月からは、誕生月の従業員とその上司に、休暇取得を奨励するメールを送信し、意識付けを図っている。

管理本部におけるシステム化の推進

業務効率化の手本となるよう、管理本部では他部署に先駆けてさまざまな見直し・改善を進めてきた。例えば経理部では、作業の負担を減らせるように、情報システム担当の協力を仰ぎ、顧客情報などのデータをシステムでの管理に移行した。2018年からは社内での現金管理をなくし、キャッシュレス化を行った。銀行に出向く手間、受け渡しのミス、現金を持ち歩くリスクなどが減り、時間的な余裕が生まれている。

各種ルールを定め会議進行をスムーズに

2017年から本格的に見直しをスタートし、進行役のための指標を策定した。開始前にアナウンスして時間を守る、資料の事前配布、議事録をボードに書きながら進行する、パソコンの持ち込みを制限するなどの細かなルールを定めている。

子育て・介護のサポート制度

仕事と家庭の両立支援を図るため、2015年から各種制度の整備を進めている同社。その一環として、20年以上前すでに制度化されていたものの取得率が低かった「男性従業員の育児休暇」をあらためて推進。制度の再周知を図り、管理本部が対象者に個別にアプローチすることで、2017年には取得率が100%になった。出産日前後の多少のズレは了承するという決まりを設けて、利用への地道な声掛けを行った結果だ。
また、小学校就学前の子どもがいる従業員には、有給休暇とは別に疾病時に利用できる「子どもの看護休暇(5日間)」を付与している。要介護状態にある家族の世話を行う従業員に対しても「介護休暇(5日間)」を用意している。


取組の成果

有給休暇の取得に関しては64.8%(2015年)から69.8%(2017年)に取得率が向上しているが、2018年は70%超えを目標に定め、引き続き注力している。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が156.9時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数が13.5日

若年者(直近5年間)

・正社員として就職した新卒者等のうち、入社3年以内に離職した者の割合が0%


従業員からの評価

毎月の残業時間・有給休暇取得のデータを管理職に発信するなど、時間外労働削減や休暇取得の取組の強化により、次第に「早く切り上げて帰ろう」「休暇を申請しよう」という空気が社内に浸透してきたという。
管理本部に勧められて5日間の男性育児休暇を取得した、商品開発グループの上甲さんは、「2人目の子どもが生まれるタイミングでしたので、出産で母親が不在になる間に1人目の子どもの面倒をみることができました。子どもも安心できたのではないかと思います」と話している。その他の取得者からも「貴重な経験になった」「育児の大変さを理解できて良かった」などの声が届いている。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

山野氏は、「今回、認定を申請するに当たり、あらためて自社の状況を数値化しましたが、働く環境としては、それなりに良い会社になっていると思いました。その事実を従業員に広めることで、各人が自分の会社と、自分が携わっている仕事に自信を持つようになってくれたら幸いです」と話す。
直近の課題として見えている「時間外労働」にも引き続き取り組み、「ユースエール認定」の再取得、さらには子育てサポート企業として厚生労働省が認定する「くるみん認定」の取得も目指している。
「広島県働き方改革実践企業への認定は、ゴールではなくスタートだと思っています。認定された以上、取組を継続して制度を浸透させ、生産性の向上や従業員の満足を導きたい」と牛尾氏は語った。

取材日 2018年10月