働き方改革優良事例

創業50年を節目に従来の業務を見直し、
時代に即した新システム・制度を導入

株式会社サンネットワーク

  • 卸売業・小売業
  • 西部
  • 101〜300
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒739-1751 広島県広島市安佐北区深川2-49-23
URL http://sunshinegroup.co.jp/
業務内容 職場向けのお弁当の製造・販売
従業員数 108名(男性25名、女性83名)

(2018年7月現在)

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  • なぜ時間外労働が多いのか、その理由を追求
  • 現場を見直し弁当製造の工程管理を徹底
  • 受注をシステム化し作業効率をアップ
  • 組織再編により責任者のマネジメントの負担を軽減
  • 65歳以上(製造部門は70歳以上)の従業員に活躍の場を提供

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取り組んだ背景とは? ~時間外労働削減に向け、業務の見える化・仕組み化を推進

広島県内の主要エリアと岩国市を中心に、オフィス向け宅配弁当サービスを提供している同社。以前から時間外労働が多いことが課題になっていたため、2〜3年前から就業規則の見直しを進めていた。「何とか改善しなければと思っていた矢先、見直しを相談していた社会保険労務士法人から、広島県働き方改革実践企業へのチャレンジを提案されたんです」と代表取締役の田川幸雄氏。専門家のアドバイスを受けながら従来の制度や慣習を見直し、全従業員に向けて「業務の見える化と仕組み化を図ろう」という方針を田川氏が打ち出した。


取組導入のプロセス ~残業の理由は何か? 明らかにすることからスタート

田川氏が初めに着手したのは、なぜ時間外労働が多いのかその理由を探ること。月1回の総務部門会議で、出退勤時間のデータを共有し、終業時間が遅い従業員に理由を聞いたところ、「仕事が済んでも他の仲間が帰らないので、何となく残ってしまう」「雑談をしていて退社を逃してしまう」などの声が上がった。従業員同士の仲の良さ、付き合い残業などが理由になっている場合も多々あることが分かり、そういった意識を改革する意味を込めて、「2019年5月31日までに、正社員の時間外労働を45時間以内にしていく」という取組目標を設定した。


主な取組と工夫点 ~長く継承されていたアナログな業務を一新

料理人任せだった製造現場の見直し

製造事業部では、経験が長い料理人が現場全体の采配を担い、パート従業員に指示を出していた。配送にかかる時間まで考慮したスケジュール管理ができておらず、忙しい時などは「もっとスピードを上げて」と声を掛ける程度の指導が目立っていた。そこで、日々の受注に合わせて1日の製造カリキュラムを組み、現場スタッフはチャートに沿って動く仕組みを導入。注文を受ける販売事業部とのすり合わせにも力を入れた。
「今日はこの時間までに作業を終わらせようという目標を立てて、パート従業員を巻き込んで業務改善を進めたところ、次第に結果が出るようになりました。みんなそれが面白くなって、もっと効率的に働こうという従業員の意識改革の相乗効果が生まれました」と製造事業部工程管理部部長の有井氏は話す。

新受注システムの導入で業務をスリム化

「お弁当は何個必要ですか」という電話を、納品先の各企業に毎日かけるという、昔ながらの受注を行っていた販売事業部。請求書作成も手計算によるもので、非常に効率が悪いという問題を抱えていた。そこで、パソコン上で顧客情報の画面を開き、注文を確認できるシステムを導入したところ、受注に合わせて請求額も自動計算されるようになった。
「ペーパーレス化に初めは戸惑いましたが、習うよりも慣れろの努力をしました。今では便利に使いこなしています」と販売事業部Bブロック長の山本さん。現在はインターネット受注への完全移行中で、2018年末をめどに完了する予定だという。

組織再編によるマネジメントの効率化

販売事業部では、多数の顧客・配送担当者を責任者1人で管理していたため、負担が大きかった。そこでリーダー格の人数を増やし、10人のブロック長がそれぞれ4人の配送担当を管理するブロック制を新たに導入した。管理顧客数および部下の少人数化でマネジメントがスムーズになった。ブロック長が部下に対して積極的に関わる姿勢も見られるようになり、チーム内のコミュニケーションも活発になっている。

完全週休2日制・シフト制の導入

同社の休日は週休2日制が基本だが、以前は土曜日も出勤する従業員が多かった。しかし取組を進める中で、本部業務を見直したところ、必ずしも土曜日に対応しなくてもよい仕事があることが判明した。平日に、業務を効率的に終わらせる意識を浸透させたことで、本部は完全週休2日制に移行できた。販売事業部・製造事業部にも、シフト制を導入した。あらかじめ必要な従業員の人数を把握し、誰もが公平に休みを取れる体制を整えた。

戦力となるベテラン従業員を応援

働く意欲のある65歳以上の従業員をサポートする雇用制度(短時間勤務・シフト調整など)を設けており、販売事業部の12人が利用している。製造の現場では70歳以上まで対象を広げ、25人(65歳以上8人、70歳以上17人)の従業員が活躍している。

従業員から社長宛ての個人通信

田川氏が社長に就任して以来、25年間続けているのが、従業員から社長への月1回の個人通信制度。現場の人間関係の悩みや直属の上司に伝えづらいこと、休日に経験したことなどについて、テーマや文字数の制限なく自由に意見や感想を書いて提出する。「職場の状況が分かりますし、問題解決・改善の糸口が見つかることもあります。これからも継続していくつもりです」と田川氏は話す。

親睦を深める恒例の社内イベント

仕事を離れた場所でも、従業員同士が積極的に交流できるように、福利厚生の一環として夏の納涼祭、冬の忘年会などのイベントを開催している。毎回、パート従業員を含め100人以上が参加している。以前、社員旅行などを企画・実施していた「社員の会」の活動も2018年から再スタート。会席料理の場をセッティングするなど工夫を凝らしたところ、とても反響が良かったため今後も続けていく方針である。


取組の中での苦労点

「最も苦労したのは、従来の方法に慣れている、製造事業部の料理人との意識共有です」と有井氏は明かす。当初は「今更なぜこんな違った方法を取り入れるのか」という反発の声が上がり、完全な受け入れまでに時間がかかったという。しかしパート従業員を主体に、新たな仕組みを推進したところ、以前よりも調理スピードが上がり料理の味も安定。明らかな結果が出たことが、現場のモチベーションアップにつながった。


取組の成果

時間外労働を抑制する取組の一環として「残業申請」を導入し、申請書になぜ残るのかを記入するようにしたところ、その日に行う必要がない業務で残業する従業員が減少した。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が101.9時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率45.6%


従業員からの評価

「1年前に導入されたシフト制で、休暇の希望が出しやすくなりました」と販売事業部Bブロック長の山本さん。「子どもの学校の行事などでどうしても休みたいという日がありますが、それらの要望に柔軟に対応してもらえるようになったので、すごく助かっています」と語る。また、それぞれの従業員が労働時間・退社時間への意識を持ちはじめたことも実感。「効率的に働けているか、自分の仕事を見直そう」という変化が、社内の雰囲気に表れている。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

本部以外の事業部門(製造・販売)で、有給休暇の取得率が低いため、2019年4月から義務化される「有給休暇の5日以上の取得」のハードルをどうクリアするか、業務内容や制度の見直しを引き続き進めている。「今後も問題を洗い出し、一つ一つ改善を進めていきます。理想は『当社はこんな働き方改革をしています』というPRをしなくても、従業員の家族が変化を実感してくれることです」と田川氏。例えば、家族から「早く帰るようになったね」「休みが増えたね」などの声を聞けることが、本当の意味での取組の成果なのではないかと話す。
同社では4年前、野球経験がある高卒入社の従業員で、社会人軟式野球チーム「サンシャインフェニックス」を結成している。「いずれは野球観戦などの社内レクにも、従業員の家族を呼んで交流を深めたい。働き方の見直し・改善を継続しながら、これまで以上に従業員とその家族を大事にできる会社に成長していきたいと思っています」と田川氏は締めくくった。

取材日 2018年10月