働き方改革優良事例

従業員の声を傾聴しながら
業務改善や個人のキャリアアップ支援

社会福祉法人泰清会

  • 医療・福祉
  • 東部
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 時間・場所等の多様な働き方
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒723-0017 広島県三原市港町一丁目3番22号
URL http://www.snrs.or.jp/
業務内容 社会福祉事業(介護・児童・発達支援)
従業員数 285名(男性73名、女性212名)

(2018年6月現在)

seika_header.png

  • 多様な働き方のための兼業・副業を規定に明文化
  • 気軽に相談できる「心の相談室」の設置
  • 全従業員からアイデアを募集し業務改善を検討
  • 効率化に向けたITツールの導入
  • 新人から管理職まで段階別研修の実施

seika_footer.png

取り組んだ背景とは? ~仕事と家庭・子育ての両立で、働きやすい職場を目指す

県東部で、高齢者介護と児童保育の分野で、社会福祉サービスを提供している同法人。「この業界は慢性的な人手不足です。国を挙げて、働き改革への取組が活発化したことをきっかけに、私どもも取組を加速させることにしました。従業員が仕事と家庭・子育てを両立させることができ、能力を十分に発揮できるよう、働きやすい職場環境を整備することを目指しています」と、理事長の後藤和之氏。
取組の目玉として、兼業・副業を許可する規定を明文化し、従業員に対し、法人として働き方改革を推進していくことを宣言した。あくまでも勤務に支障がないことが条件だが、従業員の個々のニーズに応じた多様な働き方を尊重する取組の一環である。


主な取組と工夫点 ~従業員の声を傾聴し、改革の推進と個人のキャリアアップへ

心配事など気軽に相談できる「心の相談室」の設置

同法人では、従業員の声をくみ上げることに力を入れており、各事業所単位で、管理職などによる個別面談を実施している。自己評価と第三者による評価をもとに、本人の業務改善やキャリアアップを図ることが主な目的だが、定期的に聞き取りを行うことで、現場での不満やトラブルの防止にも寄与している。また風通しの良い職場とするため、現場トップと従業員の意見交換として、各施設長が従業員との直接面談を年1回実施している。さらに年2回は、理事長自らが各施設を回って、従業員の声の傾聴を細やかに行っている。
「従業員にヒアリングをすると、さまざまな問題を抱えていることが分かります。そこで業務だけでなく家庭等の個人の心配事などを相談できる『心の相談室』を2018年5月に設けました。もちろんプライバシーにも配慮していますので、気軽に相談できる場所として機能してきていると思います」と、総合管理室チーフマネージャーの林さん。「心の相談室」では臨床心理士が対応し、一人当たり1時間から1時間30分ほど相談を行っている。

全従業員からアイデアを募集し業務改善を検討

5年前から毎年、業務改善に関するアイデアを全従業員から募集している。実際は、コスト面などですぐには実施できないアイデアも多く、以前は個々人ができる範囲を中心に改善を検討していた。しかし現在は、効果が期待できる提案は担当者を決め、各事業所から担当者が参加する会議で積極的に検討を行う。他事業所・他職種の状況や視点を理解し合いながら検討し、中長期ビジョンの中に織り込み、法人全体で改善に向け取り組んでいく仕組みになっている。優れた業務改善案については、表彰制度も用意している。

効率化に向けたITツールの導入

効率化に向けて業務改善を検討する中で、法人全体でIT化を推進した。
「業務システムや電子印の導入で、事務処理時間が大幅に減りましたが、現場で最も好評なのは、タブレットの導入です。業務の記録や確認が、その場で行えるのは大変便利です」と林さん。
業務改善の検討は、介護ロボット(マッスルツール)の導入について従業員間で話し合うきっかけにもなった。導入により、介護者の身体的負担を軽減するだけでなく、複数人で行っていた業務が一人で可能となるなど、現場の効率化にもつながった。

新人から管理職まできめ細かな段階別研修の実施

適正な勤務体制の構築および生産性の向上、さらには専門性の深化のために、従業員の段階に応じた研修を実施している。外部研修への参加の他に、内部研修も実施しており、内部研修では必要に応じて専門講師も呼んでいる。知識・情報・技術・技能の習得により、専門性が深まり実践力が高まるだけではなく、研修を通じて従業員同士の連帯感も深まっているという。特に中堅の従業員にとっては、より高い目標を持って、仕事や組織活動に参画するきっかけになっている。
管理職は、人事労務や人材育成などの研修により、職場での各自の役割を再認識するとともに、組織全体としての協働体制を作り上げていくスキルを身に付けていく。業務の指揮・管理や、従業員の育成・管理の能力を高めることに加え、組織の目指す方向や取組を明確に従業員へ伝える、先導役としての活躍も期待している。
新人の従業員には、早く職場に慣れるように「新卒・中途職員オリエンテーション」を年2回開催している。新人に担当指導者が付く、マンツーマンのエルダー制度を導入し、就業から現場での独り立ちまでを細かくフォローしている。また福祉の業務にはさまざまな資格があるため、資格取得に向けた計画的な研修の実施で、一人一人のキャリアアップも支援している。

女性の働きやすい職場づくり

女性の多い職場でもあるため、マタハラ(マタニティ・ハラスメント)や、アルハラ(アルコール・ハラスメント)の防止に努めており、育児介護休業等に関する規定の中で、そういった行為の禁止を明示している。


取組の成果

業務改善の成果が大きかったのは、業務システムの導入および統一だという。法人内サービスの情報共有が図られたことで、各事業所で業務管理に要した時間が短縮され、情報伝達ミスも大幅に減った。併せて導入した電子印も、書類作成などの事務処理時間の短縮、書類管理の簡略化に大きな効果があった。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が142.4時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得日数は11.8日

兼業・副業

・グループ全体で約10名が行っている(自営の手伝いや別分野への従事など)


従業員からの評価

「臨床心理士が相談に応じる『心の相談室』で、“すっきりした”“リフレッシュできた”といった声を聞いています。ざっくばらんに悩みを聞いてもらえる環境が整いつつあるのではないでしょうか」と林さん。
「従業員とのコミュニケーションを図るために、理事長が定期的に事業所を周って、声を掛けてくださいます。従業員を気に掛けてもらっているというのがうれしいです」とサンライズマリン瀬戸の山本さん。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

育児や介護の休業や短時間勤務、子どもの看護休暇などの諸制度について、さらに周知する必要があるという。子どもが3歳になってから小学校就学までの間で、育児休業の短時間勤務に該当しない従業員に対しても、希望する場合には対応できる制度の導入も検討していく。
「副業や兼業を許可していますが、休む時はきちんと休むことも大切です。バランスよく浸透させるには、まだ時間はかかると思います。仕事と家庭・子育てを両立させ、能力を十分に発揮できるよう働きやすい環境づくりに取り組むという法人の方針を、従業員にもっと周知徹底していきたいです。そのためにも、私たちが従業員の声に耳を傾けるといったことを、手間を惜しまずやっていきたいです」と後藤氏は締めくくった。

取材日 2018年9月