働き方改革優良事例

飲食サービス業界で1カ月の連続休暇など
革新的な取組を行い、魅力ある職場へ変革

株式会社EVENTOS

  • サービス産業
  • 広島市
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 休暇取得の促進
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒730-0842 広島県広島市中区舟入中町4番35号
URL http://www.eventos.co.jp/
業務内容 ケータリング、飲食、産直市、ワインショップ
従業員数 47名(男性19名、女性28名)

(2018年7月現在)

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  • 11日間の「チャレンジ休日」を導入し、1カ月連休も可能に
  • 1人3役の多能工化で、生産性の向上と休みやすい風土を醸成
  • 25歳以下の「若手会」でコミュニケーションを活性化
  • 定期的な面談を行い、家族とのつながりも重視して就業を支援
  • 女性従業員の就業継続を支援。ロールモデルの育成にも注力

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取り組んだ背景とは? ~飲食サービス業を魅力的な業界にするために

「“from farm to table(農園から食卓まで)”をコンセプトに、ケータリングサービスやワインショップ、飲食店、産直市などを運営していますが、残業が多い、夜が遅い、収入が低いというイメージが先行して、この業界に興味はあっても飛び込むことを諦めている人が多く、とても残念です。諦めなければ手に入る仕事のやりがいや喜び、幸せは、この業界にもたくさんあります。自分の目的を持って、いきいきと仕事ができる職場をつくりたいという思いでいます」と、代表取締役の川中英章氏は取組の意図を話す。


取組導入のプロセス ~苦い経験から、働きやすい環境を目指す

創業して「最初の20年間は、従業員の働きやすさなど頭になく、損得を判断基準にした経営を行っていました。離職率が高く、会社の利益は求人に使うという悪循環でした」と、川中氏は振り返る。経営について考え直そうと加入した広島県中小企業家同友会で、「従業員が信じ合っていない、共通目的がない。そんな会社はただの集団だ」と言われ、目が覚めたという。そこであらためて会社の理念や哲学を学ぼうと奮起し、多くの外部研修への参加や会社訪問などを行った。
「会社訪問は、同業他社に行くと、どうしても業界の話で終わってしまいがちですので、食品メーカーなど、関連はあっても異なる業界をあえて選びました。さまざまな会社を見て、『従業員は商品のことを考え、社長は従業員のことを第一に考える』ことが重要だと気付きました。今は、その考えこそが、会社の力を高めると思います」と川中氏。そこから「新鮮でワクワクする『食の環境づくり』に貢献し『誇りと豊かさ』を育みます」という経営理念を策定した。
「2008年に、初めて新卒者を採用しました。しかし経営理念は新しくなっても、旧来のやり方で仕事を教え、労働時間も長い環境の中では就業が続かず、自分の力不足を感じました。翌年に採用した女性従業員がなんとか定着してくれたことから、これからも働き続けてほしいと、産休・育休を取得しやすいように制度を整備し、彼女が社内の育休取得第1号になりました」と川中氏。従業員の定着に向けて、休日制度の導入や女性従業員の就業継続など、働きやすい環境づくりを進めている。


主な取組と工夫点 ~自主性を重視し、チャレンジ休日や1人3役を推進

従業員の自主性を尊重した「チャレンジ休日」でモチベーションをアップ

「人生で足りないと思っていることへ挑戦して手に入れよう」という願いを込めた「チャレンジ休日」を制度化した。11日間の「チャレンジ休日」は連続取得もでき、有給休暇と合わせて最大1カ月超の休暇も可能だ。海外旅行を満喫したり、資格や免許の取得を目指したり、国際貢献活動に参加したりと、利用の仕方もさまざま。半年前の申請を条件にすることで、事前に従業員の勤務調整を行うことができ、連続休暇も取りやすい雰囲気をつくっている。
「過去には本場のフランス料理を学ぶため、チャレンジ休日を利用してフランスへ行った従業員もいます。若手を中心にチャレンジ休日は利用されており、昨年の取得率は約70%です。今は、さらに制度を周知し、利用を促進するために“運用手引きルールブック”を作成しています」と、総務担当の若林さんは話す。会社として、従業員の自主性を尊重しており、この休暇を利用して、従業員のスキルアップやモチベーションアップに期待している。

1人3役の多能工化で、生産性の向上と協力体制を強化

生産性を上げるため、全従業員が3つの仕事をできるように1人3役の多能工化を推進している。「1人3役とは、例えば私は社長であり、ワインショップの店員であり、ソムリエです。それぞれ全く異なった役割を3つ持つことで、仕事の領域を拡大し、多彩な分野の知識を習得できます」と川中氏。ソムリエ、ケータリング営業、人事部門などの3つの異なる業務を担当している従業員もいる。こうした多能工化の実現のため、年に2回の面談で従業員の意見や要望を聞き、それを踏まえたキャリアアップのカリキュラムを用意し、研修を実施している。それぞれが複数の業務を担当することで、従業員の休みの際にもカバーがしやすく、協力体制が強化された。

若手従業員のコミュニケーションの場「若手会」の発足

若手従業員のコミュニケーションの場として発足した「若手会」は、25歳以下の従業員が定期的に食事会などを行うもので、会社が費用を補助している。「他部署の従業員と、情報共有やいろいろな相談を行う場として活用されています。話題のレストランへ行き、料理やおもてなしの仕方を学ぶなど、勉強の場にもなっているようです」と若林さん。
入社1年目の従業員は、年に一度の社内レクリエーションイベントの幹事も担う。どこで何をするかは全て任され、費用も提案できる。レクリエーションイベントとはいえ、一つの企画を任せることで、新入社員の自主性を育成することも目的にしている。「今年は、どんぐり村で運動会とバーベキューです。鹿児島旅行や海水浴など、毎年個性があって楽しいです」と川中氏。

家庭訪問や社長自らの連絡で、家族の会社に対する理解を促す

月に1回、社長同席の部署長ミーティングや、2カ月に1回、店長による個人面談を行うことで、従業員のさまざまな意見を吸い上げている。従業員の家族とのつながりも大切にしており、新卒採用を始めた10年前から、内定者に対して家庭訪問を行っている。
「家庭訪問では、会社の方針や制度などを丁寧に説明することで、ご家族の方に会社のことを理解してもらえ、安心していただけます。家族の理解は、会社や従業員にとって大きなサポートになります」と、川中氏は語る。家庭訪問以外にも、若手従業員の異動などの転機には、社長自らが従業員の両親にメールを送信して、理解を得られるよう心掛けている。

細やかな面談や研修会の実施で、従業員の就業継続やキャリアアップを図る

産休・育休を取得する従業員に対して、休業前に2回、休業中または復職後にも面談を実施し、休業に対する不安を取り除けるようサポートしている。さらに妊娠から産休、育休、復職までの一連の流れについて、会社独自の資料を作成し、最初の面談時に配布している。これには、社内制度の紹介だけでなく、行政手続きや健康面での留意事項などが網羅的に記載されている。
その他にも、就業継続や女性の管理職登用のために、ロールモデルの育成にも力を注いでいる。実際、入社3年目で店長になった女性従業員が若手の動機付けとなり、知識の習得や意欲を高めるきっかけになっているという。


取組の成果

「先日、あるイベントに同行した入社2年目の女性従業員が、『うちはホワイト企業です』と、他社の人に発言して驚きました。10年前とは全然違うという話も従業員からよく聞き、変わっているのだろうなと実感しています」と川中氏。
「社内のコミュニケーションが活発になりました。以前は『見て覚えろ』と言っていた熟練従業員が、若手従業員へよく声を掛けるようになるなど、職場の雰囲気が明るくなりました」と若林さんも続ける。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が 143.8時間
・チャレンジ休日の年間平均取得日数 8日

女性活躍(直近3年間)

・管理職(課長級以上)に占める女性従業員の割合 50%


従業員からの評価

「チャレンジ休日は、先輩と旅行に行ったり、研修会に参加したり、有効に使っています。チャレンジ休日で研修に行く場合には、研修費は全額会社が負担してくれています。3年目で店長になりましたが、若手が相談しやすい雰囲気づくりに努めています」とOishi吉山店長の田中さんは語る。


今後の目標など

「今後は二つの目標があります。一つ目は、働き方改革の取組を進めながら、必ず売り上げで成果を出すこと。それが地域の同業他社への刺激になり、業界のサービス向上にもつながると考えています。二つ目は、飲食サービス業が素晴らしい仕事だと認識してもらうことです。自分で材料を探して、好きな味付けをして、好きな食器や音楽で提供する。まさに最高の自己表現です。その価値を若い人に伝えたいのです。魂が喜ぶ仕事として業界の底上げをするとともに、求職者に選ばれる会社になりたいです」と、川中氏は今後の展望を語った。

取材日 2018年10月