働き方改革優良事例

社長のリーダーシップのもと
働きがいをいかに高めるかを日々追究

株式会社シンギ

  • 卸売業・小売業
  • 広島市
  • 101〜300
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 休暇取得の促進
認定マーク
所在地 〒730-8662 広島県広島市中区南吉島2丁目1番24号
URL http://www.shingi.co.jp/
業務内容 食品パッケージの企画・製造・販売
従業員数 190名(男性139名、女性51名)

(2018年7月現在)

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  • 社員意識調査と社長とのコミュニケーションをもとに改革
  • 社長と社員の懇親会「社長と語る会」の開催で思いを共有
  • 社員と家族の健康を重視し、脳ドックや配偶者健康診断を実施
  • バースデー休暇制度を導入し、有給休暇の取得を促進
  • 「Thanks & Proposal」カードの導入による“働きがい”の向上

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取り組んだ背景とは? ~“働きやすさ”と“働きがい”の両軸を土台に

食品パッケージの総合商社として、企画・製造・販売などを行い、全国に16カ所の営業拠点を持つ同社。24時間稼働のお客様も多く、安定した供給やスピードも求められる。
「社員一人一人の“働きやすさ”と“働きがい”をいかに高めるかが、経営者としての使命であり、これまでもさまざまな工夫や改善を取り入れてきました。しかし責任ある業務を全うするため、社員の中には長時間勤務や休日出勤は当たり前という考えが、かつては蔓延していたと思います」と、代表取締役の田中友啓氏は振り返る。
そのような中、2015年に、第一線で業務の中核を担う社員2名が相次いで大病を患い、さらには幸いそのような事態には至らなかったが、配偶者の看病のため休職する社員も出るかもしれないという事態が生じた。危機感を覚えた社長のリーダーシップのもと、社員の健康確保の視点から働き方改革の取組を加速させた。


取組導入のプロセス ~アンケート調査、社長と社員の交流からニーズを把握

まず、健康経営を意識した2015年以降は、会社の全額負担による健康診断を手厚く実施した。同時に、社員の意識改革を促すため業務の効率化や残業の削減など、働き方の見直しを図った。
同社では、2012年から年1回全社員に対し、社員意識調査を実施している。これまでも、その調査結果を踏まえて、福利厚生や給与水準、職場環境、研修制度などの検討・改善を行ってきた。今回の取組においても、このアンケート調査結果を活用しつつ、社長自身が社員との交流の場で、会社の現状や社員のニーズを把握していった。その上で改善策を探りながら、具体的な課題や目標を定め、人事総務部が具体的な施策へと落とし込んだ。


主な取組と工夫点 ~社員が安心して働き、働きがいを感じられる職場に

社員とその家族も安心して働ける職場づくり

前述の健康診断は、社員の配偶者(40歳以上)に対しても会社負担で行い、40歳以上の社員には、隔年で脳ドックの受診も会社が負担している。このきっかけについて、田中氏は次のように語る。「配偶者の看病のため、長期で休職する社員が出るかもしれないという事態に陥った際に、社員だけではなく、社員の家族の健康も大事だと痛感しました。早期に体の異変などが分かれば、病気だけでなく、会社のパフォーマンスを下げる休職も防げるかもしれないと思い、配偶者に対しての健康診断を始めました」
その他にも、子どもの入学祝い金制度(中・高・大)も創設した。「以前から出産祝い金制度はありましたが、社員とのコミュニケーションの中で『高騰する教育費が負担だ』という声を聞き、そこからこの制度が生まれました」と田中氏。

「社長と語る会」で思いを共有し、社員のモチベーションをアップ

「社員意識調査の中で『組織上層部と接する機会が少ない』『経営方針がタイムリーに伝わりにくい』といった声が上がりました。そこで会社の方針を説明する機会も兼ねた、コミュニケーションの場として、少人数単位での『社長と語る会』を発足しました。社長と直接語り合うことで、よりタイムリーに経営方針を知ることができ、みんなが会社のことを考えるようになったと感じます」と人事総務部長の升田氏。
全社員が参加し、県外の事業所の場合は、社長の県外出張の機会を利用して開催している。ここで出てきた社員のニーズを人事総務部にフィードバックするとともに、社長自身も社内制度や会社の在り方について検討している。

仕事にメリハリを付けて働ける環境を目指す

同社では、2016年からバースデー休暇制度を導入し、有給休暇の取得を推奨している。この制度も「休日に運転免許更新に行った際、大勢の人が殺到していてストレスを感じた。有給休暇を使えばもっと楽だろう」という発想から生まれたものだ。
また社員の健康面の考慮と、効率化を意識してもらうために、20時以降の残業を原則禁止(最終退社時間20時)とした。併せて業務改善の視点から、PCによる労働時間の見える化、一部業務のアウトソーシング化により、長時間勤務の発生を抑制した。「労働時間の見える化により、社員同士で業務を分担して行う意識も芽生えています」と、升田氏は語る。

顧客満足度向上と、社員の“働きがい”を高める「Thanks & Proposalカード」

同社では、一部の業務で仕事に対するやりがいが低いという課題があった。そこで顧客満足度の向上を図るとともに、全社員にやりがいを持って働いてほしいという社長の思いから、「Thanks & Proposalカード」を2016年度に導入した。このカードは、顧客や他の社員からのThanks(感謝)と、満足度向上のためのProposal(提案)を記入して共有する仕組みになっている。2カ月ごとに1人最低1枚を提出するルールで、提出分については毎回総務部で審査を行う。特に参考になる内容については、表彰を行い社内報に掲載し全社員で共有する。仲間に感謝の言葉を掛けることが、社員のモチベーションのアップや、チームワークの強化につながっているという。
「いつも朝一番に来て、当たり前に業務を行っていただけなのに、『Thanks & Proposalカード』を通じて、他の社員から感謝されていることを知りました。とてもうれしかったです」と、管理部の久保さんは喜ぶ。


取組の中での苦労

「20時以降の残業は、届け出を行うことになっていますが、当初は定着しませんでした。そこで社員一人一人に、取組の意義を根気強く説明していきました。そこで感じたのは、会社側の狙いがきちんと伝わっていなかったということです。改革には“理解や納得”がなければ、前へ進まないのだと思いました」と升田氏。
「取組を行うと決めたからには、継続して徹底しなければ意味がありません。途中でとん挫することがあれば、次に何かやろうとするとき、社員に信用してもらえず、誰もついてこないと思うのです」と、田中氏は続ける。


取組の成果

働きやすさに向けた取組を進めることで、採用面においては、新卒者のエントリー数が格段に増えているという。毎週朝礼時に実施している同社のフィロソフィブックであり、行動指針でもある冊子「シンギらしく」の読み合わせや、「社長と語る会」での社員とのコミュニケーションを通して、会社の取組方針も徐々に浸透してきた。「社員の参画意識やモチベーションが向上したことは、大きな成果だと思います。今までは他人事だったことも自分事ととらえるようになり、社員から会社に対する提案も積極的に出されるようになったと感じます」と升田氏は語る。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が156.1時間

人材の定着(直近1年間)

・常用雇用者の離職率が3.7%


社員からの評価

「システムの導入により、業務が効率化した」「バースデー休暇制度による有給休暇の取得促進で、以前よりも休暇が取得しやすくなり、プライベートが充実した」などの声が上がっている。
「役員との距離がとても近く、意見が言いやすい社風で、女性の活躍の場もどんどん増えています。努力すれば評価をきちんとしてくれるので、働きがいという意味では、年々満足度が高まってきていると思います。まだまだ足りないところもありますが、子育てしながらでも安心して働ける環境です。女性の離職率が低いのも、その証しだと思います」と、人事総務部の内藤さんは語る。


今後の目標など

今後も働きやすい職場づくりに向けて、有給休暇の取得促進や残業時間の削減、その他にも社内制度の周知や、女性の管理職への登用といった取組を検討している。一方で全社員のやりがいをさらに高めることが、大きな目標となっている。
「特に、お客さまからダイレクトに感謝される機会が少ない、間接部門の社員のやりがいをいかに向上させていくかが課題です。『Thanks & Proposalカード』の取組もその一つですが、今後も全社員が一体感を持ってお互いの能力を認め合い、やりがいを持って働ける会社にしていきたいと考えています」と、田中氏は締めくくった。

取材日 2018年10月