働き方改革優良事例

地元の中小企業の模範となること目指し
従業員目線の取組を実施

協同組合サングリーン

  • その他産業
  • 三次市
  • 1〜30
  • 推進体制(経営者)
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒728-0013 広島県三次市十日市東四丁目1番30号
URL https://sungreen.jp/
業務内容 協同組合ショッピングセンター事務局
従業員数 12名(男性5名、女性7名)

(2018年6月現在)

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  • 担当の垣根を越えて、仕事をカバーし合える体制づくり
  • トップが積極的に促すことで、失敗を恐れず行動する環境へ
  • “お互いさま”の精神で、協力し合える風土づくり
  • バースデー休暇・マイホリデー休暇の計画的付与
  • 月2回の朝礼の場で、円滑な意思疎通の下地づくり

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取り組んだ背景とは? ~地元の中小企業の模範となること目指して

同組合は、三次市の中心にある大型のショッピングセンター「サングリーン」を事務局として支えている。三次市の人口は5万人強だが、サングリーンには1日平均で6000人が訪れる。その中で同組合は、表側では施設内におけるイベント企画やサービスカウンターにおけるインフォメーション業務、裏側では施設管理、経理業務、伝票整理、カード会員管理や応対など、さまざまな業務を行っている。
事務局長の土肥誠治氏は、「私たちの仕事は、ショッピングセンターを訪れてくださる地域のお客さまや、組合員やテナントの方々があってのものです。物やサービスを売るだけでなく、地域と結び付き、貢献することを大切にしています」と語る。
ショッピングセンター自体は休館日がほとんどなく、施設は大きくても事務局は少ない人数で運営されている。そのため以前は、残業も多く有給休暇は取りにくかったという。地域への貢献を目指す自分たちがそのような状況では良くない、地元の中小企業の模範となることを目標にしようと、働き方改革に取り組み始めた。


取組導入のプロセス ~担当の垣根を越えて、仕事をカバーし合う

2015年初めに、性別などに関係なく家庭と仕事を両立できることを重点目標に、就業規則の見直しや整理を行い、一般事業主行動計画を作成した。
制度を整える一方で、実務は内容が多岐にわたるため個人に依存する業務が多く、休みにくいという状況があった。そのため、一人で行っていた業務も複数人で担当するように変え、多能工化を図ることにより、誰かが休んでも業務に支障が出にくい環境づくりに着手した。
土肥氏は「職務分掌を具体的にしすぎると、ともすれば担当以外の仕事をしなくなってしまいます。担当の垣根を越えて、仕事をカバーし合える体制づくりを推進した結果、“お互いさま”という考えが浸透し、休みやすい風土ができてきたと感じます」と、少人数の職場だからこその協力体制の重要さを語る。
同時に情報公開も徹底した。会議の内容や決定・報告事項を文書として公開することで、事務局内をはじめ組合員などからも理解を得られるようになり、協力につながったという。同組合の取組は、従業員を尊重し、積極的な行動を促す一方で、トップが積極的に方針を打ち出したことで大きく進んだ。さまざまな取組に対する不安はあっても、トップの意思表示があることで、挑戦を恐れず改革を行える組織になった。


主な取組と工夫点 ~お互いを理解することで協力を促す

バースデー休暇・マイホリデー休暇を計画的に付与

有給休暇は、従業員の都合で自由に取得できるが故に、毎日休みなく店舗が運営されている中では、なかなか消化されない状況があった。そこで有給休暇の3日間をバースデー休暇とマイホリデー休暇として計画的に付与することを制度化した。その結果、負い目を感じることなく休暇を取得して、家族と自由に過ごしたり旅行に行ったりするなど、積極的に活用されるようになった。
土肥氏は、「以前は休むことに遠慮がちでしたが、今では堂々と休んで、お土産を持って帰って来られる雰囲気です」と、心理的な変化を語る。

皆で協力し、家庭と仕事の両立を目指す

2015年から、男性の育児休業の取得促進にも乗り出しており、2015年9月には初の育休取得者1名が誕生した。2016年には「イクボス同盟ひろしま」にメンバー登録しており、「仕事だけでは駄目。家庭と両立すべき」という考えを発信することで、子育てや介護を行っている従業員が必要な時に休めるよう、皆で配慮し協力する風土を培ってきた。家庭の事情や業務状況によっては、お昼に帰宅できるよう休憩時間を延長するなど、柔軟な対応を行っている。土肥氏は、「職場の雰囲気が変わり、お互いが気遣い合うような極めて円満な職場になっています」と、取組の手応えを感じている。

月2回の朝礼の場を円滑な意思疎通の下地づくりに

従業員間のコミュニケーションを図ることを目的に、始業前の朝礼を月2回行っている。持ち回りで司会になり、好きなことを自由に話す機会を設けているが、ちょっとした情報の発信や共有を行うことが、円滑な意思疎通につながっているという。仕事以外の内容も多いが、むしろ業務の範疇を超えたつながりを持つことが、良好な人間関係づくりに有効だという。


取組の成果

「人間関係を良くするために、食事会など何でも話し合える場を設けています。誕生日には、職員互助会でプレゼントを贈りみんなで祝う機会も設けていますが、これらの取組により、従業員の定着率が良くなっていると思います。働き方改革を考えるとき、制度や体制など目に見える部分を優先しがちですが、従業員の満足や感情を大切にすることも必要ではないでしょうか」と、土肥氏は語る。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が162.9時間


従業員からの評価

経理課長の松岡さんは、「昔は、忙しい時は何時になっても仕方がないという感覚がありました。しかし結婚して子どもが生まれると、時間の使い方が変わりました。経理の仕事は日々業務があり、自分の代わりがいなかった昔は休むのも大変でした。事務局が変わってくれたことで、休みやすくなり、子どもの相手をできるようになりました」と、自らと事務局の変化を語る。
事務局の藤井さんは、「私は、短時間勤務で働いていますが、時間を柔軟に調整してもらえますので、子どもがいる土日祝は休むことができています。上司や従業員のみんなの理解があり、業務を引き継ぎながらフォローし合ってくれますので、逆にここまでしてもらっていいのかと思うぐらいです」と話し、理解のある職場に感謝している。


現在取り組んでいる上での課題と目指す未来像

「少しずつ変わっているものの、全員の要望を完全に満たすよう休暇を取るには、まだ難しいところがあります」と、庶務の山根さんは語る。定休日のないサービス業で、1年を通して業務に大きな波があるため、人数が少ない中でのシフト管理や仕事量の調整には苦労が尽きないという。有給休暇の消化や、家庭と仕事の両立に向けてさらなる改善を行うには、従業員同士の協力関係の強化と効率化が欠かせない。
最後に、目指す未来像を土肥氏は語った。「サングリーンには50を超える店舗・事業所がありますが、この従業員においてはなんらかの資格を持つ者の雇用率が高いという特徴もあります。この地域の貴重な就労の場であるとともに、人材が集まる場所にもなっているのです。これからも働き方改革を進めつつ地域貢献に取り組み、地域の方々が誇れる場所になりたいと考えています。例えば今も、売り上げの一部を地元の中学校のクラブ活動に寄付する取組や、地元の高校生を受け入れるインターンシップなどに取り組んでいますが、単なる商業施設にとどまらない、地域と共にある場所になることを従業員一同で目指していきます」

取材日 2018年10月