働き方改革優良事例

従業員目線で取り組む
幅広い世代が長く活躍できる職場づくり

社会福祉法人慈照会

  • 医療・福祉
  • 北部
  • 101〜300
  • 推進体制(経営者)
  • 休暇取得の促進
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒728-0001 広島県三次市山家町597
URL https://jishokai.jp/
業務内容 高齢者福祉事業
従業員数 211名(男性68名、女性143名)

(2018年7月現在)

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  • 定期的な面談で、職場の問題を相談できる体制づくり
  • 写真などを用いた詳細なマニュアルの作成
  • ベテランが担当となるメンター制度
  • 施設内託児所など、子育てしながら働きやすい職場づくり
  • ライフイベントに合わせた柔軟な勤務形態の対応

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取り組んだ背景とは? ~人手不足の中、誰もが働きやすい職場を目指した

「人手不足が深刻な近年、従業員の目線で働きやすい環境をつくることは、職場において欠かせない取組だと考えています」と語るのは、事務長の宮武直樹氏。三次市内に複数の福祉施設を有し、総合的な介護サービスを営む同法人においても、専門的な職種や次代を担う若い世代の求人では、人材不足が顕著だという。
そこで以前から、子育て世代の若い人が働きやすい環境づくりを検討し、さまざまな取組を行ってきた。2011年には厚生労働省の「はたらく母子家庭応援企業」を受賞し、2014年には子育てサポート企業として「くるみんマーク」の認定を受けている。もちろん若年層にのみ注力しているのではなく、新卒者から高齢の従業員まで、幅広い世代が長く活躍できるよう職場環境の改善に取り組んでいる。


取組導入のプロセス ~トップの意思表示で取組が加速

まず定期的に面談を実施し、従業員が職場の問題を相談できる体制を整えた。面談などで寄せられる声から、職場環境における問題や要望を把握し改善策を検討している。
要望をもとにした取組の推進では、残業削減においてはポスターを掲示し、育児休業の取得促進においては研修を行うなど、その理解や周知に努めているが、特に理事長の声で「慈照会は、女性でも男性でも若い人でも年配の方でも、誰もが働きやすい職場を目指し、働き方改革に取り組む」と方針を発表したことの影響が大きかったという。さらに理事長自身が、管理職へ積極的に帰宅するよう声掛けも行っている。こうした取組を進めることで、定時での帰宅が当然の職場に変わっていった。
その他にも取組を進める中での変化としては、従業員同士の積極的なコミュニケーションが増え、お互いに助け合う雰囲気が醸成されたといった意識面の改善も上げられるという。


主な取組と工夫点 ~業務のマニュアル化と意識の共有で、働きやすい職場づくり

写真などを用いた詳細なマニュアルの作成

属人的な業務を減らし、代わりの者でもスムーズに作業を行えるよう、マニュアルの作成および見直しを行った。従業員の年齢層が広いことから、写真をふんだんに用いて理解しやすいことに留意した。形式的なマニュアルではなく、一目で分かる実用的な紙面になったことが、休みやすい環境づくりに一役買っている。

ベテランが担当となるメンター制度

経験年数の長い人が担当となり、従業員の指導を行うメンター制度を採用している。指導においては、漫然と教えるのではなく、メンターとコミュニケーションを取りながら考えをシートにまとめさせることで、改善すべき点や行動指針を常に意識するよう工夫している。ベテラン従業員がメンターとなり教える仕組みは、業務への改善だけでなく、自身のキャリアを考える際の身近なロールモデルとしての役割もあり、若手の不安を解消することにもつながるという。

施設内託児所など、子育てしながら働きやすい職場に

施設内には託児所を設置。育児を行う従業員も安心して働ける。また子どもを預かるだけでなく、運動会などのイベントを行うことで、従業員同士のコミュニケーションや家庭への理解も進んでいる。その他にも育休を取得中の従業員には、月に1度は事務所を訪れてもらい、同僚や上司と交流する機会を設けるなど、良好な関係維持に努めている。
宮武氏は「元気のある子どもたちがいることで、施設全体が明るくなり、入居している方にも喜ばれます」と、別の取組メリットを語る。子どもや利用者が交流し、楽しんでいる姿は、従業員にとってもやりがいの一つになっているという。
また直近の3年間では、配偶者が出産した男性従業員全員(9人中9人)が育児休業を取得しており、子育てに対する積極的な意識付けと職場の理解が進んでいる。

ライフイベントに合わせた柔軟な対応

結婚や出産・育児、子どもの受験、親の介護といった家庭の事情で、それまでと同じように勤務することが困難になる場面では、勤務形態を個々の状況に合わせて柔軟に対応している。例えば、夜勤がない部署や日曜日が休みの部署へ配置転換する、一時的に非常勤として時短勤務や休みを増やす、数カ月間の休職にするといったことを適宜行っている。

感謝をする風土づくり

同法人には、従業員の間でも感謝をするという風土がある。宮武氏は「理事長が、とにかく従業員を大切に考えています。イベントや敬老会など交流の機会では、いつも『ありがとう』と感謝の言葉を伝えています。制度の整備も行っていますが、誰かが無理をする仕組みではなく、思いやりと感謝を忘れず、助け合える環境が大事です」と話す。

スキルアップ支援

介護には、関連するさまざまな資格があり、従業員からもスキルアップを望む声が上がる。介護福祉士などの国家資格においては、受験のために実務経験などが必要になるが、同法人は実務者養成施設でもあり、働きながら資格の取得を目指せるという。実務経験を積みながら、実務者研修の一環として学習できる環境も用意されている。資格を取得すると手当も支給されるため、従業員のモチベーションも向上する。その他にも、感染予防や熱中症予防への対策など、スキルアップに向けた研修を随時実施している。


取組の成果

「近年、離職率は低く推移しています。家庭と仕事の両立を支援する制度や、若手の支援を手厚くしていることが結果につながっていると思います。お互いを助け合おうという風土もでき、誰もが働きやすい環境ができつつあると感じています」と語る宮武氏。研修や緊急時を除いては、残業はほとんどないという。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が146.8時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率が35.4%、平均取得日数が5.7日

若手従業員の定着

・正社員として就職した新卒者等の離職率16%(直近3年間)


従業員からの評価

ケアワーカーの荒牧さんは、「子育てしながら勤務していますが、子どもの都合で急な休みが欲しい時も、皆さんが好意的に協力してくれますので、とても働きやすい環境です」と、協力し合う雰囲気を喜ぶ。
45年勤務している看護師の西野さんは、「私自身、育児で大変な時も介護で大変な時もありましたが、時間のやりくりに協力してもらえて、ここまで勤めてこられました」と笑顔で話す。


今後の目標など

新しくできた、高齢者複合施設ゆかりの所長に就任した今福さんは、「職場の環境はずいぶんと良くなっていますが、仕事の分担や声掛けなどをしっかりと行いながら、みんなが働きやすい職場として、もっと充実させていきたいと考えています」と話す。
最後に宮武氏が、今後の抱負を語った。「介護の仕事には、マイナスイメージを抱かれがちです。実際に働いている従業員の方からは、やりがいのある仕事だと評価してもらえています。大切なのは行動の積み重ねです。まだまだ低い有給休暇の取得を増やすなど、さらに働きやすい職場づくりに取り組み、従業員の満足度を上げることで、業界全体のイメージも変えていきたいと思います」

取材日 2018年10月