働き方改革優良事例

「2019年をめどに残業ゼロ」を目指しながら
子育て世代や高齢者が活躍できる環境整備

医療法人社団八千代会

  • 医療・福祉
  • 安芸高田市
  • 301以上
  • 推進体制(総務人事)
  • 多様な人材の活躍
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒731-0302 広島県安芸高田市八千代町勝田448
URL http://www.merry-house.jp/yachiyo-hospital/
業務内容 医療・介護
従業員数 503名(男性150名、女性353名)

(2018年6月現在)

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  • 残業が多い部署の原因究明や声掛けなど地道な努力を積み重ねる
  • 事業所内保育園を開設し、育児費用補助で子育て世代を応援
  • 法定を超える子どもの看護や介護休暇制度の導入
  • 高齢社員がいきいきと活躍できる適材適所の環境を用意
  • 全額会社負担の社員旅行で、リフレッシュとコミュニケーションを促進

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取り組んだ背景とは? ~長時間残業を防ぎ、働きやすい職場にするために

病院や有料老人ホーム等の高齢者施設を運営する同法人では、以前から一部の部署で残業が慢性化しており、長時間残業が生じることもあった。そこで残業の削減とともに、従業員の多様なニーズに合わせた働き方ができるよう2016年末から働き方の見直しに着手。業務の効率化による長時間労働の削減や、短時間勤務制度の導入などに取り組んだ。具体的には「2019年をめどに残業をゼロにする」という目標を掲げ、取組の推進担当者を設置した。昨今の厳しい採用環境の中で、職場の改善を行うことで、人材確保の可能性が広がるという思いも後押しをしたという。


取組導入のプロセス ~残業が多い部署の特定や声掛けなど地道な努力から

まず3カ月に一度、部署ごとの残業時間を集計し、残業が多い部署の把握に努めた。残業が多い部署に対しては、所属長が各部署の労務担当に聞き取りを行い、原因を究明して、残業をなくすための方法を模索した。また残業を抑制するため、定時になると、必ず上長が声掛けをするなど地道な取組を行うことで、2017年4月から2018年3月における1カ月当たりの平均残業時間は0.88時間に減少した。
「もちろん、入居者さまの突然の病気などに対応するための残業は削れませんが、不要不急の残業はさらになくしていきたいと考えています」と、事務局長の木村正幸氏は話す。


主な取組と工夫点 ~保育園の開設、高齢者の積極採用などで多様な人材の活躍支援

事業所内保育園を開設し、育児費用補助で子育て世代を応援

新施設の開設に合わせて、2018年4月に事業所内保育園を開設した。0~6歳までの未就学児が対象で、定員は19人。開園時間は7時30分~18時30分で、短時間勤務の従業員も一時保育を利用できる。託児室や授乳コーナーを設けているので、休憩時間に授乳することも可能だ。保育料は個人負担だが、同額を扶養手当として支給することで、負担を感じないように配慮している。加えて、放課後児童クラブを利用している小学生を持つ従業員にも、利用実費分を扶養手当として支給している。「保育園は短時間勤務の人も多く利用していて、育児中の女性が働き始める後押しになっています」と木村氏。

法定を超える子どもの看護や介護休暇の導入

年5日の子どもの看護による休暇は有給休暇として扱う。さらに、通常の有給休暇とは別枠で法定日数にプラスして5日取得が可能で、介護による休暇も同様に追加して取得できる。
「介護休暇は最近、少しずつ増えていますが、まだまだ周知が不足していて、取得があまり多くありません。今後の課題です」と木村氏は語る。

高齢社員がいきいきと活躍できる適材適所の環境を用意

10年前から、定年を65歳に延長している。65歳以上の高齢者は1年ごとに、本人の意思を聞きながら、契約を更改している。「高齢になると、身体は思うように動かなくなるかもしれませんが、傾聴などできる範囲の仕事をしてもらったり、日時を限定して働いてもらったりと、ありとあらゆる方法を提示して、できる限り働ける環境を整備しています」と木村氏。
2018年3月時点で、65歳以上の従業員が65人おり、全従業員の15.4%に当たる。そのうち3分の2は社会保険加入者で、定年後も現役並みにいきいきと活躍している従業員が多い。

全額会社負担の社員旅行で、従業員のリフレッシュとコミュニケーションを促進

毎年、全従業員が参加できる社員旅行を用意(2018年は新施設オープンのため中止)している。北海道から沖縄まで日本全国の10コースが提案され、従業員アンケートで絞り込んだ6コースの中から好きなコースに参加できる。2泊3日の旅行費用は全て会社が負担し、旅行に参加した日は有給休暇扱いにしている。宿泊ができない従業員には、日帰りコースも用意しており、ほとんどの従業員が参加するため、30グループぐらいに分けて実施しているという。
「毎年、パンフレットが来るのがすごく楽しみです」と、本部事務局の山田さん。


取組の成果

八千代地区は1日の就業時間が7時間15分、広島地区は8時間と設定されているため、総労働時間は1人当たり1カ月平均152.2時間と短い。約500人の従業員で、1年間(2017年4月~2018年3月)の合計残業時間は2820時間。残業が発生した従業員は月平均で58.5人と低水準になっており、かつてあった長時間残業は確実に減っている。2019年にはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する予定で、事務部門は請求書の発送業務、介護部門は入居前の方の最適施設選択など、定型的な業務をロボットに行わせることで効率化を図り、さらなる労働時間の短縮に取り組む。
「RPA導入により、従業員は本来注力すべき業務、事務部門なら新入社員の声掛け、介護部門では患者・入居者さまの相談業務などに力を注いでほしい」と、木村さんはその狙いを話す。

労働時間(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均) 152.2時間

育児と仕事の両立(直近3年間)

・子の看護有給休暇制度を38人が利用
・育児費用補助制度の該当者が3年間で66人
・事業所内保育施設を2018年4月に開園し、12人が利用中


従業員からの評価

「東北やディズニーランド、九州など、社員旅行は楽しい思い出ばかりで、毎年待ち遠しいです。上司からは“早く帰るように”と声を掛けてもらっていますので、帰りやすい雰囲気です。子どもの世話があるので、早く帰れるときには早く帰るように、メリハリを付けて働いています。RPAが導入されて、もっと早く帰れるようになることを期待しています」と山田さん。
その他、「保育園が開園し、一時預かりを利用できるのが便利で、働く上での心理的な余裕ができた」「同じ世代の仲間が多く、子育ての悩みなどが相談でき、休みも取りやすい」などの声も聞かれるという。


今後の目標など

労務を担当する山田さんは「多様な働き方のニーズを把握して、そのニーズに応えられるような働きやすい環境を整備したいです」と意気込みを語った。
「八千代会に入って良かったと、従業員みんなが思っていただけたらうれしいですね。福利厚生を含めて、従業員が喜ぶことに常にアンテナを張り、検討しています。私どもの理念である“おもてなしの心”を持って、従業員に対しても配慮しながら優しさの中で運用していきたいと思っています」と、木村氏は締めくくった。

取材日 2018年11月