働き方改革事例

「楽しくない」から「楽しめる」働き方へ。
つらい・きついを一掃した発想の転換

株式会社広島明治

  • 卸売業・小売業
  • 呉市
  • 1〜30
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  • entrydatajireikaikaku2-03
  • entrydatajireikaikaku2-04
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認定マーク
所在地 〒737-0935 広島県呉市焼山中央5丁目12番7号
URL http://h-meiji.co.jp/
業務内容 (株)明治の乳製品の宅配
従業員数 4名(男性0名、女性4名)

(2018年6月現在)

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  • 配達回数の基本パターン変更を契機に、ゆとりある働き方へ
  • 子育て中でも働き続けられる環境整備
  • 従業員意見を「楽しい!」と思える職場づくりに反映

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取り組んだ背景とは? ~人が集まらないのは、働き方が楽しくないから

牛乳配達業を営む同社は、ずっと人手不足に悩まされてきた。特に10年ほど前が深刻で、経営陣まで総出で配達に追われていたという。経営陣の一人である専務取締役の三島昌美氏は、「あの頃は本当にてんてこ舞いで、私自身も『このままでは全然楽しくない。仕事がつらい、きつい』という思いを常に抱いていました」と、当時を振り返る。そこで三島氏らは「経営者自身が『楽しい!』と思える働き方を見つけよう、そこから人手不足を打開していこう」と奮起。「楽しくない!」から「楽しい!」に変わる働き方を目指し、同社の取組が始まった。


取組導入のプロセス ~配達回数の基本パターンの変更が、働き方を変える転機に!

では、いかにして働き方を変えるかというと、答えは意外にシンプルだった。「コースを減らすにしても限界がある。それなら配達回数を減らしたらどうだろうと、まず社長と二人で検討を始めました」と語る三島氏。さらに配達回数を減らすメリット・デメリットを書き出し、従業員を巻き込んだ検討を行い、それまでは配達の基本パターンを週3回(「月・水・金」または「火・木・土」)としていたのを、週2回(「水・金」または「火・木」)に変更することにした。
お客さまに対しては、「配達回数の変更をお願いしたところ、これまで良い関係づくりができていたためか、思いのほかスムーズに受け入れていただけました。これまでの土曜日配達がなくなることで、配達を待たずに外出できると、むしろ好意的な声もありました」と語る。こうした思い切った発想の転換が、同社における取組全ての起点になっている。


主な取組と工夫点 ~「仕事も家庭も充実!」をキーワードに取組を推進

配達回数の変更により、社内の業務全般にゆとりが生まれ負荷が軽減

配達回数の基本パターンを変更することで、配達管理に係る業務など社内の業務全般の負荷が軽減した。以前は配達の応援に駆り出されていた経営陣や事務職も、本来の業務に集中できるようになったことで、事務処理時間の削減につながったという。

子育て中も働き続けられる環境の整備

子育て中の従業員が仕事と育児を両立できる柔軟な働き方に向け、時短勤務・時差出勤・時間単位有休などの各種制度を導入している。また業務に支障のない範囲であれば、子どもと同伴で職場に来ることも認めている。子どもに働く姿を見てもらうことで、仕事に誇りを感じ、イキイキ働いてもらいたいと経営陣も期待している。さらに、子どもの成長に応じて働き方が変えられるように、ある程度子育てから手が離れた従業員には、非正規雇用から正規雇用への転換を奨励している。

半期に一度の面談で意見を吸い上げ、「楽しい!」と思える職場づくりに反映

従業員が「楽しい!」と思えるような働き方を実現するため、従業員の声を積極的に吸い上げることにも力を入れている。半期に一度面談日を設け、定期的な意見聴取を行い、出された意見を取組に反映するようにしている。
また、年2回の焼き肉パーティーで、家族ぐるみの交流を促進している。お互いの立場を理解し合い、助け合える風土づくりに役立てている。


取組の成果

一番の成果は、働き方にゆとりが生まれたことによる、従業員満足度の向上である。さらに、クチコミによる応募者が増えているという。実際に、これまで休暇を取りにくかった事務職の有給休暇取得率が、配達回数変更による事務処理時間削減等により大幅に向上し、2017年に100%を達成した。さらに休暇時は他の従業員が業務をカバーするため、仕事の共有化も自然と行われるようになったとのこと。
三島氏も「仕事と家庭の良好なバランスのもと、イキイキ働く従業員の姿が何よりもうれしい」と、明るくなった社内の雰囲気を喜ぶ。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が175時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率62.5%

多様な働き方(直近3年間)

・時差出勤制度の利用者2人
・短時間勤務・短時間正社員制度の利用者2人


従業員からの評価

2017年から正社員となった尾崎さんは、「学校行事やPTAの活動で、職場を抜けなければならない時がありますが、当社は子育て中の従業員に理解があり、時間単位の有給休暇などの制度が気軽に利用できますので、とても助かっています。私が入社した頃に比べると、現在の従業員は若い世代が増えました。今よりももっと働きやすい職場にするため、私たち従業員もお互いにカバーし合ってがんばらなければ!と思っています」と、前向きなコメントを寄せてくれた。


現在取り組んでいる上での課題や今後の目標など

今後の目標として、「まずは、従業員が結婚・出産・子育て等の計画をしやすい仕組みづくりを引き続き行っていくこと」だと三島氏。その一方で次なる課題として、「営業面の働き方改革にも取り掛かりたい」と、新たな挑戦も視野に入れている。
というのも、前述の定期面談で「営業がつらい」との声が上がったためだ。営業は重要な業務だが、若い人は飛び込み営業を苦手に感じることも多い。そこで、事前にテレフォンアポイントを取る業者にアポ取りのみを委託し、営業のお膳立てができないかと検討しているところだという。三島氏は、「まだまだ検討中なので、どういう形に落ち着くかは明確になっていませんが、ちょっとした発想の転換で、つらい仕事が楽しい仕事に変わることもあります。経営者自身が楽しいビジョンを描けるような取組でないと、うまくいかないものだと思います」と新たな挑戦を楽しみにしている。

取材日 2018年11月