働き方改革優良事例

「社員の成長なくして会社の成長なし」
従業員と共に世界基準のホテル運営を目指す

株式会社A・I・C広島マネジメント(シェラトングランドホテル広島)

  • サービス産業
  • 広島市
  • 101〜300
  • 推進体制(総務人事)
  • 長時間労働の削減
  • 非正規雇用の処遇改善
  • 育児・介護・治療と仕事の両立
認定マーク
所在地 〒732-0053 広島県広島市東区若草町12-1
URL https://www.sheraton-hiroshima.co.jp/
業務内容 ホテル業
従業員数 166名(男性85名、女性81名)

(2018年7月現在)

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  • 子育てしながら女性が働きやすい環境の整備
  • 事前申請・承認ルールで残業を削減
  • 労務管理・スケジュール管理の研修を管理職へ実施
  • 契約社員の正社員への積極的登用

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取り組んだ背景とは? ~離職率を下げ、顧客満足度を上げるために

「シェラトングランドホテル広島」の運営を行う同社では、「全てのアソシエイトが笑顔と情熱と高いプロ意識を持つ、世界基準のホテルを、アソシエイトの成長と共に目指します」というビジョンを掲げている。この未来像を目指すためにも、職場環境の改善や女性従業員の管理職への積極的な登用などを進め、従業員と共に成長できる会社づくりに取り組んでいる。
「そもそもホテル業界は、離職率の高い業界です。キャリアアップを求めて同業他社に転職するケースもありますが、業界全体として、やはり定着率を上げることが必要だと考えています」と、人事部長の津田秀紀氏は語る。働き方改革の認定を目指すことは、定着率を上げるためにも良い機会と考えた。
同社のスローガンは「社員の成長なくして会社の成長なし」。魅力的な職場環境をつくり定着を促し、一人一人が成長することで、さらにお客さまに好感を持って利用してもらえるホテルを目指している。


取組導入のプロセス ~従業員の満足度調査を実施

取組を進めるに当たり、あらためて従業員満足度調査を実施した。
「離職に至りやすい不満としては、仕事自体のやりがいや待遇面が挙げられました。ホテルは24時間365日稼働していますので、夜勤など勤務形態に関する課題も当然あります。どう働いてどう休むか、まさに働き方が問われていると思いました」と、津田氏は話す。こうして浮かび上がった課題から、業務の配分の見直しや平準化を図ることで、残業を削減し、ワーク・ライフ・バランスを向上させる仕組みづくりを進めた。


主な取組と工夫点 ~制度・ルールの導入とともに従業員の個別事情にも配慮

従業員の事情に個別に対応

取組に当たっては、総括安全衛生管理者である総支配人をリーダーに、人事部が労務管理について検討や確認・指導を行った。従業員から相談があれば、人事部長が面談を行い、個々の事情に合わせた勤務体制を検討している。特に女性従業員に対しては、ライフイベントに合わせたキャリアプランニングにも気を配り、単純に制度を設けるだけではなく、面談で細やかに困り事や要望を聞き出し対応している。
「私が管理職に任命された時、初めての立場と業務に戸惑い悩んでいましたが、人事部長に面談をしていただき、適切なアドバイスをもらえました」と、料飲部ペストリー&ベーカリーでスーシェフを務める中川さんは語る。

産後の復職など女性が働きやすい環境の整備

「産・育休後、以前と同じ業務をすぐにこなすのは難しい場合があります。そのようなときは相談を行い、人員配置の空き状況や、適材適所も考慮しながら、従業員の個別事情にできるだけ対応します。フレックスタイム制や変形労働時間制なども活用し、働き方や時間配分等にも配慮しています」と津田氏。
これについて、シェフを務める中川さんは「4年前、私が妊娠した時に上司に相談すると『安心して戻っておいで』と言われたのが心強かったです。人事からもサポートしてもらいながら、安心して出産・育児をしながら働き続けられ、キャリアアップも目指せると感じました」と話す。

事前申請・承認ルールで残業を削減

残業を削減するために、残業の事前申請・承認ルールを導入した。さらに、管理職が率先して自らの残業時間を削減し、休暇を取得するよう促した。「残業時間については以前から問題があると認識があり、取り組んではいましたが、さらに改善を進めるには組織的に取組を徹底する必要がありました」と津田氏。従業員による自主的な改善だけでなく、残業時間が多くなると、その直属の上司に人事部から注意喚起を行うことで、取組を強化している。

労務管理・スケジュール管理の研修を管理職へ実施

無駄な業務の削減には、管理職が時間管理や効率化を意識することや、計画的な業務遂行が欠かせない。そこで労務管理・スケジュール管理の研修を、人事部長が講師となり、対象となる管理職を集めて実施している。

契約社員の正社員への積極的登用

「着任当初、社員数の20%弱を契約社員が占めていました。まず取り組んだのが、契約社員を正社員へ登用したことです。安心して長く働いてもらい、定着率を上げることを目指すからには、責任を持って正社員に採用することが必要と考えたからです」と津田氏。同社では、これまで正社員への転換制度を利用し、現在の契約社員比率は2%程度となっている。

権限委譲によるモチベーションアップの制度

同社のスローガン「社員の成長なくして企業の成長なし」を体現するプログラムとして、権限委譲によるモチベーションアップを図る「Champion 制度」を実施している。役職にとらわれずやる気のある方がChampionとなり、そのプログラムをLeadしていきながら、Leadershipを自ら体験し、そのコンピテンシーを伸ばしていくプログラムになっている。


取組の中では課題も

「正社員登用制度を実施したことで、人件費は上がりましたが、当初の目標であった離職率は下がり、定着率が上がったため、長期的な視点で考えると取り組んで良かったと思います」と津田氏。今後も、全体の人件費と合わせて業務の効率化についても検討し、どういった組織にしていくか、試行錯誤を続けていくという。スケジュールをうまく管理することで休みやすい職場にすることも、従業員の満足度を高める上で必要と考えている。


取組の成果

残業時間の削減や正社員への登用などにより、直近4年間と比較すると、退職者数が半数以下となった。

労働時間・休暇(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が169.6時間
・常用雇用者の年次有給休暇の平均取得率が55.0%


従業員からの評価

「私は管理職として、勤務のシフトを決めなければなりません。職場にはもう一人、子育て世代の従業員もいますが、個々の早く帰りたい日や休みたい日をヒアリングして、みんなで協力してシフトを組んでいます。また、子育てしながら働き続けて、キャリアアップのためにさまざまなトレーニングを積むこともできます」と中川さん。今後の目標として「私のいるペストリーは女性が中心の職場で、私より若い従業員が多いです。彼女たちにも私の姿を見せることで『子育て等をしながらずっと働き続けられる』ということを示していきたいです」と語る。


今後の目標など

「出産や育児だけではなく、従業員一人一人の家庭には、それぞれの事情があります。もし仕事を続けにくい状況が起きても、できる範囲で働けるように会社と従業員が協力していくことが重要です。今後さらに働く環境を整え、キャリアアップをサポートしていくことで、女性の活躍推進を含め長く働ける職場づくりを行い、従業員一人一人がますます輝ける職場にしたいと考えています」と、津田氏は締めくくった。

取材日 2018年11月