働き方改革優良事例

若手が定着する会社にしたい、
その思いを原動力に取組を推進!

株式会社イシカワ

  • 製造業
  • 廿日市市
  • 31〜100
  • 推進体制(経営者)
  • 長時間労働の削減
  • 多様な人材の活躍
認定マーク
所在地 〒738-0202 広島県廿日市市峠245-37
URL https://www.ishikawa-net.co.jp/
業務内容 豆菓子・ナッツ・ドライフルーツなどの製造
従業員数 56名(男性24名、女性32名)

(2018年7月現在)

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  • トップ主導で若手の定着率向上を主眼として取り組む
  • 「アンケート」や「目安箱」で従業員の意見を把握
  • 問題改善ミーティングで、全員が意見を言える風土づくり
  • 外部研修への自発的参加を会社で推進
  • 業務内容の可視化とスケジュールの共有で優先付け

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取組に至るまでの背景 ~若手の定着率向上を目指し、働きやすい環境構築

創業91年の豆菓子メーカーである同社。近年は、栄養機能食品の開発など、新たな需要の掘り起こしに尽力している。
「新卒採用に力を入れてきましたが、約5年前までは新入社員の離職率が高く、それが悩みの種でした」と代表取締役社長の石川直寛氏。そこで、「若い従業員の未来のためにも、時代に合わせたより働きやすい環境を築くことが大切だ」と考え、若手の定着率向上を目指し、2015年から働き方改革の推進に踏み切った。


取組導入のプロセス ~トップ主導で外部での学びを生かし、方向性を模索

社長方針として、「従業員がその能力を発揮し、仕事と生活の調和を図りやすい雇用環境の整備を行う」ことを明言し、取組をスタート。その他にも全従業員参加の全体会議や、毎朝の朝礼で会社の方針について丁寧に説明した。
「取組を進めるに当たり、私自身が講演会や勉強会などで情報収集しました。そこから他企業の取組を参考にして、できることはやってみようと、全体の方向性を決めていきました。例えば入社前の家庭訪問や、採用希望者の家族を招いての会社説明会なども実施しました」と石川氏は語る。
2018年には、若手従業員有志による「若手の会」が発足した。そうした社内の動きを踏まえながら石川氏は、「私が主導で具体的な取組着手や大体の方向付けを行ってきましたが、今後の具体的な展開は、従業員自身の手に任せていきたいです」と、ボトムアップによる取組への転換を視野に入れている。


主な取組と工夫点 ~意見を言える風土づくりを行い、声を聞く

「アンケート」や「目安箱」で従業員の意見を把握

「最も配慮した点は、いかにして従業員の声を聞くかでした」と語る石川氏。従業員に仕事の満足度やコミュニケーション状況を問うアンケートを行い、社内の声の把握に努めた。その他にも、会社に対する要望や取組の評価など、小さなことでも言いやすいように目安箱を設置している。目安箱による要望の実現例として、食堂のフリーWi-Fiの設置や人事評価制度の明確化などがある。人事評価制度については、現在評価制度の構築に取り掛かっており、来期からの導入が決定している。

問題改善ミーティングで、全員が意見を言える風土づくり

全員が意見を言える風土をつくるため、2018年の3月から毎月1回、「労働時間」「働きやすい職場環境」などのテーマを決めて、問題改善ミーティングを行っている。メンバーは部署や役職に関係なく、従業員からランダムに選抜する。少人数制にして、必ず意見が言えるようにしている。

外部研修への参加を推進

外部研修を利用して、管理職にはリーダーシップ研修、従業員には長期の新入社員研修や自己啓発セミナー等への参加を推進している。会社指定の研修以外でも、従業員が希望すれば自主性を尊重し、会社が費用を負担する。外部研修では他社との交流も生まれ、新しい考え方を社内へ持ち込むことによって、社内風土の刷新も狙えるという。

業務内容の可視化とスケジュールの共有で優先順位付け

業務マニュアルの作成・整備の推進を進めると同時に、業務内容の洗い出しと棚卸しを実施した。既存のソフトを活用し、クラウド上で全従業員のスケジュールの共有を行っている。忙しい時間・空いている時間を可視化することによって、社内でのスケジュール調整が容易になり、業務の優先順位付けの参考にもなっている。

社内イベントや「若手の会」でコミュニケーションを活性化

若手とベテラン層のコミュニケーション活性化のため、2014年頃から全従業員参加のバーベキューランチを毎年開催している。社内の取組がよりスムーズに進められるように、コミュニケーションの偏りを解消することも狙いの一つだ。
前述の「若手の会」では、定期的な食事会を実施し、近況や困り事について共有し相談し合うなど、若手従業員同士での交流を深めている。その他、毎月のお楽しみ企画として、“サイコロ給(サイコロで給与をプラスする)”といった試みも検討しており、会社全体で取組を楽しめる雰囲気づくりを工夫している。


取組の中では課題も

ベテラン従業員の中には「休みは仕事を妨げる」といった、休暇に対して否定的な考えが根強くある。一方で「休みを取りにくい」といった声も上がってきている。そこで2019年4月より、指定の有給休暇日を社内カレンダーに組み込む予定だ。ベテラン従業員に対しては、これまでのやり方を尊重しつつも、社長自らがコミュニケーションを重ねて、理解を深めてもらうよう努力している。


取組の成果

これまでの取組により、新入社員の離職率を改善することができた。さらに、採用説明会に若手従業員が主体的に関わり、自分たちが活躍する姿を就職希望者へ発信することで、採用にも手応えを感じている。外部の取引先からも、「会社の中が明るくなった」といった感想が寄せられているという。石川氏も「取組が会社の経営面にどれだけ貢献しているかを数字で把握するのは難しいのですが、自分で考えて行動できる人が増えたこと、改善を意識した働き方ができるようになってきたことは、明らかに経営的メリットだと言えます。経営者としては、これからどのように実を結ぶのかとても楽しみです」と、会社の未来に期待を寄せる。

労働時間(直近1年間)

・常用雇用者の総実労働時間(1カ月平均)が 156.6時間

若年者の定着(直近3年間)

・正社員として就職した新卒者の離職率 約30ポイント減(2015年対比)


従業員からの評価

「資格取得や研修参加を応援してくれますので、自分自身の成長を感じながら働けます」と商品企画部の遠藤さん。また「若手の会」の一員として、「私たち若手が中心となって会社を元気にしていけたらいいですね。働き方に関しても、自分たちで考え、改善していける風土を築いていきたいです」と抱負を語る。
同じく商品企画部の先輩であり、「若手の会」の発起人でもある中藪さんは、「当社は新しい風を入れるのにとても意欲的です。私も他食品メーカーの勉強会に参加させてもらい、良い点はどんどん自社内の働き方に取り入れたいと思います」と話す。


今後の課題や目標など

これまでは、若手従業員の定着に向けた取組を中心に据えていたが、今後は、中堅・ベテラン層に向けた取組も充実させていきたいと検討している。まだ構想段階だが、例えば従業員の家族を招いての会社見学会や食事会などを開催したいと考えている。さらに若手が今後キャリアを重ねていく中では、育児等のサポートも必要となってくるため、その点も充実させていく必要があると考えている。
「先代からの『従業員を大切にしてほしい』という思いを受け継ぎ、私自身も従業員に寄り添いながら取組を進めてきました。これからも、幸せに仕事をしてもらえる環境を目指していきたいと思います。創業100年に向けて、引き続き取組や制度を整えていくことで、従業員のモチベーションアップやキャリアアップにどう生かされていくか、今から楽しみです」と、石川氏は語る。

取材日 2018年11月